皆さん、こんにちは。教育ジャーナリストの鳥居りんこです。前回は「結婚するなら、2番目に好きな人!中学受験も同じかも!?」ということで、併願校のラインアップを組むことが大事だよ~って話をしました。
今回から「【中学受験】併願校の組み方」について話題を広げていきましょう。
中学受験も受験ですので、合格ラインに達しない限りは入学できないのですが、一方で、受験校を自由に選ぶことができるのが中学受験の強みでもあります。
しかし、この「自由に選ぶ」ということが実は難しい。ホレ、あなたも今、今夜の献立で悩んでいるでしょ?(笑)何でもそうですが、選択肢が多いと逆に迷っちゃうんですよね~。
そのため、受験では皆さんもよくご存知の“難易度”という目盛りが参考にされます。これと同時に自分自身の立ち位置を知るための“偏差値”という数字も重視されます。この数字、ホント、嫌ですよね~。これ見るだけで過呼吸になる母、多しですもん。
この偏差値、たかが偏差値ですが、されど偏差値。中学受験の場合、この持ち偏差値を基点に、適正校、チャレンジ校、安全校という具合に併願校を組んでいくことが一般的です。
適正校というのは、模試の結果で合格の可能性が80%に達している、またはその前後であろうと予測される“実力相応校”。心身ともに健康状態が良好であれば、美味しく「いただきます!」ってことになりますね。
一方で、チャレンジ校と呼ばれるのが合格可能性が50%に達しているか、その前後であろうと予測される学校。2回受ければ、1回は受かる可能性もあるが、どちらに転ぶかは神のみぞ知るという「絶対」とは言えない学校がこれに当たります。う~ん、心許ない・・・。
更に、合格可能性が80%以上に達していると予測される学校が“安全校”、すなわち“押さえ校”と呼ばれるものです。こちらは、よほどのアクシデントがない限りは合格するであろうという学校。「ごっつぁんです!」って感じですかね。
また、今では、少なくなってきましたが、この他にも「記念受験」と呼ばれる受験があります。合格の可能性は極めて厳しいものの「挑戦はしたい!」という、どちらかと言えば「当たって砕けろ!」的な受験を指します。
こちらに合格することを業界用語で“ミラクル合格”と呼びますが、高確率で非常に厳しい未来が待ち受けているので、入学に当たっては覚悟が必要です。
中高一貫校は、入試レベルの知識は習得済という意識で中1、4月からの授業計画を組んでの6年間になりますので「勉強に付いていけない問題」が出ちゃうんですよ。入試日に最大瞬間風速を記録する実力が出ちゃうとミラクル合格が起こり得ますが、喜んでばかりもいられない合格だなぁ…って思っています。
更にもうひとつ、呼び名が付いている受験があります。「お試し受験」と呼ばれるものです。主に、2月校が本番となる東京・神奈川の受験生が挑む千葉・埼玉、あるいは地方の学校が実施する「1月校受験」のことです。
こちらは2月の本番のための“肩慣らし”という意味合いが強い受験です。そのため、「合格しても進学しない」ということを前提とした受験になりやすいですが、本番前のプレッシャーを軽減させるために向かう受験になります。
実際に合格証書をもらって、ここで一発、自信をつけてから本番に臨むという位置づけが大きいので「安全校」を受験することが多いですが、ここで早くも「まさかの不合格」という衝撃を喰らう子もいます(この経験も中々、良いものですよ)。
逆に言えば、子どもにとっての中学受験は、何が起こるか分からないものだということを指します。まさに「受験は水もの」。
「本番の試験」での緊張感は「生まれてはじめて」ともいえるでしょうから、ほんの些細な出来事で受験結果が「まさか!」に転がることは、むしろ普通と言えるでしょう。
でもね、本番の入試は「たった一人で挑む試験」です。そこには、いつも傍にいるはずのママも塾の先生もいません。自分の力だけで、己の未来を切り拓いていくという得難い経験。本人は当然ですが、親にとっても一生、忘れられない日になります。
まとめるならば、中学受験はチャレンジ校を含めた「併願ラインナップ大作戦」が大事。本命校合格を獲りに行くために“作戦”を綿密に立てなければならないってことです。
この“作戦”。敵陣(志望校を敵呼ばわりするのもどうかとは思いますが(^-^;))を知らなければ、作戦の立てようもないことは明白。要するに、親の仕事は「志望校選び」に尽きると言っても過言ではないのです。つまりは「推し選び」ってことですね。
これは、実際にその学校に足を運ばない限りは、中々、見えてこないものなので、大変な労力が必要ですが、この「推し選び」、ハマると実に楽しいものになる!
次回からは、いよいよ「推し選び」のコツをイロハから語っていきますよ~。お楽しみに!
次回は5月25日に配信予定です。
鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト
003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。
その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。
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