これまで経験したことのない状況に置かれた春。自宅にいる時間ができ、これを機にと「目を背けていたクローゼットの大整理、断捨離をした」という読者さんの声もたくさん聞きました。
すっきりとムダのない、削ぎ落とされたクローゼットと向き合うことは、これからの自身の生き方・あり方を見極める一助になるはず。大人の女性として、本当に必要な服と歩んでいくヒントを、スタイリスト・大草直子さんに伺いました。
★ 朝迷わないし、いつもキレイ、引き締まったクローゼットの作り方
★ 整理整頓後の参考になる! 大草さん的夏の Must Item
★ 対談:大草直子さん × 高垣麗子さん「時代の変化で見えた、これから私たちと共に歩く服」
<自分軸に少しの他人軸をMIXするとオシャレはもっと楽しい!>
大草 stay home中クローゼットの整理をする人が多かったけれど、麗ちゃんはどうだった?
高垣 私は最近は普段から断捨離をするようにしているんです。昔は同じような服を買ってばかりいて、服がたくさんあるのに似たような格好ばかりしてたんです。今はクローゼットの写真を撮って、余分な物を買わないように心がけてます。
大草 それってすごく理に適ってるし、麗ちゃんのロジカルって、クッキングと一緒。クローゼットはその時のその人の状況を表してるから、自信がない時は自信がないクローゼットになるし、迷っている時は買い散らかしたクローゼットになってしまうの。その時のその人の心理状況がクローゼットでわかる。
高垣 それわかる気がします。
大草 さっきいつも同じような格好になっちゃうって言ったでしょう。それ、読者さんにもよく相談されるけど、それでいいと思う。みんなたくさんの人に好かれようと思うから、洋服を迷っちゃうんだよね。20代は他人軸がすごく気になって、色々な人に合わせようとするから色々な格好をする。
高垣 私もそうでした。
大草 40代は自分の大きな軸を1つ持って、そこから3つぐらいのバリエーションを決めていくことが大事。stay homeで、自分軸で洋服を選べるようになった人が多いと思うな。〝気持ちの上がる服〞が一番いいって。そのベースに、他人軸をうまくMIXさせていくとおしゃれがもっと楽しめるようになるはず。
高垣 そうそう。私も自粛期間の最初のほうは、部屋着で過ごしたりしてたけど、展示会でオーダーした服が届いたり、新作のリップをつけた時に、あ、楽しいって自分がすごく更新された気がして嬉しかったんです。こういう気持ちって大事にしたいなって思いました。
大草 そうだよね。楽だけど自分が上がる服って大事。おしゃれって、今日の生き死にに関わることではないけれど、1年後の自分には絶対に必要なこと。私たちがきちんと過ごせる日常を作ってくださる人がたくさんいるうえにおしゃれがある。感謝もしないといけないし、リスペクトしないといけないなって思うよね。
(以上敬称略)
幅広い層から絶大的な支持を集めるスタイリスト兼ファッションエディター。スタイリング本も数多く執筆。自身のメディアAMARCも人気。stay home中のインスタライブも、わかりやすいと話題に。
<モデル高垣麗子さん>
STORYカバーモデル。出産を機に定期的なクローゼット整理を習慣化。コンパクトな収納を維持している。生活の丁寧さと、食に対する姿勢にも、共感するファンが多い。発酵食品の資格取得の勉強中。
★ 朝迷わないし、いつもキレイ、引き締まったクローゼットの作り方
1.丈別・シルエット別に各アイテムを仕分ける
バラバラな状態だと探すのに時間がかかるし、同じようなものを買ってしまうことも。各ボトムスは丈別に、トップス・アウターもシルエット別に分けて、同じようなものは1枚に絞りベースを整えましょう。色別ではなく、丈・シルエット別というところがコツ。
<捨てるか迷ったときに 「似合う服の見極め方」5ステップ>
2.ハンガーは MAWAに統一して 本数も決める
ハンガーの総数を決めておいて、それ以上増えたら、もう把握できないと思って、洋服の次の行き先を考える。ハンガーを揃えてきちんとした使い方をすることで、洋服にも優しく、スペースも省けて、リバウンドも防げます。
3.靴はスタメンを 3~4足に決める
