皆さん、こんにちは。教育ジャーナリストの鳥居りんこです。
「子育てを目一杯、楽しもう!実は楽しい【中学受験】」。前回は「学校説明会では先生に話しかけてみよう!」という話をしました。
今回は、更にディープにその学校のことを知るために「個別相談をしてみよう!」ということを語りますね。
学校説明会ではどの学校も必ずと言っていいほど「個別相談ブース」を設けております。
説明会の席上で「質問タイム」の時間を取っている学校もありますが、やはり、ママ達マダムは奥ゆかしいので、中々、大勢の人の前で挙手する勇気が持てないことは、むしろ普通でありましょう。
その場で挙手した順に合格切符をくれるというのであれば「ドンドン手を挙げて質問しましょう!」とアドバイスしますが、そんなことはあるわけないので「ここ、確認しておきたいなぁ」ってことは後で、個別に聞くに限ります。
先生が時間を割いて、至近距離で懇切丁寧且つ真心こめて、「あなただけのお悩み」を「あなただけのために解決」しようとしてくれる空間が漏れなく付いてくるんです。
しかも、「無料!」。これは行くしかないですね。
特に、何かご家庭に特殊な事情がある場合には、正直に先生に打ち明けてみてください。
例えば、何らかのハンディがあって教育的配慮を求めたいという希望がある場合や、地方在住のため、祖父母の家から通学させたい、実は経済的余裕がないなど、人にはそれぞれ、色んな背景があるものです。
よく耳にするのは、発達障害のお子さんのケースですね。
親御さんが入学後にカミングアウトなさって配慮を要求されることがあります。
もちろん、学校は基本的に入試を突破して入学されるお子さん全員を大歓迎して迎えるのですが、特別な配慮を必要とする場合には、事前に承知している方がより良い配慮が可能になることがあるってことみたいです。
このあたりは学校によっても、お子さんのタイプによっても、もっと細かく言えば学年団によってもケースバイケースになるので、その学校があなたのお子さんの環境としてよりベター(世の中にベストなものは存在しないのです。親がやるべきことは「より良い」と考える場所に子どもを置くことですね)かの判断をくだすためには、実際に、あなたから胸襟開いて、学校と対話しなければならないんですよ~。
「そんな特殊ケースをカミングアウトしたら、入試に不利になるのでは?」と震えるママもおられるでしょう。でも、大丈夫!そこは杞憂です。
「カミングアウトを受けたから、不合格にする」なんていうことをイチイチやっている暇は学校にはありません。中学受験は良くも悪くも、当日の試験の出来次第。一発勝負なんです。
そういう意味では公明正大。安心していいです。
もうひとつ付け加えるならば、あなたの悩みは学校から見たら特殊な悩みではありません。
「よくあるケース」とまでは言いませんが、多分、先生方は「あ!それな!?承知!」くらいの器で受け止めてくれます。毎年毎年、同じ年頃の子が山のようにやってくるのですから、大抵の私立中高一貫校は経験豊富です。
それにね、「NO」ならば「NO」でいいのです。
学校は意外と正直で「本校ではちょっと…」という場合はちゃんとこちらにも「あ~、ダメなのね…」と伝わってきますから。
その場合、その学校を志望校から外せばいいだけの話です。
あなたのお子さんのベターライフに向かって、次に行く良いキッカケになりますし、もし「ウェルカム!」と言われて志望校になったならば、あとは学力を上げればいいだけ!(←これが一番、難しいね…)
言えるのは、確認した方がよいことを、確認しないまま受験期間を過ごし、「入学したら相談しよう」という「曖昧さ」はご家庭、学校、双方にとって幸せに繋がらない場合が多いよということですかね。
特別な事情は思い当たらない、思い当たるとすれば「成績だけ(涙)」ってママも一杯おられるでしょう。その場合も個別相談は威力を発揮しますよ。
なにせ、その場におられる先生は実際の入試問題の作成者である可能性が高いのです。
もし、過去問をやってみて、どうしても解らない問題がある場合、その場でレクチャーしてくださることもありますし、苦手な単元の攻略法なども、まるで水を得た魚のように教えてくださったりしますよ。
自慢じゃありませんが、私は息子の「難読文字=9か7か1か判別不能問題」にノイローゼになりそうだったので、模試の回答用紙を持参して志望校の個別相談に行ったことがありました。
「漢字のトメハネはどこまで見るのか?」という採点基準を聞きに行ったんですね。
何故ならば、そこにいらっしゃる先生方が実際に採点するからです。
先生は「これは許容、こっちはダメ」という感じで本当に親切丁寧に教えてくださり「ウチは字が汚い野郎どもを大量に預かっているので、教員は難読文字の解読には精通しているから、安心して受けて下さい(笑)」と言われ、涙したことがございました(遠い目)。
ということで、解読が必要なお子さんをお持ちのママは模試の回答用紙持参でお出かけください(笑)。
先生と実際にお話していると、不思議なもので、その学校が何を大切にしているのかが分かってきますよ~。
いずれにしても、せっかくの機会ですので「疑問点を残さないようにして帰る!」これ大事です。学校説明会に行く時は「人見知り」を少し封印してお出かけしてみてくださいね。
次回は8月25日にお会いしましょう。
鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト
2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。
その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。
ブログ:湘南オバちゃんクラブ https://note.com/torinko
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構成/加藤景子 イラスト/村澤綾香