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Lifestyleジェーン・スー×HARUKO「四十女、しじゅう悩みどおし!」

今どきの職場の若手は、どう指導すべきか【ジェーン・スー×HARUKOの人生相談Vol.9】

40代女性の気持ちを代弁するような明快な語り口が人気のコラムニスト、ジェーン・スーさん。新聞やラジオ、雑誌で多くの方のお悩みに答え、その胸のすくような回答には励まされる読者も多数。
一方、波乱万丈の人生経験を持ちながら、いつも前向きで飾り気がない人柄で、誰からも愛されるモデルのHARUKOさん。歯に衣着せぬ語り口で、仲間のお悩みにさっと答えてくれると評判です。
そんなおふたりに『STORY』読者の真剣なお悩みに答えていただきます!

<PROFILE>

ジェーン・スーさん

コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月〜木11:00〜)のパーソナリティを担当。毎日新聞をはじめ新聞・雑誌で数多くの連載を持つ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、第31回講談社エッセイ賞を受賞。近著に『これでもいいのだ』。

HARUKOさん

モデル。短大時代、『JJ』にて山田明子(はるこ)の名でデビュー。以来、数々のファッション誌で活躍。’03年に結婚後、九十九里浜に移住、長女を出産。’12年に離婚。HARUKOに改名し、現在『STORY』にて活躍中。趣味はサーフィンと読書。