どんなにオシャレな人でも、ワンシーズンのスタメン靴は3~4足のはず。長い丈のボトムスと、短い丈のボトムスを並べ、長い丈にはフラット、短い丈にはボリューム靴をあらかじめ置いておく。そうすることで、朝迷わずに全身がキマります。
4.バッグをフォルム別 に収納する
バッグは、バケツ型・トート型・スクエア型のように、色や大きさではなくて、フォルムで分けると、コーディネートがしやすくなり時短に。クラッチもひとまとめにして収納すると便利。同じ種類が増えすぎたら処分して。
★ 整理整頓後の参考になる! 大草さん的夏の Must Item
ロング丈スカートはフラット時代の救世主
「すっかりスニーカーが定着し、ヒールがあっても太ヒールで…という昨今。バレエシューズでもトングサンダルでも、すべてに似合いつつ、女っぷりも足せるスカートが欠かせません。歩くと裾が揺れる柔らかな素材がGOOD。」
スカート¥29,000〈ヴェルメイユ パー イエナ〉バッグ¥17,000〈メゾン エヌアッシュパリ〉(ともにヴェルメイユ パー イエナ 青山店)Tシャツ¥25,000(マディソンブルー)ピアス¥82,000(マリハ/マリハ 伊勢丹新宿店)以下すべて大草さん私物 サンダル/ジャンヴィト ロッシ バングル(右)/エルメス バングル(左)/ティファニー リング(上・シルバー)/アスプレイ リング(下・ゴールド)/マルコム ベッツ
左右非対称のピアスで 顔の〝両面〟とも好きになれる
ミッドテクスニーカーが40代にちょうどいい
「着こなしがマンネリ化したときに、ハイテクスニーカーやアップルウォッチなど〝時代のスピード感〟があるものを投入するとグンと垢抜けます。だけどハイテクは、40代には少し難しいことも。ミッドテクなら大人にちょうどよく馴染みます。」
(右)ベージュのスニーカーは今季一番の注目。さりげなくイエローが効いてておしゃれ。(左)どんなアイテムにも合う万能のライトブルーは一足あると便利。スニーカー各¥10,000(ともにNIKE meetsemmi/エミ ニュウマン新宿店)
ヘア・肌用のオイル、マスクにつかないL I P
「リラクシングなスタイルになった時の、ほっこり感の防止には、髪の毛と肌の艶、リップが強い味方です。顔に色を差すだけで家着もちょっと女らしい。オイルは1日つけても、夕方重くなりすぎないアイテムを選びます。」
シンプルなワンピの時は、オイルで艶を出して女らしい肌作りをするのがポイント。(上右)オーセンティック オイル 140㎖ ¥4,000(ダヴィネス)(上中)S&Lシーミストスプレー N 125㎖ ¥2,400(ジョンマスターオーガニック)(上左)リッチオイル 80㎖ ¥3,100 (オーバイエッフェ/エッフェオーガニック)(リップ上)ル ルージュ デュオ ウルトラ トゥニュ 57(リップ下)ル ルージュ デュオ ウルトラ トゥニュ 122 各¥4,500〈ともに店舗限定販売〉(ともにシャネル)
省スペースで時短でアガる、肌見せワンピース
「40代は方向性に迷う方も多いと思います。そんなときもキマるワンピは大人の救世主。ヒールを履くことより、フラットの出番が多いので、肌見せが適度にできるデザインのものだと、抜け感になってバランスがとりやすいんです。」
ワンピース¥32,000(カーサフライン/カーサフライン表参道本店)ピアス¥23,000(モダン ウィーヴィング/エスケーパーズオンライン)リング(右)¥11,000(アダワットトゥアレグ)以下すべて大草さん私物 サンダル/ジャンヴィト ロッシバングル(右)/エルメス バングル(左)/ティファニーリング(上・シルバー)/アスプレイ リング(下・ゴールド)/マルコム ベッツ
(右から)鉄板の女らしいシルエット。ワンピース¥28,000(マリハ/ヴェルメイユ パー イエナ 青山店)ふんわり袖も可愛い。冷房対策にも。ワンピース〈ニュウマン横浜オープン限定アイテム〉¥61,000(カオス/カオス横浜)
撮影/倉本ゴリ(Pygmy Company) モデル/高垣麗子 スタイリスト/大草直子 ヘア・メーク/森野友香子(Perle Management) 取材/川上桃子 ※情報は2020年8月号掲載時のものです。