8月22日から、軽井沢でのご静養に入られた上皇ご夫妻。お二人が軽井沢に滞在されるのは4年ぶりのことです。
放送作家・皇室ライターのつげのり子さんによると、「上皇ご夫妻のご静養地といえば、お二人が出会われた軽井沢が多い印象ですが、お子さまたちが小さいころは水泳もできる静岡県の奥浜名湖に行かれ、上皇陛下が自ら泳ぎを教えられていたことも。令和の天皇ご一家は、自然や動物がお好きなことから那須や須崎を多く選ばれています。そういうことからもわかるように、ご静養はいわばプライベートなシーン。ご静養先ではご公務とは違う、リラックスされた表情、装いを見ることができます」とのこと。
クラシカルなファッションがトレンドの今、若かりし頃の美智子さまの夏の装いをご紹介します。
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雅子さまが確立された令和流ロイヤルファッション…美智子さまとの違いは?
ワンピースで“良家の奥様”スタイルに
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1962年、軽井沢にて。天皇陛下が2歳のころ。フィット&フレアなワンピースはこのころの美智子さまの代名詞のよう。お花のモチーフを取り入れられ、後頭部を高くしたまとめ髪でよりエレガントなムードに。
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1961年、軽井沢に向かう途中の横川駅での美智子さまと天皇陛下。ヘア小物で、装いをより華やかに演出されることが多かった美智子さま。涼やかなグレーのワンピースに顔回りはハット、パールのネックレス、イヤリングと純白で統一された装いに気品を感じます。
「雅子さまは、愛子さまがお生まれになって以降は動きやすく、きちんと見えもする白パンツを毎年のようにお召しになり、マニッシュなスタイルを好まれています。
対して美智子さまは、お子さまたちが小さいころでもスカート、ワンピースを中心としたエレガントな装いをされていました。このころは多くの“良家のお嬢様”が就職することなく結婚して“良家の奥様”になっていた時代。1959年に結婚され、“ミッチーブーム”を巻き起こした美智子さまは、国民が求める皇室の在り方、姿に応えるために時代を反映するようなフェミニンな装いをご静養先でもされていたのではないでしょうか」(つげさん、以下同)
花、フリル・・・甘さのあるお洋服をお召しに
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1972年、奥浜名湖にて。立体感のあるお花が裾にあしらわれ、ピンクとの白のバイカラーのワンピースは、ディテールは甘いですが、シャープなVネック、Iラインシルエットで甘すぎないよう引き算されています。デザインに主張がある分、全身の色を2色に抑えられ、ご一家で白をメインにされているのも印象的です。
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1977年、奥浜名湖にて。ハイウエストのデザイン、お花の刺繍、フリル、ウエストそして手首のリボン。と、美智子さまのお好きなモチーフ全部入りの装い。ボトムスが華やかな分、トップスはシンプルなブラウスを合わせ、トータルバランスを計算されています。
「ご静養での装いを見ると、お花、フリル、リボンというお好きなモチーフを多用、必ずウエストマークされたシルエットが特徴的です。最近は、上皇陛下を支えられるように、咄嗟に動けるパンツスタイルやフラットシューズの装いが増えましたが、足元もきちんとヒールを合わされています」
ご静養は好きな服を着る時間
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1962年、志賀高原にて。夏らしい爽やかなマリン配色の装い。シックなネイビーですが、セーラーカラー、大き目のリボンのあしらいでフレッシュな雰囲気を演出されています。自由度が高いご静養地ならではの装い。
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1973年、軽井沢会のテニスコートにて。ボウタイが目を引くワンピースは、芦田淳さんデザインのもの。ボウタイには白い花のブローチを合わせ、ジュエリーレスでも華やかでエレガントな印象をキープしています。
「正式なご公務の時は、出席するイベントや賓客に合わせて装いを決められますが、ご静養地では条件にとらわれず、ご自身の好きなものをお召しになっているのではないでしょうか。なので、お好きなテイスト、モチーフが如実に表れている。らしさのある装いとも言えます。常にエレガントでハイセンスな美智子さまの装いは、これからも楽しみです」
令和の今見ても違和感のない美智子さまのタイムレスで気品あるセンスが光る装い。ケープや、セットアップなどのご公務の装いも素敵ですが、自由度が高く、よりらしさを感じられるご静養地での装いは、STORY世代のファッションと親和性も高く、ところどころ要素を取り入れることもできそう。暑い夏でもきちんと感を出したいシーンの、参考にしてみては?
教えてくれたのは…
放送作家・皇室ライター
つげ のり子さん
テレビ東京系『皇室の窓』の放送作家。2001年の愛子さまご誕生以来、皇室番組の構成を担当し、皇室研究をライフワークとしている。ワイドショーから政治経済番組、ラジオまで様々な番組の構成を手掛ける。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)『素顔の雅子さま』『素顔の美智子さま』(河出書房新社)などがある。