9月17日に発売された『バブル』(光文社)の著者、山口ミルコさんは、’93年に設立された幻冬舎で当初からヒット作を手掛け続けてきた名女性編集者。著者の自伝的ノンフィクションの本作には、まだ今ほどジェンダーギャップが社会問題化していなかった時代の中で悩みながらも編集という仕事愛し、乳がんを患いながらも懸命に生きる著者を軸に、さまざまな人生を歩む女性が登場します。
仕事、結婚、育児、離婚……。女性の活躍を推進する一方、同時にそれを許さない風潮も根強く残る社会で正解を求めて模索し、ときに後悔の念に苛まれ……。働く女性のみならず、主婦や休職中の女性など、あらゆる40代女性が先輩である登場人物たちの生き様のどこかに自らをシンクロさせずにはいられないはず。
「今、世の中では“女性が輝く社会”が声高に叫ばれているけど、そう簡単ではないことを私たちがいちばん知っている」。そんな私たちの背中を押してくれる言葉が散りばめられ、STORY読者なら共感できる作品です。ぜひ手に取ってみてください。
『バブル』/山口ミルコ(光文社) 定価(本体1,600円+税)
【山口ミルコ(やまぐち・みるこ)プロフィール】
1965年東京生まれ。専修大学文学部卒業後、外資系企業勤務を経て、角川書店雑誌編集部へ。「月刊カドカワ」等の編集に携わる。’94年2月、創業メンバーとして幻冬舎へ。編集者・プロデューサーとして、芸能から文芸まで幅広い出版活動に従事。五木寛之、さくらももこ、辻仁成、中山美穂、藤原紀香、小川洋子、江國香織等を担当し、大ベストセラーを量産。書籍編集のほか雑誌の創刊や映画製作に多数かかわり、海外留学旅行社の広報誌『wish』の編集長を10年にわたり務めた。’09年3月に幻冬舎を退社。フリーランスとなった矢先、乳がんを発症。その経験をもとに闘病記『毛のない生活』(ミシマ社、2012年)を上梓、作家デビュー。以降、エッセイ、ノンフィクションを執筆するほか、大学等で編集講義を行う。
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