母としての一番の想いは「子どもに幸せに育ってほしい」。シンプルにそれに尽きますよね。世は「風の時代」に突入。多様化する時代を背景に、未来を担う子どもたちはどう育つのでしょうか。
★ 私の「宝物」でもある娘の成長と、大きくなった時の未来を思う
娘に毎日毎日「好きだよ」と伝えています。
朝起きた時、ご飯を食べている時、ふとした時、寝る前にも……しつこい、と思われていそう。でもね、気がついたら自然と口にしている自分がいるんです。だって好きだから。
「ママの宝物だよ」と伝えた時は、「物じゃない!」と言い返されたことも。……うん。確かにその通り。
3歳を過ぎたあたりから急激に物事を理解するようになり、口もだいぶ達者になった娘。無邪気で子どもらしいピュアさと、ドキッとさせられる大人びた表情と、どちらも微笑ましく感じる毎日です。
自分が3歳だった頃はどんな子だったんだろう。
ふと気になって母に聞いてみたところ、外では引っ込み思案だったけれど、家に帰ると活発になる……そんな子だったらしいんです。確かに、人前で話をしたり写真に撮られたり、注目されることは大の苦手だったことを記憶しています。
幼稚園・小学校の卒業アルバムでは、写真撮影の際にあまりにも笑えないがために、先生がフレームインしないように気を使いながら、私の脇腹をこちょこちょ……。
そんな性格だったので、まさかモデルという職業につくとは、私はもちろんのこと、身内は思いもしなかったと思う。人ってわからないものですよね。
自分以外の、人ってわからないな、と思ったエピソードは、私が大好きな、行きつけの焼き菓子屋さんの奥様。そのお店の焼き菓子は、素材を邪魔しない甘さのバランス、小麦粉やバターの風味、どこかホッとする素朴感もあって本当に大好き。美味しいだけじゃなくて、幸せな気持ちにしてくれるんです。
「趣味の延長ではじめたんですよ」とサラッと奥様はおっしゃるのですが、その域を確実に超えていて。何故こんなにも美味しい焼き菓子が作れるのかと聞いてみたら、「私、甘いものが得意じゃないんです」と思いもよらない答えが返ってきたんです。
美味しさの秘訣を聞いて、私も真似できるヒントがあれば! なんて思っていただけに拍子抜け……。好きなことを職業にできる人もいれば、そうじゃないことを、ひょんなきっかけで職業にできた人もいる。
娘はいったいどんな職業に興味を持つのだろう。
時代が目まぐるしく変わり、母として心配は尽きないけれど、娘が興味を持つことは、どんなことでも基本、応援してあげたい。
個性がより大切になり、平等に誰にでもチャンスが訪れると言われている「風の時代」。娘の個性を大切に、産まれた時そのままの彼女を育んでいきたいと思っています。だって、私の宝物だから。
題字、撮影、文/高垣麗子 取材/石川 恵 ※情報は2021年4月号掲載時のものです。