長年同じヘアスタイルだったボブから最近ヘアチェンジしたことで話題の大草さん。加齢とともに変わっていく自分自身も愛し変化を恐れず楽しむその生き方は、同世代の私たちに勇気をくれます。

新刊『飽きる勇気』の中で、変わることは新陳代謝で、自分自身の進化だと伝えているのに、10年前の雑誌の自分のヘアスタイルが今と全く同じだったことに愕然。

髪を切ったことで正直、手間はかかるようになりました。でも、育児で髪にかまっていられない時を経てやっとそういう時間を持てるようになったっていうのもこの年齢ならではだから楽しいですよね。

クセ毛の私は、毎朝髪型が違うの。そのライブ感もワクワクする。髪型が変われば当然、着る服もメークも変わってくるから、毎日違う自分を発見できる。好きなのに遠ざかっていたアイテムをまた着られるようになったことも新鮮でした。

髪のクセを生かしたニュアンスのあるショートヘアが、コンサバアウターを等身大に。一生好きなアイテムのTシャツ×デニムに合わせるのが今の気分。

フェミニンな雰囲気に、あえてカッコいいオールバックに。ショートにすると、首元や衿足がすっきりして立体的なフードでも軽やかに。

40代になると、髪や顔、体型が変化するから、好きだったものが似合わなくなったり野暮ったく感じるようになりますよね。そうなった時にどうすれば変われるかと聞かれるといつも２つのことを伝えています。

①運動すること。②髪を切ること。

ヘアチェンジは手っ取り早く自分を変えられるから、変わりたいならまず髪を切ること。髪型は顔の印象を縁取る大切な額縁なのです。

加齢で顔は変わりますよね。シワも出るし、目も垂れるし、顔もくすむ。顔の内容が変わっているのに、額縁である髪型をずっと変えないとやっぱりバランスは悪くなる。絵を替えたら額縁も替えますよね？　その理論です。

あれこれ考えずにまずは切ってみる。失敗したらちょっと我慢してまた伸ばせばいい。でも切る時には自分の守りたいポイントやイメージをしっかり伝えることは大切。

髪を切ることはコミュニケーションのツールにもなります。誰かが髪を切ると「髪、切ったね」って話しかけますよね？ でもずっと変わらなければそんな会話も始まらない。当たり前ですけど「変わらなければ何も始まらない」ってことなんですよね。

毎日、鏡で自分の顔を見るので、その時に自分に飽きている状態というのが一番危険。自分の体に興味を持って、その変化と向き合っていれば、体に合うサイズの服を着るし、顔に合う髪型にもできる。その進化によって、自分が自分に驚くことが起こるはず。

40代はまだまだ変われる、ぜひ楽しんで！

※コメントは一部抜粋

時代の転換点を見据え、活躍し続ける大草直子さんの変化することを恐れない軽やかな生き方のコツが満載。『飽きる勇気』￥1,430（講談社）

撮影／須藤敬一　ヘア・メーク／森野友香子（Perle Management）　スタイリスト／大草直子　取材／小仲志帆　※情報は2021年4月号掲載時のものです。