Lifestyle特集

女優・小松みゆきさんが49歳で母になるまで

産後2カ月にも拘わらず、落ち着いた笑みを浮かべ、余裕のある動きで赤ちゃんのお世話をする小松さん。49歳という高齢で出産されるまでの厳しさと現実、奇跡的な出産から、最新の不妊治療事情を考えます。

◯ 小松みゆきさん

1971年6月5日生まれ。福島県出身。1990年、大学在学中にグラビアデビュー後、女優として数多くの作品で活躍。

現在公開中の映画『僕が君の耳になる』にも出演。インスタ(@miyuki.komatsu.no.5)では不妊治療にまつわる情報も発信。

<History>

2O1O__39歳 8歳年下の旦那様と結婚

2O13__42歳 総合病院で不妊治療をスタート。 タイミング法、人工授精にトライ

2O14__43歳 小さなクリニックで体外受精にトライ

2O16__45歳 不妊治療専門クリニックへ転院。 採卵、移植を繰り返すも妊娠せず。4つの受精卵に着床前診断をして凍結

2O17__46歳 一旦、不妊治療をお休み

2O18__47歳 受精卵の凍結保存期間終了にあたり、治療を再開。移植前の検査で子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎が見つかり、手術

2O19__48歳 子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎の再発。再手術。移植

2O2O__49歳 妊娠

2O21__49歳 第一子を出産


★ 21年2月に49歳8カ月で出産。 7年の不妊治療を経て今、思うことをお聞きしました

-- 42歳から不妊治療をスタートされたきっかけを教えてください。

39歳で結婚し、子どもは自然にと思っていたのですがなかなか妊娠せず、40歳で不妊治療を視野に入れ始めました。すぐにでも病院に行きたかったのですが、不妊治療は通院回数も多いことから、仕事との両立が困難だと思い、仕事の調整をつけて42歳からのスタートになりました。

当時は今ほどSNSが発達していなくて、病院のオフィシャルサイトや知人のリアルな口コミでしか病院を選べない時代。治療後、妊娠・出産のステップを考えると大きいところがいいだろうという視点で、最初は総合病院を選びました。病院の方針ですぐに体外受精(*1)にはステップアップできなくて、約1年間タイミング(*2)法や人工授精(*3)を繰り返しましたが結果が出ず、「セオリー通りの治療では年齢的に妊娠しないな」と思い、体外受精を行っている小さなクリニックへ転院。

何度か体外受精にトライしましたが上手くいかず、あれこれ調べているうちに不妊治療専門クリニックの存在を知り、さらに転院しました。

そこでは今までの病院とは違い、夫の精子の形や運動量なども詳しく検査され、技術や設備の差を目の当たりにし、改めて高齢出産に該当する人は不妊治療専門クリニックに通わないといけないと実感。毎月生理があるから大丈夫とか、持病がないから心配ないと過信せずに、自分も夫もきちんと検査を受けたうえで治療をすることの大切さを感じました。

ただ、高度生殖医療を受けているからといってすぐに妊娠できるわけではなく、採卵(*4)、移植(*5)を繰り返すも心拍が確認できずに流産、ということが続きました。45歳のとき、4つの受精卵を凍結保存(*6)できたのですが、不妊治療における40代後半の妊娠確率の低さを知っていたので、「これ以上、治療を続けても無理かもしれない」と思い、仕事の都合もあり一旦治療をお休みすることにしました。

-- 7年間の不妊治療の中でなかなか結果が出ないとき、どんなふうに気持ちを切り替えていましたか?

着床(*7)はするけど心拍が確認できず流産、ということが続き「私の体に原因があるのかも」と自分を責めたり、答えが見えないまま悩んだこともありました。そんなときはなるべく、「年齢的に結果が出にくい現実を受け入れよう」と心掛けていました。

また、結果がどうであれ、夫が落ち込むことなく、私を過剰に励ますこともなく、普段通りに過ごしてくれたことに助けられましたね。治療中、〝細胞は食べたものからできている〟と知り食生活も見直し、鶏肉・魚・野菜・大豆中心で、加工肉は使わない食事に変えました。良質なたんぱく質を摂取したりスタミナをつけたりと、妊娠が継続できる体作りを意識していました。

外出時に重宝する液体ミルク。紙パック用の乳首をセットすれば、場所を問わずミルクがあげられて便利。日々進化する育児グッズにも助けられています。

-- 47歳で治療を再開された際の後押しとなったものはなんですか?

