皆さん、こんにちは。教育ジャーナリストの鳥居りんこです。
前回は「中学受験は併願校選びが重要よ!」と申し上げました。今回は更にこの問題を深堀りします。題しまして「推しの決め方、イロハのイ」。
今現在、全国に中学校というものは10200校ほど存在します(令和2年文科省学校基本調査より)。その中で「私立」という、ぶっちゃけ「お金がかかる学校」があるのですが、その数が約800校。
首都圏1都3県で約300校、近畿圏2府2県で約140校ですので、やはり私立中学は都市圏に集中して建っていることが分かります。
しかも、東京だけでも180校以上もある!(注:男子校、女子校という区分けもあるので、候補となる学校はこれより少なくなるよ~)おまけに、鉄道会社さまの尋常じゃないご努力で、我が国の鉄道網は著しく発展しておりますから、越境なんてなんのその!千葉県在住の子が東京の学校に通うなんてことは、特に珍しくもなんともありません。
つまり、夢と希望に満ち溢れている低学年の子を持つ母にとっては、選択肢は無限大です。
そこから好きな学校を選べばいいだけ!(「え?待って!偏差値問題があるじゃない?」と思ったあなた。今は夢と希望を持った低学年の子を持つママに向かって演説中です(*^^)v)
もう、片っ端から、どんな学校かを見て回って“推し学校”を選んでちょ!って話です。
しかしです。哀しいかな、私らはそんなに暇じゃないわけですよ。仕事の他にも親業、主婦業、嫁&娘業をこなし、更には「見逃し配信」のドラマだって見ないといけないという多忙な日々を繰り返しているんですから、やっぱり、見学に行くにも限界がある。
ある程度は的を絞って行かないと、どなた様も皆、お年頃ですから体力が持ちません。そこで、今回は「学校見学に行く前に、これやっとけ!」ってことをお話しますね。
(6年生であれば志望校も固まっていることが多いでしょうから、ここでは5年生以下のお子さんを持つママ向けにお話ししますが、いずれ「受験直前6年生の震えるママ」向けの学校説明会ポイントも伝授しますからね~)
1 まずは自宅から通わせるのか、否かを考える
私立中学は親元から通学することが原則ですが、学校によっては祖父母宅、あるいは母子での逆単身赴任というケースを認めています。このように、地方在住の子が都市圏の学校に通学することも稀ではないんです(その逆(都市圏在住→地方都市)も然り)。
また、寮完備という学校も全国に見られます。つまり、中学から子どもを寮に突っ込むということですね。この12歳で親元から離すという選択は子どもの独立心が養われるようで、結果、親子関係が非常に良好になるというケースの方が多いなぁという感想を持ちます。
また、コロナ禍前は中学生から海外留学を実行する人も決して少なくはなかったんですよ~。中には、パパだけ日本に残るって選択をされる方もおられます。
これはご家庭ごとの判断ですが、親御さんによっては「12歳での巣立ち」が「断腸の思い」になってしまうので、こればかりはママやパパとお子さんの性格によるかもしれないですね。
いずれにせよ「子ども12歳」→「家族は一緒に住むべきか、否か?」問題をクリアにしてみましょう。
2 自宅からドアツードア1時間半以内の学校をピックアップする
今はネット1つで簡単に学校所在地が分かり、自宅最寄駅から学校までのルートや時間が検索できる、とてもいい時代になりました。
受験塾や地図屋さんたちが「私立中学(&公立中高一貫校)マップ」なんてものをこしらえてくれていますから、見やすいものを探してみてください。「この路線を使えば、ここって近いんだ!?」みたいな意外な発見があるかもしれませんよ~。
私の取材の中での最長通学時間は2時間半。こちらは、お子さんがどうしても!と願ったために、山梨県から都内まで通っていたケースですが、とてもレアだと思います。
多くは長くても2時間以内ですが、中学生の荷物は多くて重いということもありますし、授業に部活にとなると体力的に厳しくなるので、私はドアツードアで1時間半までを推奨しています。
(余談ですが、長時間通学を厭わず志願する子は6年間無遅刻無欠席の皆勤賞という栄冠を手にすることがとても多いので、やはり、何事も意志の力が勝つのかもしれません)
ただ、現在は先述したように交通網が発達しているので、県を跨いでの通学も可能。新幹線で通学している子も珍しくはありません。それゆえ、先入観を捨てて、どの地域までならば、無理なく通えるのかのシミュレーションをしてみましょう。
3 偏差値にかかわらず、通学範囲内の学校情報を集めてみる
5年生までであれば、その実力はまだまだ未知数。偏差値に縛られず、通学範囲内で、なるべく多くの学校に触れてみて下さい。
まずは学校HPを検索してみて、どんな教育をしているのかを覗いてみて下さい。それらHPを眺めている内に、自分が注目しているポイントを自分で意識することが大事です。
「ここ良さげ!」と思う部分は、教育方針なのか、学校行事なのか、はたまた制服の可愛さなのか、学費の安さなのかということを自分の中で掴んでおけると、後々の選択時にすっごくいいですよ。
まずはここから。次回から、いよいよ「実際に学校説明会に参加してみた」編に移ります。
また、6月5日にお会いしましょう。
鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト
003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。
その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。
ブログ:湘南オバちゃんクラブ https://note.com/torinko
Facebook: 鳥居りんこ: https://www.facebook.com/rinko.torii