秋がきました。食欲の秋、スポーツの秋、そして芸術の秋ですよね。ところが、私、絵画とか彫刻とかに全くうとくて、お恥ずかしいんですが、取材や撮影でくらいしか、美術館に行ったことがないんです。ところが、そんな美術音痴の私が、最近、急に『絵』に興味を持ち始めました。きっかけになったのが 今日紹介する作品・原田ハマさんの『楽園のカンヴァス』です。そういえば、最近、ルーブル美術館で『裸のモナリザ』が見つかり、男性か女性か、モナリザの下絵か否かなど、話題を呼んでいますよね。こちらも、絵画に秘められた謎を、2人の研究家が探偵のように、解き明かしていくという物語なんです。
スイスの大富豪の邸宅に2人のルソー研究家が招かれます。一人は、ニューヨーク近代美術館のキュレーター・ティム・ブラウン、そしてもう一人は、かつてルソーの研究家だった早川織絵。邸宅には、ルソーの名作『夢』にそっくりな作品がもう1枚所蔵されていました。そして、持ち主から、「この真贋を正しく判定をした方に絵を譲る」と告げられたのです。手がかりとなる古書を7日間かけて1章ずつ読み進める中で、2人は、作品が本物か否かを推理していく。はたして、正しい答えを出せるのはどちらか。この絵に隠された謎は何か……?
推理小説ではないのですが、少しずつ、明らかになっていく真実、絵を手に入れたい二人の駆け引き、攻防や推理、2人の研究家の背景などが複雑に重なり、物語の世界へとワクワクどきどきしながら、引き込まれてしまいます。
この本を読めば、私みたいに 絵は退屈、と思っている方も、関心がきっと湧いてくるはず。この秋は、シャガール展やゴッホ展など巨匠の展覧会も目白押し。早速足を運んでみなせんか?絵画が楽しめれば、これからの人生がもっと楽しく豊かになりそうですよね。