一生に一度は登りたいと思いつつ、なかなか機会がなく40代に突入。体力にも自信がなくなり、登った人の壮絶な体験談を聞いて諦めてしまっている人も多い富士登山。
「一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」という江戸時代からの言い回しがあるように、日本一の名峰に一度も登らない人生なんて悔いが残る……。
そんな人にぜひお勧めしたいのが、日本初のグランピングリゾート「星のや富士」が提供している「グラマラス富士登山」です。コロナ禍の昨年は、富士登山そのものが禁止されましたが、今年は万全のコロナ対策のもとで再開。
ということで、ラグジュアリーで安心な登山プログラムを、ライター木村とその妹で体験してきました。
「グラマラス富士登山」のグラマラスなポイント
①星のや富士をはじめとする富士山プロフェッショナルによる徹底サポート
②2泊3日のゆとりのスケジュール(1泊目/星のや富士、2泊目/山小屋東洋館)
③5合目の休憩場や宿泊する山小屋が完全個室
④世界文化遺産である富士山の文化的背景に触れることで、いっそう身近に感じられる
〈右〉木村まい(46歳)
実は二度の富士登山経験を持つSTORYライター。過去2回は、寝ないで登頂して下山する、いわゆる‟弾丸登山”だったため辛い思い出しかないのに、また登りたくなってしまう……そんな不思議な魅力を解明すべく三度目のアタック。
〈左〉奥ノ谷ふみ(45歳)
40代にして初挑戦。いつかは登りたいと思いつつ、登山経験者から辛い体験談を吹き込まれているのででマイナスイメージが強め。1カ月前から1日3kmのジョギングを開始して、万全の体制で挑む真面目な性格。ライター木村の妹。
15:00 星のや富士チェックイン
16:00 エナジーバーづくり
18:00 キャビン(客室)にて夕食「星のや富士流御師料理」
20:00 ガイドによる直前レクチャー、装備の確認
<2日目>
10:00 チェックアウト
11:30 富士スバルライン5合目集合
13:00 ガイドと合流、準備運動
14:00 登山開始
18:00 山小屋到着
19:00 夕食
<3日目>
5:00 山小屋出発、途中朝食
10:30 吉田口山頂到着、昼食(別料金)
12:00 下山開始
16:00 富士スバルライン5合目到着・登山終了
◯星のや富士 ステイ編
河口湖湖畔にあるレセプションでチェックイン。
壁にかけられたバッグの中には、ステイ中に楽しめる双眼鏡やヘッドライトなどのグッズが詰められています。好きなデザインとカラーを選んで。
また、クラウドテラスでコーヒーを入れるためのオリジナルボトルと、森のビスコッティはお持ち帰りOK。
専用SUVでキャビンまで移動
レセプションのある湖畔の標高が約800m、ここからさらに100m上がった標高900mの高さに位置する星のや富士のキャビン。普段、私たち姉妹が生活する標高15〜30mからすると十分に高地となり、前日から体を慣らして富士登山がすでにはじまっていることを実感。
木目調なのに打ちっぱなしの外観がオシャレなキャビン
シンプルな箱が連なるキャビンは、すべて湖を向いて建てられているので、その時々で様々な風景を見せてくれるのが魅力。この日は梅雨の晴れ間で河口湖もきれいに見られました。
エリアマップとリュックサックを持って森を散策
せっかく「星のや富士」に滞在するなら、そのすべてを満喫したい欲張りな姉妹。
一旦、山登りのことは忘れて森の中のクラウドテラスを散策することに。
木々の隙間からさす日差しが、穏やかでなんとも心地よい“木漏れ日デッキ”に到着。鳥のさえずりや虫の声に耳を澄ませながらしばしリラックスタイム。
星のや富士のファンにはお馴染みのライブラリーカフェ
クラウドテラス内にあるライブラリーカフェには、書籍や飲み物、お菓子(すべて無料)が用意されていて、このライブラリーで過ごすひと時は「星のや富士」の醍醐味。
スタッフの方が「お好きな場所でどうぞ」とバームクーヘンを用意して下さったのですが、どこもかしこも居心地が良さそうで迷ってしまいます。緑の中でいただくスイーツは格別!
まだまだゆっくり過ごしかったけれど、「グラマラス富士登山」のプログラムの一つ“エナジーバーづくり”のために一旦キャビンに戻ります。帰りしなにしっかりハンモックには揺られました♪
行動食・エナジーバーづくり
エナジーバーってなんだろう? と密かに楽しみにしていたアクティビティ。
ここではドライフルーツやナッツをココナッツオイルでコーティングした、登山中のエネルギー補給に最適な行動食をレクチャーしてもらいます。
石臼でナッツを砕き、ドライフルーツをペースト状になるまですり潰す作業が力仕事だけどこれまた楽しい! 富士山に見守られながら、明日の無事を祈りつつ心を込めて作りました。
完成!! 美味しそう♡
登山前のからだをサポートする「星のや富士流・御師料理」
御師料理とは、400年以上に渡り富士登山や宿泊の世話をしてきた「御師」が富士登山者をもてなすために振る舞われた料理。
「グラマラス富士登山」では星のや富士が御師に代わり、「星のや富士流御師料理」を提供してくれます。
前菜(茗荷のピクルス、サーモンと鳴沢菜のマリネ、せいだのたまじ)を堪能している間に、きのこと鶏肉たっぷりの豆乳鍋が完成。
お野菜と鶏肉がヘルシーで、豆乳出汁が美味しくて何杯でも食べられちゃいます。
シメのほうとうまでしっかりいただき、エネルギーチャージは完璧です。
グラマラスなシチュエーションで頂く夕食を大満喫。
富士山のプロフェッショナル・近藤さんが登場!
夕食を終えた後は、いよいよ明日の登山の準備に取り掛かります。
私たちと一緒に登ってくれる「富士山登山学校ごうりき」の近藤光一さんとここで初対面。天候情報や荷物のチェックをしてくれます。「富士山登山学校ごうりき」では1ヶ月前から電話やメールで事前カウンセリングを行い、富士登山のための体力づくりや装備などのアドバイスや質問に答えてくれます。
富士山登山学校ごうりき代表の近藤光一さんは富士山のお膝元の富士吉田で生まれ、富士登山700回以上のベテランガイド。
富士山にまつわる様々な活動から、総務省ふるさとまちづくり大賞総務大臣賞を受賞された、まさに富士山の第一人者。
昼とは違った顔の夜の森を堪能
近藤さんのチェックとオリエンテーションを無事に終えて、再び夜の森に繰り出します。
レセプションで貸し出してくれたリュックの中のヘッドライトを装着して、昼とは全く違う森の中へ。探検隊みたいでワクワクします。
真っ暗な森を抜けた先にあるクラウドテラスではちょうど森の演奏会がはじまり、クリスタルボウルの音色が夜の樹々の間で幻想的に響いてました。神秘的すぎてうっとり。冬になったら空気がより澄んでいるから、張り詰めたような音色が聴けるそうな。ぜひ冬に再訪したい。
夜のライブラリーカフェで温かい飲み物をいただきながら、焚き火ラウンジで眠くなるまで余韻に浸ります。
登山前日の緊張を心から癒してくれるステイ
クラウドテラスから戻ると、テラスリビングのファイヤプレイスに火が灯されていました。ゆらゆらと揺れる灯火を見ながら、富士登山前日に心がこんなに穏やかでいられることこそが「グラマラス富士登山」なのかもしれないと思わずにはいられませんでした。
たとえ明日の天気が大荒れで登山が決行できなくても悔いはない……。それくらい充実した星のや富士のステイを満喫した姉妹なのでした。