4.リンクさせながらも年代ごとのシルエットを
久々のご静養となった、今年4月の御料牧場ではブルー系でリンクされながら、一家全員がジャケット×パンツというアイテムのリンクも印象的でした。愛子さまは、スカートをお召しになることが多かったので、非常に新鮮なリンクコーディネートに感じます。
「普段ご静養先では、もう少しリゾート感のある装いをされていますが、このときはコロナの第5類移行前でしたので、まだ遠出を控えている国民がいることを慮って、ご静養というより視察される雰囲気が強いジャケットスタイルを選ばれたのでは。雅子さまは、長め丈のテーラードジャケットにテーパードパンツ、スクエア型の揺れるイヤリング。愛子さまはフレッシュな短め丈のテーラージャケットに旬のセンタースリット入りパンツ、可愛らしい星のモチーフが揺れるイヤリング。と、同じアイテムを選ばれていても、年代によって個性を出されているのが素敵ですよね」
5. 子どもたちとのご交流は愛子さまを主役に据えて
4年ぶりに来日したウィーン少年合唱団の公演では、白とイエローのカラーリンクを。
「愛子さまがイエローのお召し物を着られているのはとても珍しいと思います。愛子さまはまだ学業優先で、ご公務の機会が少ないので、出席できる日は主役にしてあげたいという思いと、合唱団の少年たちと年齢の近い愛子さまが引き立つようにという思いから、雅子さまが全身白、愛子さまがイエローのコーディネートを選ばれたのだと思います。
ウィーン少年合唱団は、ハプスブルク家出身の皇帝により創設されました。イエローはハプスブルク家を象徴する色。同家が栄華を極めた時代には、世界遺産・シェーンブルン宮殿をはじめ、建造物をイエローに塗っていたので、それにちなんでこの色を選ばれたのではないでしょうか」
6. まるで分身のように・・・母娘の水色コーデ
日本橋高島屋で開催された、両陛下の結婚30年を記念した特別展をご一家で訪問されたときは、パンツとスカートの違いはあれど、淡いブルーのセットアップ、シニヨンにまとめられたヘアスタイル、と雅子さまと愛子さまのまるで双子のような装いが新鮮でした。
「まるで同じジャケットをお召しになられているかのようで、ここまで似ている装いでいらっしゃるのは珍しいこと。この展示は、雅子さまが皇室に嫁がれて30周年を記念した特別な展示ですが、その30年の中で特に印象深く嬉しかったのは愛子さまのご誕生だと思います。雅子さまの、(愛子さまは)私の分身のような大切で尊い存在であることを伝えたい、という強い思いが伝わってきます」
7. 日頃からの絆が見えた、チェックシャツ
報道陣が入らない場面でもリンクコーデをされているご一家。天皇皇后両陛下のご成婚30周年記念日を前に公開された写真でも、仲よくチェック柄をお召しになっていました。
「天皇ご一家は普段から会話が多いことでも知られています。ご家族でのリンクコーディネートは、やはりコミュニケーションを密にとっているからこそできるもの。報道陣がいない場面でもリンクされているなんて、それが日常なのかもしれません。天皇陛下が雅子さまにプロポーズでおっしゃった『雅子さんのことは、僕が一生全力でお守りします』という言葉を完璧に実行され、雅子さまも愛子さまも、全力で守られている。その絆が写真からわかります」
皇族方の装いからもさまざまな思いが読み取れます。つげさんは、こうした装いも、両陛下と国民のコミュニケーションに一役買っているといいます。
「雅子さまは、私たちには想像できないプレッシャーを感じながら国民とどうやって信頼を深めていこうと考え模索するなかで、装いにメッセージをこめるというのが方法の1つだと考えてらっしゃるのだと思います。ご公務ではコメントを発される機会は限られていますし、万葉の昔から皇室の方は、短歌などに想いをこめるなど自分の想いを直接伝えない奥ゆかしさがいいとされてきましたので、その名残ではないでしょうか」
教えてくれたのは…
放送作家・皇室ライター
つげ のり子さん
取材/味澤彩子