「プレ更年期」と呼ばれる時期から更年期後期に至るまで、女性はホルモンの影響を受けやすくなるのはご存知の通り。寝不足、イライラ、めまい、ホットフラッシュetc.と、悩みは尽きません。
気分も鬱々としがちな時期、せめてファッションを楽しみたい……そんな方に朗報です!なんと、ファッションでも色を使った更年期対策ができるんです!!
更年期に効果がある理由は「色=電磁波」だから!?
色の心理的効果については聞いたことがある人も多いのでは? 例えば「赤=情熱的な色」といった具合ですが、色には“科学的”に期待できる効果があるのだそう。それが「色による生理的効果=ホルモンの活性化」です。
そのカギとなるのが、電磁波。デジタルハリウッド大学名誉教授の南雲治嘉先生によると、色は科学的には「光=電磁波」なのだそう。
光=電磁波=(脳内でデジタル化される)色
電磁波というと、携帯電話や電子レンジなどのイメージがありますが、波長によって電磁波はさまざまなものに活用されています。たとえば、日常でよく耳にするのはラジオなどの電波や、紫外線や赤外線、放射能も電磁波の一種。その中で、目に見える電磁波が「可視光線」といわれる“色のもと”になります。
「少々難しい話になりますが、光=電磁波そのものは無色なんです。それが、対象物に当たって反射すると、その反射光の波長が網膜で「デジタル変換」されデジタル信号になります。その信号が視覚野というところで特定の「色」として脳で知覚されるのです。実は、このときの脳の視床下部などへの刺激でホルモンの分泌が促されるんですよ」と南雲先生。
5官による刺激はホルモンの分泌を指令しますが、「色」を見ることが刺激になってホルモンが分泌されるというワケなのです。
「色は電磁波なので、色から受ける生理的メッセージは国籍や文化、人種、性別を問わず同じ反応が起きます。これは人間以外にも応用でき、例えば魚の養殖などですでに色の活用が実用化されていますよ」
色によって活性化されるホルモンが違う!
面白いのが、色によって刺激されるホルモンが変わるということ。よく「ピンクは女性ホルモンを活性化する」と聞きますが、これも“科学的な事実”なのだそう。
さらに、ホルモンの活性化を促すのは、ピンクだけではないのです!
「例えば、黄緑は成長ホルモンに作用するので、成長期の子どもにぴったりのカラー。赤は見る人を興奮させますが、アドレナリンが分泌されるということから説明が付きますね。
日本の陸上競技場は赤を多く活用していますが、海外ではトラックが青なんです。どうしてかわかりますか? 青での刺激によるセロトニンによってリラックスすることで、緊張をほぐし集中力を高められると考えられているからです。海外では、科学的な色の活用が進んでいるんですよ」と南雲先生。
ホルモン別「3大更年期カラー」はピンク・緑・青!
では、更年期にはどんな色のファッションがおすすめなのでしょう?
南雲先生に聞いた、更年期を救うおすすめの3大カラーを発表! STORY11月号掲載のコーディネートを南雲先生にチェックしてもらいました。
更年期3大カラー①ピンク “女性ホルモン活性化”は本当だった!
■■■PINK■■■
更年期に取り入れたい色ナンバー1は、もちろんピンク!エストロゲン、プロゲステロンの2大女性ホルモンの活性にいいというなら着ない手はありません。南雲先生が興味深いデータを教えてくれました。
「ピンクはもともと若々しい印象を与える色ですが、私の研究所で調べたところ、ピンクが好きな人の70%の肌が美しいというデータがあるんです。これはエストロゲンの影響だと考えられます。
ピンクの生理的研究は、ハーバード大学などで行われていて、アメリカでは実用化もされているんですよ。年配になってピンク好きになる人が増えるのも、好みの色というより、脳が必要としている部分もあると思います。また、エストロゲンは髪にもいい影響がありますよね。薄毛に悩むパートナーがいるなら、ピンクの服を着て見せるといいですよ」。
恐るべきピンクのパワー!