~ 第9回 ~

★ 職場の後輩の指導についてのお悩み

気づいたら会社の中でもベテランと言われる年代になり、20代の若い同僚たちとの世代ギャップを感じるようになりました。私たちが新人の頃は、新人はいろいろなところに気を配り、細かく動き回ってなんぼという時代でした。先輩が動いていても、平気で休憩したり、雑談をしている新人を見ると、つい「私が若い頃は…」という言葉が頭に浮かんでしまいます。口にだけは出すまいと思っていますが、そんな新人の姿を見ていると、つい、言ってしまいそうな自分がいます。うまく伝える方法はあるでしょうか。それとも私の価値観はもう古いのでしょうか?(R.B.さん/44歳/航空会社勤務)
ジェーン・スーさん
ジェーン・スーさん
いつの時代も同じだなって思いますよ。この方だって、新人のころは、絶対に先輩から気が付かないだのなんだの、言われてたと思うんですよ。だから、ただ順番が回ってきたってこと。そこで小言を言うか言わないかは、自分が新人だった頃に、どういう接し方をしてくれた先輩に今も感謝してるかを思い出して、その人を真似したらいいと思いますね。
HARUKOさん
HARUKOさん
私は企業勤めの経験がほとんどないし、あんまり、後輩がどうのっていうのに興味がないから参考にならないかもしれないんだけど……。この方、「私の価値観を古いのでしょうか」っておっしゃってるけど、確かにもう古いんだと思う。ここ何年か価値観は目まぐるしく変わっていますよね。ちょっと前には言えたことが、いまはもう言えないとか、思うことすら許されないみたいな、ある意味過激な変換期に来ている。だから、すごい速さで考え方を変えていかなきゃいけないなって感じる。しかもこの方、航空会社勤務なんですよね。想像するに、“女の園”で、ちょっとでも「生意気よ」なんて言ったら、パワハラだって言われちゃいそう。私の友達でいわゆる“お局さん”がいるんだけど、パワハラだって、2回も人事から呼び出されたんだって。感覚を変えないといけないよね。
ジェーン・スーさん
ジェーン・スーさん
私は、35までサラリーマンだったんですよ。
HARUKOさん
HARUKOさん
え、本当に?
ジェーン・スーさん
ジェーン・スーさん
そうなんです。だから、会社員と今の仕事のキャリアは、ちょうど半分ずつぐらいなんです。私は新卒で会社に入ったとき、マジでダメな新人だったんですよ。当時のことは、もう土に埋めたい! 先輩が運転する車で平気で寝るとか、待ち合わせに遅れるとか、先輩が仕事してるのに休むとか、平気でしてました。体育会系の経験がなかったんで、上下関係っていうのが全くわかってなくて。仲良くなったら友達感覚だったし。実績も無いのに偉そうにぶってみたりして。だからもう若い人に苦言をいうよりも、当時の自分に「ちゃんとして」って言いに行きたいです。
HARUKOさん
HARUKOさん
さっきおっしゃってたけど、その当時よくしてくれた先輩とかいました?
ジェーン・スーさん
ジェーン・スーさん
いました、いました。いまだにちゃんと覚えてますし、ありがたかったなと思います。私は、怒ってもらえてありがたかったと思うタイプなんです。一方で、すごく素敵な先輩がいて。新人なんてできる仕事がほとんどないから、宅急便に出しておいてとか、電話とってとか、些末な仕事を全部頼まれるんですよね。でも、そういうことを全部自分でする先輩がいたんです。自分でやった方が早いと思ったんでしょうね。でも、どんな小さな仕事も、自分で率先して厭わずやるっていう気持ちがすばらしいなあと感動しました。いまだに、私もそうでありたいなって思いますよね。
HARUKOさん
HARUKOさん
先輩方とは今でも交流があるんですか?
ジェーン・スーさん
ジェーン・スーさん
いえ、ずっと会っていないんですが。連絡とれるくらいの距離にいるので、もし会えたら、当時のことを昨日のことのように楽しく話せると思いますね。
HARUKOさん
HARUKOさん
その先輩は、スーさんのことをどんな風に見ていたんでしょうね。
ジェーン・スーさん
ジェーン・スーさん
どうなんだろうな。「元気な人ね」とか「よく食べる人ね」とか言われたけど。
HARUKOさん
HARUKOさん
そっちですか(笑)
ジェーン・スーさん
ジェーン・スーさん
がんと怒ってくれる先輩もありがたかったし、そのときは怒らずに一呼吸置いて、あとで「こういうことやってたけど、ダメよ」って言ってくれる先輩もありがたかったし、 背中で見せてくれる先輩もありがたかったです。正面から向き合ってくれたと今も感謝してます。でも意地悪したり、噂をたてたりする人は、もう思い出さないですよ。
HARUKOさん
HARUKOさん
なるほど。じゃあ、言うべきことは言ってあげたほうがいいんですかね。
ジェーン・スーさん
ジェーン・スーさん
でも、この方の場合は、別に言わなくていいと思うかな。昔だったら、みんな10年20年と同じ会社に勤めて、先輩は後輩を育てるのが上がり前という文化がありましたけど、多分、いまの人たちは、3年でやめちゃったりする。HARUKOさんがいうように、考え方が変わっている、という点でいうと、みんなで下の人を育てていくみたいな発想自体がもう古いのかもしれない。お給料にちゃんと指導料まで入っているとは思えないし、無給でやるのは、ちょっと違うんじゃないかとも思う。注意するとしたら接客業だから、お客さんに迷惑かかるとこだけでいいのかも。そのときの伝え方も、相手をよく見てってことかな。
HARUKOさん
HARUKOさん
娘世代を見ていると、私たちの時代よりもみんな優しくて理解力はすごくある。だから、普通に言えばわかるんじゃないかな。変に気を使いすぎたりしないで「はいはい、そこ、手が止まってるよ。動いて」みたいに。そのとき、「私たちの若い頃はそんなことを言ったら怒られたわよ」なんて言っちゃうと、イラッとされちゃうわけで。必要なこと、まっとうなことだけを、心を持って言えば多分素直に受け取る気がするな。

当連載は毎週金曜日配信です。
お二人に相談したいことを募集中です。storyweb@kobunsha.comまでメールでお送りください(お名前はイニシャル等匿名で掲載します)。採用された方にはQUOカードをプレゼントいたします。

撮影/吉澤健太 取材/秋元恵美

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