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Lifestyle特集

壇蜜さん流ストレスを乗り越える方法【もっとラクに生きる方法】

子ども、夫婦関係、学校、仕事、SNS……いろいろな役割やしがらみに疲れる40代。「もっとラクに生きる方法ってないのかしら……」。ふと、少しは考えたことはありませんか? 壇蜜さんは「心にコスプレ」することで、そのストレスを乗り越えると言います。さて、どういうことでしょう?

◯ 壇蜜さん

1980年秋田県生まれ。東京の小~大学一貫女子校卒業後、調理師免許、日本舞踊の師範、遺体衛生保全士など数々の資格取得。29歳でグラビアデビュー以降、テレビや映画、知性を活かしコメンテーターなど幅広く活躍中。2019年、漫画家・清野とおるさんと結婚。


<壇蜜さんが提唱する 〝心のコスプレ〟とは、 どういうことですか?>

「心のコスプレ」で別人格を演じ、問題を柔軟に乗り切って

――まず「心にコスプレ」をするというのは、どういうことか教えてください。

壇蜜さん 本来の自分とは違う自分になりきってみせること、です。自分の心の中に暗示をかけ、別人格を演じる。心の中に劇場を持ち、女優になりきる。そうすることでストレスやトラブルが回避できると思っています。
例えば、若いコたちが多い現場では、私もあえて「はいはい~」と母親ぐらいのテンションでいきます。若いフリをせず、「目上の人になりきる」ことで、相手に不快感を与えない気がします。今思えば、私の母も「心にコスプレ」をしていたと思います。単身赴任の父が帰宅するたび「父を尊重する素振り」をしていたのかと。「1品、2品、料理を多く作らなきゃ」「お父さんが来るから家の中をちゃんとしなきゃ」というように。甲斐甲斐しい自分を演じて頑張っていたのではないかと感じます。頑張る必要ない、という人もいますが、我慢や苦労を演じるのも時には必要かと思います。相手のためにも……。
 

――本来の自分とは違うと思っても、女優のように演じ、問題を乗り越えるということですか?

壇蜜さん そうです。女性はみんな女優。柔軟に「心にコスプレ」をしたほうがラクだし、難題を乗り切ることができるかと。

――「心にコスプレ」が必要と感じたきっかけは、何だったのですか?

壇蜜さん 「心にコスプレ」と言い始めたのは、2、3年前から。いろんな経験を得てたどり着いた結論です。
10年程前、ネタとしてブログ内の動画で「心に松岡修造さんを宿すと熱くなる!」とランニングシャツを着て、松岡さんが言いそうなことを言いながらコスプレをしてみたんです。するとこれがちょっとウケまして。また、銀座のホステス時代に、周りの仲間と仕事裏で「本音で勝負しなくてもいいんじゃない?」と話したり、マンガや小説の登場人物も女優のように演じうまく立ち回っていた。そんなことを感じているうちに「心にコスプレ」という自己表現のほうがラクになる人もいるのかなと思い始めました。
 

「ありのまま」ではツライ心に膜を張ることで傷の予防が必要

――でも最近は「ありのままの私でいたい」という風潮もありますよね?

壇蜜さん そうなんです。「心のコスプレ」の答えが出てきた途中、手から氷を出す人が「♪ありのままで~」と出てきて(笑)。こりゃ大丈夫か? となりました。「ありのままで」は、私とは真逆の考え方です。“ありのまま勢”は否定しませんが“ありのままではない勢”の存在も認めてほしい。どちらも選べる社会でなくては。“ありのまま勢”や「MeToo運動」などで活動されている団体などは、今までに傷を負っていらっしゃる。だからこそ声を上げているのですが、この“ありのままではない勢”の「心にコスプレする勢」は心にまず膜を張り、自分が女優になることで盾を作って、心に直接傷がつくことを予防する。本来の自分に傷はつきません。女優になっている側の偽りの自分に傷がつくだけですから、根本的に心の痛手の深さが違います。「心にコスプレ」をするということは、大事な本来の自分を守ること。ちょっとした噓をつかなきゃ正気じゃいられない時って、誰にでもあると思うんです。本音で語り合ったりすると、傷つくことが増えていくのが大人だと思っています。
 

ストレスで心は鍛えられる女性は人生の選択肢が多い

――その噓でストレスは溜まりませんか?

壇蜜さん もちろん溜まります。でも私はストレスや抑圧のない社会なんて、怖くて住んでいられない気がします。「心にコスプレ」もストレスを最小限に感じながら、鍛錬していく感じ。ラクすぎると心が鍛えられなくなって、本当に苦痛な時に耐えられないんじゃないかと。ほんのり苦い、微毒ヘビに嚙まれている状態がベストです。その微毒をどうにかしようとして取り組むのが人間として生きるということだと思っています。
 

――最近、ご結婚されましたが何か心境の変化はありましたか?

壇蜜さん
 よくそういった質問をされます。そして「やっぱり子どもが欲しくなったのね」と言われます。でも決してそういうことではなくて。今は、子どもが欲しいと思っていません。家族を増やすために結婚したのでなく、この不自由な時代に自立をさらに強めるための結婚。そういうことを言うと、同調圧力を受けたり、周りの人との摩擦を感じる時もあります。でも、女性の選択肢は多く、いろんな意見があって当然です。
 

『三十路女は分が悪い』

webサイトで連載された女性からの「お悩み相談」に壇蜜さんならではの視点でアドバイス。ここでも「心のコスプレ」をたくさん紹介。さらに自身の半生を振り返った書下ろしも収録。Ⓒ壇蜜 中央公論新社

〈壇蜜さん着用分〉ブラウス¥16,500スカート¥16,500(ともにローファッジ/ホワイトジョーラ)〈ラックにかかっている服・左奥〉ニット¥16,500(ソーノ/ミラク) パンツ¥15,400ブラウス¥17,600(ともにミューニック/ピーチ) リネンタイトスカート¥15,400(セテンス/ミラク)水玉スカート¥26,400(ソーノ/ミラク)グルカラップスカート¥9,900(リノーム バイ エーティー/クロスプラス)ブラウス¥18,700(ソーノ/ミラク)ブラウス¥18,700(セテンス/ミラク)ブラウス¥16,500(ソーノ/ミラク)〈ラックにかかっている服・右手前〉ブラウス¥15,400(ミューニック/ピーチ)他はスタッフ私物

撮影/須藤敬一(人物)、清藤直樹(静物)ヘア・メーク/妻鹿亜耶子 スタイリスト/奥田ひろ子 取材/東 理恵 ※情報は2021年7月号掲載時のものです。

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