数々の女性誌でレギュラーやカバーを担い、常にモデルとして第一線で活躍し続けてきた里子さん。昨年妊娠が判明し、いよいよ出産へのカウントダウン。今年40歳を迎えると同時に母となる今の心境とこれからのこと、話していただきました。
<仕事で駆け抜けた20代、30代の節目に来てくれた小さな命>
実は若い頃から結婚願望や子ども願望は強いほうでした。25歳の時、1回目の結婚をした頃は、ちょうど仕事が面白くなってきた頃だったので、子作りは30歳になってから、と後回しにしているうちに気付けば35歳、その後離婚してしまったので、妊活するタイミングを逸してしまったというのがこれまでの経緯。なので、今の主人とは、その先の子どものこともお互いのコンセンサスをとった上で、おつき合いをしていました。
いざ〝妊活〟と思っても、若い頃と違って、年齢的にもなかなか簡単にはいかないことを改めて実感。40歳を間近に控え、高齢出産という厚い壁に焦りを感じたこともありましたが、「君は絶対大丈夫だから」と、どっしりかまえた主人の言葉に支えられたこともありました。一緒に焦っていたら大変なことになるな、って思っていたからかもしれませんが(笑)。
そして、39歳の春、いよいよ妊娠判明! 普通ならここで大喜びするところだと思うのですが、私の場合、まだまだ何が起こるかわからない不安のほうが先走り、喜ぶタイミングがわからなかったほど。次の健診で万が一のことが起こっていたらどうしようなど、健診の前日はナーバスになってしまったことも。
5カ月を無事に経過して安定期に入り、戌の日に腹帯を巻いた時、ようやくほっとひと息。なので、喜ぶというよりは、ほっとする感覚のほうが強かったなって思います。
そして仕事をお休みして住む場所を実家へ移しました。〝お休み中、何をしていますか?〟とよく質問を受けるのですが、父と弟で自営業を営み、近所に住んでいる子育て中の妹が毎日訪れてくる大家族の我が家はとにかく賑やか。朝7時から次々と朝食が始まり、お昼も一緒、夕飯は18時に一緒に食べ、20時には家が静まり返る……が実家の日常なので、食事の仕度を手伝うだけで1日があっと言う間に終了(笑)。
安定期に入ってから何度か小旅行には行きましたが、コロナ禍で外出を控えていたので、実家でのいつもの日常を送ることが生活の中心でした。こんなにも仕事をせず、何も考えずにいられることが今までなかったので、何もしないことを楽しむことが、私にとってはむしろ有意義。ヴァイオリンを習いに行ってみたり、胎教にもいいかなと思い、昔やっていたピアノを弾いてみたり。
出産前に実家の近くに引っ越しを済ませ、今は夫婦2人の静かな暮らしに戻りましたが、仕事をしていたらできなかった家族と過ごした時間は、とても良かったと思っています。
<40代、子どもと暮らす未知の世界を、常に楽しく味わっていきたい>
妊娠・出産に至るまでには、気に病むことも沢山ありましたが、振り返ると、30代まではがむしゃらに仕事をし、40代から子育てをスタートできることって、自分にとっては凄く区切りがいいこと。待ちに待った小さな命が来るべき時に来てくれたと思っています。
今までは“この先私はこうしているだろうな”という感覚で、次に進むステップをイメージしながら仕事を続けていたのですが、出産後、子育てしながら仕事をしている自分の姿が、今は全く想像できない状況。実際に子育てを始めてみて、自分が何を考えるのかを待っている感じです。
いずれにせよ“いつまでにこうする”と先へ先へと考えるよりは、その時々の状況で柔軟でいたいと思っています。子育てが始まったら、今まで感じられなかった目線も出てくるだろうし。“40代、常に楽しく未知の世界を味わっていきたい”。
が、これからの私の気持ちでしょうか。 生まれてくる子どもは、私の予想に反して男の子でした。もともと、この先仕事に復帰することになったとしても、当分は都内に戻ることは考えていませんでした。もし引っ越すとしても海の近くなど、のびのびと子育てできる地を考えていましたが、男の子ならなおさら。
男の子と知った瞬間、主人と男同士で頑張ってもらえる!と、ちょっと気持ちが楽になりました(笑)。
これから始まる40代は、新しい感覚と出合いながら子育て中心の10年間になると思います。50歳になって、ようやく自分のことを考えられるようになった頃、また自分の感覚が戻ってくるのかな? とも。
でも2人目も考えているので、家族の形に変化ができるとまたそれも変わってくるのではないかと。今は、家族のほうが気持ちの優先順位が高いので、仕事面のことにイメージが描けなくなっていますが、未知の世界を進んでいきながら新しい自分を知ることも楽しみにしているところです。
撮影/竹内裕二(BALLPARK) モデル/小泉里子 ヘア/EIJI KADOTA(SIGNO) メーク/佐々木貞江 スタイリスト/安西こずえ 取材/鍋嶋まどか ※情報は2021年3月号掲載時のものです。