45歳で凍結した受精卵の保存期間が2年で終了するタイミングで治療を再開し、移植を決意しました。

そこで移植前に自分の体が妊娠に耐えられるかどうかを調べるため、検査を受けたところ、子宮内膜ポリープ(*8)と慢性子宮内膜炎(*9)が発覚。一度治療するも再発し、再手術を経て48歳で受精卵をお腹に戻しました。

実は、受精卵を凍結保存する際、着床前診断(*10)をしておいたんです。4つの受精卵のうち、染色体異常がなく適切なサイズだった受精卵を移植して、妊娠・出産に至りました。長年不妊治療をしてきて、ここ4、5年で治療内容の進化を感じているのですが、着床前診断もそのひとつ。賛否はありますが、日本でも条件付きで徐々に承認されつつある印象です。

高齢であればあるほど、着床前診断を受けてほしい、というのが私の考え。検査をせずに移植し、着床しないとか、流産してしまったとショックを受ける人も多いですが、染色体異常は受精卵の時点で決まっていることなんです。受精卵の段階でそれを調べることができれば、染色体異常による流産を予防でき、必要以上に悲しむことも、自分を責めることもしなくていい。

1回数十万の費用がかかりますが、治療に時間や労力をかけられない40代にとって、着実に妊娠の確率を高めるためには必要だと思っています。私自身、8週目の頃に大量出血をしたのですが、着床前診断で得た結果があったので、むやみに不安に陥ることなく、冷静でいられました。不妊治療をしているとジンクス的なもので一喜一憂しがちですが、きちんと検査をした医学的なデータを元に、エモーショナルにならずに治療を進めていくことも大事だと思います。

-- 不妊治療を受けるにあたり、自分に合った病院を見つけるにはどうしたらいいでしょうか?

不妊治療とひとことで言っても、排卵誘発剤(*11)が飲み薬の病院もあれば、自己注射を行うところもあったり、移植後、着床しやすくするために使う薬も違ったりと、治療の内容は病院によって様々。その効果はやってみないとわからないことがほとんどで、私自身も病院選びは本当に難しいと感じていました。

私の経験から言えるとしたら、高齢の人ほど、不妊治療専門クリニックへ行ってほしいということ。またこの4、5年で不妊治療は格段に進化していると感じるので、新しい病院や最新の治療を取り入れている病院を選んで、最先端の医療を受けることもひとつの方法だと思います。

治療開始当初、私は「病院に行けばなんとかなる」という認識でした。でも病院に言われるがままに治療を受けているだけでは妊娠に繋がりにくい、というのが率直な感想。それに、不妊治療って魔物で「今回はダメでも次はいける!」って根拠もなく思いがちで、当てもなく続けてしまうんですよね。

ただ淡々と繰り返すだけじゃなく、自ら治療法や使用する薬について調べたり、自分が妊娠に耐えうる体なのか、夫の精子は正常なのかなど、きちんと検査を受けることも大切です。検査にはお金も時間もかかるけれど、結果それが妊娠への近道になると思っています。

ワンピース(RANDA)

-- 49歳8カ月で第一子を出産された今、どんなお気持ちですか?

正直、12週を過ぎるまでは本当に妊娠しているのか、疑心暗鬼でした。着床前診断はしているものの「年齢的にいつ流産してもおかしくない」と、いつも頭の隅にあったので、毎回検診が終わると夫に「生きてたよ」と連絡していました。妊娠中も〝流産〟という言葉が頭から離れず、浮かれずに予防線を張っていた感じです。

出産した今は、娘と保護猫11匹の世話に追われています。両親は高齢なのとコロナ禍もあり頼れませんが、年齢のせいか「長く寝たい」という願望がないので、まとめて睡眠が取れなくても大丈夫なのは嬉しい発見でした。

娘がぐずっていても、戸惑うことなく対応できるのも年の功なのかな、と。夫も今までより1時間早く起きて育児や家事、猫の世話をしてくれるので、出産して以来「キツイ!」っていうのは1回もないですね。ただ、先日娘と2人で検診に行った際、ベビーカーの車の積み下ろしや荷物の整理に時間がかかり大変だったので、外出の際の荷物問題は模索中です。

-- 最後に、これから不妊治療に取り組もうとしている40代にメッセージをいただきたいです。

49歳で出産、というのはありがたいことに奇跡。実際私も45歳のときの受精卵で妊娠しているので、49歳でも妊娠できると思わないでほしいし、期待を持ちすぎないでほしいなと思っています。

