『フレンチアルプスで起きたこと』では高級リゾート地を、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』では現代アート界を舞台に、強烈なブラックユーモアでなんともいえない気まず~い笑いをもたらしてくれたオストルンド監督。
カンヌで2年連続のパルム・ドールという快挙を成し遂げ、本年度アカデミー賞でも3部門でノミネートされている注目の今作は、ファッション業界が舞台。

インフルエンサーが招待された、超豪華客船クルーズ。そこで展開されるセレブたちの狂った饗宴、からの地獄絵図。ついには船が沈没し、生き残った数名が流れ着いたのは無人島。そこで客船上でのヒエラルキーは逆転し・・。
人はみんな平等!と肩を組んでスマイルしても、どうしたってそこに存在する格差社会やルッキズム。富も美も、ないよりはあったほうがいいに決まってる。そういう社会に生きている。
今を楽しみなさい!と命令するマダムの傲慢さに辟易し、ヒエラルキーの逆転劇にスカッとするかと思いきや。
権力を手にしたとき、人はその力をどう行使するのか。権力を失うとなったとき、人はどういう行為に出るのか。
そして差し伸べられたその手も、結局は上から目線の優しさなのか。
原題の『Triangle of Sadness(悲しみの三角形)』とは、“眉間のしわ”のことだそう。深く刻まれたそのしわも、ボトックスさえあればなかったことに・・!?
笑いながらも笑えない、超一級のエンタメ作品!ぜひ劇場で!
(2022年/スウェーデン・ドイツ・フランス・イギリス/147分)
監督・脚本:リューベン・オストルンド
出演:ハリス・ディキンソン、チャールビ・ディーン、ドリー・デ・レオン、ウディ・ハレルソン
2/23(木・祝)〜 TOHOシネマズ日比谷、Bunkamuraル・シネマ 、109シネマズ二子玉川 ほか全国順次公開