「モデル」というと華やかな職業に思われがちですが、プライベートはむしろ地味（笑）。朝は6時15分に起きて、朝食。急いで身支度をし、娘を保育園に送ってから仕事へ向かいます。仕事が終わったら、18時にお迎え→帰宅。夕飯の準備をし、お風呂に入れて遊んでから寝かしつける。という仕事、育児、家事の繰り返しです。
出産前はどちらかと言うと何でもきっちりとやりたいタイプ。産後それが思うようにできなくなることでもどかしい時期もありましたが、今はノーアイロンの服や良い出汁パック、おいしい冷凍食品など、良いものを知ることで上手く手を抜けるようになりました。2歳児との生活は予想外のことばかりなので「今やれる」と思った瞬間にやれることをやる。ぐずっても抱っこしながら夕飯を作れるよう事前に野菜を刻んでおいたり、具だくさんのお味噌汁やスープは多めに作り置きしたり。段取り勝負でなんとか駆け抜けています。
娘は結構な頑固者で、乳児の時もベビーカーには頑なに乗らず、抱っこ紐まで嫌がるという徹底ぶり。抱っこばかりしていたら、撮影の時、「麗ちゃん、左腕だけ太くなった？」と言われたことがありました。

雑誌の撮影は分刻みのスケジュールで進んでいくので遅刻は厳禁。朝の時間がない時に急にイヤイヤが始まって、ご飯を食べない、着替えない。無理にやろうとすると逆効果でギャン泣きされ、お手上げ。焦りが募って「ロケバス来ちゃうじゃん！」と怒鳴ってしまったことも。
我が家にはパパがいないので実家の母には物理的にも精神的にもだいぶ支えてもらっています。母は娘がぐずっても怒らず「急げ！ 急げ！ 新幹線〜♪」と歌って娘を盛り上げていて、そうすると大喜びで準備を始めて。「すご〜い」と言ったら「あなたたちもこうやって育てたのよ」と（笑）。携帯もコンビニもない時代に子ども3人＋柴犬4匹を一人で育てた母はやっぱり偉大。頭が上がりません。
母には叱られますが、我儘がすぎる時は「鬼から電話」アプリの出番。食べ物を粗末にしたり、命に危険があることは徹底して叱るようにしています。

以前、保育園の預け際に「ママ、ママ！」と大泣きしてしまったことがありました。時間は迫っているしどうしようと思っていたら、先生が「ママに抱っこしてもらって5つ数えようか」と言ってくださり、「1・２・3・4・5」の「５」でぎゅー！　娘なりにそこで気持ちを切り替えられたようで、今では毎朝の儀式になっています。
お迎えは延長料金がかからない18時（笑）。家についてからは戦場ですが、少しだけ帰りに回り道。どんぐりを拾ったり、絵本で見たお月さまの話をしたり……。娘との尊い時間です。

高垣麗子さん「40歳の実像」その２「シングルマザーとしての決意」はこちらです

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撮影／曽根将樹（PEACE MONKEY） モデル／高垣麗子　 ヘア・メーク／森野友香子（Perle Management） スタイリスト／竹村はま子 　取材／石川 恵
※情報は2020年4月号掲載時のものです。