美食の国フランスは言わずと知れたワインの産地ですが、チーズも負けてはいません! なかでも、「コンテ」と呼ばれるハードタイプの熟成チーズは、1000年以上も前から限られた地域で伝統的な製法で作られており、フランスで最も愛されているチーズと言っても過言ではありません。
今回は、「世界最優秀フロマジェコンクール」で優勝経験を持つチーズのスペシャリスト、ファビアン・デグレさんが、フランスからコンテの魅力を余すところなくリポート。ファビアンさんのお話を聞いてチーズの作り手や風土を知れば、「コンテ」がもっともっと好きになるはずです!
「コンテはフランス東部ジュラ山脈一帯で作られるナチュラルな味わいのチーズ。牧草地の草を食べてストレスなく育つモンベリアード牛の新鮮な生乳のみを使い、24時間以内に近くのチーズ工房で加工するため、ミルクの風味を損なわない美味しいチーズが出来上がるのです。」
「チーズを造るのはフリュティエ―ルと呼ばれる職人の手仕事で、添加物を一切加えず、毎日丹精込めて作っています。直径約60㎝の大きなチーズに仕上げた後は、熟成庫に移され最低4カ月以上熟成。すべてのチーズにプレートが付けられ、いつ、どこで作ったものか、ひとめで分かるようになっており、熟成士が湿度と温度をコントロールして細やかに品質を管理します。」
「一言にコンテと言っても、牛の餌となる植物や季節によって豊かな多様性を持つのが特長です。作り手や熟成期間によって多様なアロマを感じることができ、ひとつとして同じコンテはありません。フランスでよく食べられる熟成期間は約8カ月ですが、12、18、24カ月以上のものもあります。個性の違う3種類のコンテを紹介しましょう。」
「若めの冬作りのコンテ(18カ月熟成)は、牛が干し草を食べている冬の間に作られたアイボリー色。滑らかで弾力がありミルクの風味が強く、白ビールやにごり酒によく合います。蜂蜜やジャムを合わせるのもお勧めです。」
「フルーティーな夏作りのコンテ(24カ月熟成)は、放牧された牛がフレッシュな草花を食べている夏の時期に作られたため、植物のカロチンの影響で黄色っぽくなります。アプリコットや柑橘系のフルーツなど華やかなアロマと濃厚な味わいが感じられます。シャンパーニュ(ブラン・ド・ブラン)や白ワイン(シャルドネやサヴャニャン)、日本酒(山廃、生酛、ひやおろし)などがよく合います。」
「そして、長期熟成された冬作りのコンテ(31カ月熟成)には弾力がほぼなく、深い旨味があり、余韻を長く感じます。ロースト系や柑橘系、焦がしキャラメルや焼いたバターなど複雑なアロマが感じられ、ウィスキーや、苦みと酸味のあるビール(IPA)や⿊ビール(スタウト)などと食後にゆっくり味わうのがよいでしょう。」
「コンテを食べるのに適した温度は15℃~18℃なので、30分前には冷蔵庫から出しておくのがベスト。オードブルだけでなく、朝食のサンドウィッチ、チーズフォンジュ等どんな料理にも合いますが、グラタンとの相性が最高! 是非おうちで試してみてください。」とファビアンさん。往来できるようになったらコンテの故郷にも遊びに来てくださいと、気さくに話してくれました。