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ぜ~んぶマティス♡心満たされるマティス展へ!

今年いちばん楽しみにしていた展覧会がついに始まりました!
20世紀を代表する画家マティスの日本では約20年ぶりとなる大回顧展。世界有数のマティスコレクションを誇るポンピドゥー・センター協力のもと、日本初公開作品を含む約150点が集結です。

  • 展示室入口
  • 《自画像》1900年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《読書する女性》1895年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《ホットチョコレートポットのある静物》1900-02年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館

裕福な家庭に生まれ、法律家の道を歩んでいたマティス。画家を志したのは意外と遅くて21歳のとき、病気で療養中だった彼に母親が絵具箱を贈ったことがきっかけでした。
美術学校や画家のもとで教えを受け、ルーヴル美術館で古典作品の模写をしながら技術を磨いていったマティスは、次第に自分自身の表現を探求していきます。

  • 《豪奢、静寂、逸楽》1904年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《豪奢Ⅰ》1907年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《アルジェリアの女性》1909年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 展示風景

日本初公開となる《豪奢、静寂、逸楽》は、新印象派の筆触分割(絵具を混ぜず直接筆で置いていく)に実験的に取り組んだ、マティス転換期の重要な作品。マティスには珍しい点描画ですが、光や人物の表現はマティスっぽくもあるような・・!本人にとっては、色彩と線描の衝突という課題をそのまま残す作品となったそう。

翌年、荒々しい筆遣いと鮮やかな色彩が特徴的な作品がサロンに出品されると、批評家によって「フォーヴィスム(野獣派)」の画家と呼ばれるように。美術界に確かな地位を築きつつも、マティスはさらなる進化を続けます。

  • 《金魚鉢のある室内》1914年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《コリウールのフランス窓》1914年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《白とバラ色の頭部》1914年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《背中Ⅰ-Ⅳ》1909ー1930年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館

生涯にわたり室内のアトリエを創作の場としたマティスにとって、窓は部屋の中と外の世界とをつなぐ重要なモティーフでした。金魚もマティスが繰り返し描いたモティーフで、《金魚鉢のある室内》では窓際に置かれた金魚鉢が内と外の世界を映しこみ、小宇宙のような空間を生み出しています。

生前には公開されることのなかった《コリウールのフランス窓》。黒く塗りつぶされた部分は当初、外の眺めが描かれていたのだそう。第一次世界大戦勃発直後に描かれた、象徴的な意味合いにもとれるミステリアスな作品です。

絵画のアイデアを練るときにつくった彫刻が並ぶコーナーも。《背中》では女性の後姿が単純化・抽象化されていく過程をみることができます。

  • 《赤いキュロットのオダリスク》1921年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《ニースの室内、シエスタ》1922年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《若い女性の肖像》1925年ごろ ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《若いスペイン女性》1921年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館

第一次世界大戦が終わりニースへと拠点を移したマティスは、南仏の光の中で精力的な創作活動を展開します。多数描かれた「オダリスク」もこの時期に取り組んだもので、《赤いキュロットのオダリスク》はその皮切りとなった作品。旅先のモロッコで仕入れた布に、手作りのアクセサリーや衣装。マティスらしい装飾へのこだわりがあふれていますね。

マティスが色と同じくらい大事にしていた、線の表現。デッサンは「自分の中に芽生えた創作の気持ちを観る人の心にダイレクトに伝えることができる方法」だと語っています。

  • 《夢》1935年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《座るバラ色の裸婦》1935ー36年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《鏡の前の青いドレス》1937年 京都国立近代美術館蔵
  • 《貝殻のヴィーナス》1930年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館

マティスが60代で出会ったのが、《夢》以降モデルとして彼のミューズとなったリディアです。その後マティスが亡くなるまでの20年間、リディアはそばで彼を支え続けました。

《座るバラ色の裸婦》は少なくとも13回描き直されていて、最初はくっきりと描かれていたリディアの顔がだんだん抽象的に、そして最終的にはこの姿に。マティスは鑑賞者の想像力をつぶしてしまうすべての制限から作品を解放したかったようです。

  • 《黄色と青の室内》1946年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《立っているヌード》1947年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 《赤の大きな室内》1948年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 『芸術・文学雑誌ヴェルヴ』表紙 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館・CCI/カンディンスキー図書館蔵

第二次世界大戦が勃発し多くの芸術家が国外へ逃げる中、齢70近かったマティスは国を離れることを断念。同時期に十二指腸癌を患い大手術を受けます。その後、空爆を避けニースからヴァンスに移ったマティスが最後の油絵連作として取り組んだのが「ヴァンス室内画」シリーズです。

《黄色と青の室内》はその第1作。奥行のない不思議な画面構成なのに、なんなんでしょう、この調和した空間は!
シリーズ最終作となったのが《赤の大きな室内》。直角で隣り合うふたつの壁、その角を表す黒線はベンチの背までで切れていて・・これパースどうなってんの!?となるかと思いきや、空間全体から感じるのは豊かなハーモニー。対で描かれたモティーフはどれもなんだか楽しげで、画面全体がリズミカル。そして明るさと温かみのある、マティスの赤色。2016年の「ポンピドゥー・センター傑作展」以来の再会に感無量でした(願わくば次はパリで会いたいな~そう遠くないうちに)!

  • 《ジャズ》1947年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 左から《オセアニア、空》《オセアニア、海》1946年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • 左から《アンフォラを持つ女性》1953年、《オレンジのあるヌード》1953年、《軽業師》1952年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
  • ヴァンス礼拝堂、ファサード円形装飾《聖母子》(デッサン)1951年 カトー=カンブレジ・マティス美術館蔵

一日の大半をベッドで過ごすようになりカンヴァスに向かうことが難しくなったマティスは、絵筆をはさみに持ち替え、切り紙絵を創作するようになります。色彩と線描という造形作業が同時にできる切り紙絵は、マティスにとって到達点ともいえる表現方法でした。

展覧会の最後はマティス最晩年の作品、ヴァンス・ロザリオ礼拝堂。建物の設計、装飾、什器、祭服や典礼用品に至るまでを手がけた総合芸術作品、マティスの集大成です。マティスはこれを「運命によって選ばれた仕事」として、光、色、線が一堂に会する静謐な空間を創りあげました。

「精神安定剤のような、肉体の疲れを癒す、良い肘掛け椅子のような存在」を芸術の理想としていたマティス。戦争で息子を徴兵され、大病を患い、人生にはつらいこともあったでしょう。それでも画中には苦しみを持ち込まず、調和に満ちた作品を創作し続けたのは、ブレない理想があったから。
自分が感じた深い感動に対する素直さ、芸術に向き合う真摯で謙虚な姿勢。なんとなく幸せな気持ちになれるマティス作品が、やっぱり大好き♡

100%マティスの空間にどっぷり浸る、またとない機会。絶対的にオススメです!

【 展覧会情報 】
マティス展
会期:開催中~2023.8.20(日)
会場:東京都美術館
開室時間:9:30~17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休室日:月曜日(ただし、7月17日、8月14日は開室)、7月18日
問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)
※本展は日時指定予約制です。詳細は公式サイトをご覧ください。

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