
高校生、小学生の3人の子どもを育てながら、女優としても輝きを放つ広末涼子さん。毎月〝思春期ママ〟たちと思いを共有する場となる連載エッセイ。今回は、私たちの大問題「子どもの人間関係」をテーマに語ります。
子どもたち同士で解決する、そのために、まずじっくり子どもの話を聞いてみよう
どんな親でも我が子が可愛いのは、当然。それだけに、「子どもの喧嘩や揉め事に親同士のやり取りはご法度」。わかっているけれど、どうしても自分の子どもを擁護してしまうのも仕方ないこと――。それが、親という生き物の〝性〟。だからこそ、子どもたちのことは子どもたち同士で、当人たちで解決するのがベストだと思う。
そのためにはまず、子どもの話しをしっかりと聞いてあげることが一番大切。何があったのか、どうしてそうなってしまったのかを知るだけでなく、自分の子がどうしたいのか(解決したいと思っているのか、ただ話しを聞いてほしいのか……)、はたまたわが子の主張が本当なのか(子どもも子どもなりに、自分に都合の悪いことは言わなかったりするものだから)、客観的に判断することも必要。じっくりゆっくり話しを聞き、〝わが子の気持ち〟そして、〝相手の気持ち〟について親子で話し合ってみると、どうすればいいか? どうするべきか? 少しずつ見えてくるはず。
うちの子どもたちは、お喋りな私に似てか、とにかく皆よく話す。そして皆がみんな、聞いて欲しい。「ママは聖徳太子ではないんだから、3人の言葉を同時に理解するのは無理。順番におねがいします!」とよく言っている(苦笑)。毎日の学校での出来事や、子どもたちのエピソードを全て聞いてあげていたらキリがないし、家事も進まないし、あっという間に日が暮れてしまう。
けれど、ここぞという時=子どもが悩んでいる時、辛い時には、一旦手を止めて、動きを止めて、ちゃんと目を見て話しを聞いてあげるよう心がけている。子どもたちそれぞれの不安や心の揺れ動きを見逃さないようにしたい。もしも、ちゃんと聞いてあげられる状況がつくれない時(兄弟がいて話しにくい、とか、もう寝かせる時間から逆算すると夕飯を作らなきゃ! お風呂に入れなきゃ! という時など)には、〝枕を並べてのお話Time〟がお薦め。
眠る準備をして、子どもも親もお互いに時間や他のことに気を取られない環境を整えてから、「何があったの?」と声をかけてみると、静かにゆっくり話し出す子どもの気持ちに寄り添ってあげられると思う。
うちの場合、やはり、まん中っ子の話しを聞いてあげられるタイミングが無くなってしまったり、まん中っ子の意見を逃しがち。だから、2番目の子とはよく〝枕を並べてのお話Time〟をするようにしている。大人も子どもも同じで、話しを聞いてもらうと少しスッキリしたり、安心したりするものだから。
中学一年の頃、私が初めていわゆる〝イジメ〟というものにあった時、クラス全員から無視をされたり(イジメリーダーから指令が出たのだ)、制服のジャケットをトイレの便器に突っ込まれたりした時、私がそこまでシリアスにならず二年でのクラス替えがくるまで乗りきれたのは、やはり揺るぎない母と家庭の存在があったおかげだと思う。私の根っから明るい性格の形成に大きく影響したのは、穏やかな気候と豊かな自然に囲まれた南国土佐で育ったことも影響していると思うけれど、やっぱりそれより何より私の母の子育ての仕方が、一番大きかったのではないかと思う。

ちょっと論点がズレてしまいましたが、とにかく子どもが相談できるママであること、口出しし過ぎず(勿論、親が仲裁に入ろうとしたりしないで)、本人の〝仲直り〟の仕方をサポートしてあげるのが私たちママの役目なのだと思います。
ただ、〝イジメ〟に関しては話しは別。ケンカと違いイジメだとすると、本人にアプローチさせることも子どもたちだけで解決することも難しい場合が多い。その時は、先生にお任せするのも大事! 先生に託して仕切ってもらって、解決へと導いてもらえるようにお願いする。学校に相談することも大切です。

〈次回へつづく〉
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モデル&文/広末涼子 撮影/渞 忠之 ヘア・メーク/MAKI スタイリスト/竹村はま子 取材/奥村千草
コート¥55,000(シーニュ)ブラウス¥18,700(yori)パンツ¥20,900(ル フィル/LE PHIL NEWoMan新宿店)パンプス¥35,200(ピッピシック/ベイジュ)ピアス¥23,100(シンパシー オブ ソウル スタイル/フラッパーズ) ※情報は2023年3月号掲載時のものです。