40代後半になると顕微授精(*12)でも妊娠の可能性はとても低くなります。40代後半で出産されている方の多くは、まず第一子ではありません。そして不妊治療でも卵子提供がほとんど。厳しい現実のように聞こえますが、40代後半で自分の卵子で妊娠することはほぼないと認識した方がいいと思います。

40代というと、みなさん働き盛りでキャリアを優先して妊娠時期を逃す人も多いですよね。私もそうだったので、よくわかります。実際にひとり産んだ今、「もうひとり欲しい」と思ってしまって、なんでそこを逃しちゃったんだろうっていう後悔があります。

目の前の仕事をやり遂げたいとか、キャリアアップを目指したいという気持ちもわかりますが、キャリアは取り戻せます。だけど妊娠のタイミングは取り戻せません。もし妊娠を望むなら、その選択を見誤ることなく、積極的に不妊治療の情報を収集したり、自分たちの体を検査したうえで、治療に取り組んでほしいと思います。


<不妊治療で知っておくべき基本頻出ワード集>

*1体外受精
卵子と精子を体外に取り出して受精させ、受精卵(胚)を子宮腔に移植する一連の操作のこと。通常は卵子を多く採取するため、調節卵巣刺激を行う。

*2タイミング法
排卵を予測して性交タイミングを指導する方法。超音波による卵胞径の計測や基礎体温、血中・尿中のLH(排卵を促し、卵胞を黄体へ変化させる黄体化ホルモン)の数値を参考に排卵予測。

*3人工授精
排卵時期に合わせて、精液を洗浄・濃縮し、直接子宮内へ注入する方法。

*4採卵
経膣超音波下で卵巣内の成熟した卵胞に穿刺針を挿入し、卵胞液とともに卵子を吸引して回収すること。通常は麻酔をかけて行われる。

*5移植
受精卵を子宮内に入れること。卵巣刺激と同じ周期に胚移植することを新鮮胚移植、一旦凍結し卵巣刺激周期と違う周期に、凍結した受精卵を溶かして胚移植することを融解胚移植という。自然周期かホルモン剤補充による子宮内膜調整で周期を作り、胚移植を行う。

*6凍結保存
受精卵を液体窒素により凍結保存する方法。子宮内膜調整による着床改善のために利用される。

*7着床
受精卵が子宮内膜に侵入し、母体との間で生物的な結合が成立した状態。胎盤の基になる絨毛が成長し、ヒト絨毛ホルモン(HCG)が分泌されると妊娠判定が陽性になる。

*8子宮内膜ポリープ
子宮内膜から突出した粘膜で、月経時の粘膜が部分的に残存したため生じると考えられている。月経により新たにできたり、自然に消失することがある。不妊症の一因と考えられ、子宮内膜ポリープ切除術を行うことで着床の条件が改善され、妊娠率が高まるという報告が多い。

*9慢性子宮内膜炎
子宮内膜に慢性的に炎症があるという概念。まだ妊娠に対して確立された疾患と言えるほどのエビデンスは少ない。

*10着床前診断
体外受精で得られた受精卵の細胞の一部を遺伝学的に解析し、移植する胚を選択する技術のこと。解析する対象により大きく3つに分類されるが、ここでは着床前胚染色体異数性検査(PGT‒A)を指す。胚の全染色体を検査、染色体数に異常がない胚を選別。日本産科婦人科学会が認可した施設でのみ受けられるが、日本では研究段階である。

*11排卵誘発剤
排卵を促すために使用する注射や内服薬のこと。

*12顕微授精
繊細なガラス針を用いて精子1つを成熟卵子に注入し、授精させる操作。精子数が少ない場合や受精障害がある場合に行う。


<小松さんの旦那様に聞く、男にとっての「不妊治療」>

不妊治療を通じて感じたのは、女性だけじゃなく男性もきちんと調べた方がいいということ。男性って「自分は大丈夫」と根拠なく自信を持ってしまう人が多いと思うのですが、男性の体にもバイオリズムがあって、精液検査の結果も毎回バラバラ。いい時もあれば悪い時もあり、僕自身も体を見直すきっかけになりました。病院に行くのを恥ずかしいと思わず、本格的な治療に入る前に夫婦できちんと検査を受けることが大切だと思います。

撮影/前 康輔 ヘア・メーク/末光陽子 スタイリスト/佐藤友美  取材/坂本結香 ※情報は2021年7月号掲載時のものです。

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