更年期対策におすすめ!STORY11月号のピンクコーデ
【更年期対策にもう一押し① 素材感で心理面にもアプローチ】
色の印象を決めるのは、色そのものだけでなく、形、素材感も重要な要素。面積が広い方が印象は強くなるので、こんな幅広でボリュームのあるふわふわとした質感のストールはピンクのやさしい印象をより引き立ててくれます。
更年期3大カラー②グリーン 更年期の倦怠感対策に! 物忘れも早めにケア
■■■GREEN■■■
グリーンで活性するホルモンはアセチルコリンです。
疲れを感じる人におすすめの色。疲労した細胞をリセットする刺激をもたらし、リフレッシュ効果が期待できます。自然の中の緑を見るとリフレッシュするというのは、ホルモンも作用しているからなのです。更年期に増えやすい片頭痛を和らげるにも効果的だそう。
アセチルコリンは記憶や認知などを司る海馬に作用しますが、エストロゲンの減少に伴い減っていくため、更年期に特に減少しやすいホルモンだそう。更年期を境に急に物忘れが増えるのは、このためでもあります。「あの人、あの人! えーっと…誰だっけ?」なんて、人の名前がなかなか出てこない……そんな風に感じたら、グリーンで脳に刺激を!
更年期対策におすすめ!11月号のグリーンコーデ
【更年期対策にもう一押し!② 鮮やかな色で効果がアップ!】
同じ色でも「淡い色」「鮮やかな色」とありますが、効果を狙うならこんなフレッシュな色をチョイス。鮮やかな色は電磁波の刺激が強いため、生理的効果も期待できるのだとか。その分、目にする時間が長くなると脳が疲れてしまうこともあるので、ボトムで取り入れるのが◎。
更年期3大カラー③ブルー リラックスと快眠へ導く癒し色は、ダイエットにも効果大
■■■BLUE■■■
ブルーで活性化するホルモンは、セロトニン。
緊張感をやわらげ、リラックス効果も期待できるので、更年期のイライラ対策に取り入れてほしいカラーです。また、睡眠の質を上げてくれるのも嬉しいポイント。更年期に眠りが浅くなるのは、よく知られているところですが「就寝前に7分間だけでも青を見ると、ぐっすり眠れるので試してみてください」と南雲先生。
食欲を抑える効果があるのも嬉しいポイント。南雲先生の研究所でまとめたデータによると、食前に青いレンズの眼鏡を掛けるだけで1か月で被験者の体重が平均3.5㎏も減ったのだそう! 体形が気になる女性にとってもありがたいカラーなのです。
更年期対策におすすめ!11月号のブルーコーデ
【更年期対策にもう一押し③うまくいかないときこそ色のパワーを活用】
色は本人よりも、その色を見た相手に大きな影響を与えるもの。会う相手、着る場所を考えて「自分をどう見せたいか」イメージづくりに活用するのも手。ブルーのシャツは、自分のリラックスしたい日はもちろん、安心感を与えてくれるため仕事着にぴったり。相手の本音を引き出しやすくなるので、難しい思春期の子どもがいるママにもおすすめです。
悩み多き更年期こそ色を味方に!
色のホルモンパワーに期待は膨らむばかりですが、これら「更年期”ホルモン別”3大カラー」を自分が着こなせる自信がない……。そんな場合、どうすればいいですか?
「自分に似合うかどうかはそれほど気にしなくてもいいんです。最近自分に似合う色を探すことがブームになっていますが、色は本来コミュニケーションツールのひとつ。その色の効果をどう活用するかというのを考えて選ぶのが一番メリットが大きいと思いますよ。
例えば、黄色は幸福ホルモンのエンドルフィンを活性化して、嫌なことを忘れて笑いをもたらしてくれます。一方、長時間見ていると、ある種の発作を引き起こすということも。精神的に不安定なときは避けた方がいい色ですが、元気が欲しい! 笑顔になりたい! というときは、ポイントカラーに取り入れるという活用法もあります。
僕は、奥さんによくピンクを着てもらっています。ピンクで女性はやさしくなりますし、自分の髪の毛対策にもいいですから(笑)。
色ですべてが解決するわけではありませんが、色を楽しむことで生活を豊かにできます。日本人はとにかく黒やダークな色ばかり選びたがりますが、黒はすべての光を吸収して刺激そのものがないため、色の効果が期待できません。黒い服ばかり着るのはもったいと思っています。悩みの多い世代だからこそ、カラーファッションを活用してみてください」
監修:南雲 治嘉 先生
Haruyoshi Nagumo
デジタルハリウッド大学名誉教授、一般社団法人日本カラーイメージ協会 理事長、株式会社ハルメージ代表取締役、先端色彩研究所 所長
1944年東京都生まれ。金沢美術工芸大学産業美術学科卒業。90年ハルメージを設立。アートディレクター、グラフィックデザイナーのかたわら、先端色彩(デジタル色彩)の研究、基礎デザインにおける視覚の法則の研究と実践を行う。著書に「デジタル色彩デザイン」「新版カラーイメージチャート」(グラフィック社)、「100の悩みに100のデザイン」「色の新しい捉え方」 (ともに光文社新書) など。