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【中学受験㉓】志望校の登下校の時間に行ってみましょう

「実は楽しい中学受験」シリーズ、これまでのコラムで「志望校選び」について語ってきました。要は「学校見学、頑張ってね!」ってことですが、このご時世です。学校説明会はオンラインで実施されるケースか対面で行われる場合であっても人数制限ありの予約制。人気校は即完の様相で参加券入手は激戦です。こうなると、現場開催説明会の出席自体を諦めてしまいがちになるのですが、ちょっと待った!心折れるのは、まだ早いです。


もし、対面式の説明会のチケット争奪戦に敗れて、「逃した魚が大きい」という気分に覆われてしまったならば、こうしましょう。
「呼ばれてないけど、学校に行ってみる!」
そう、眠り姫のお話ではありませんが、招待されなかったという理由で「ふんっ!もういいよ、受けてやんねーよ!みんな、落ちろ!(怒)」と呪いをかけるのではなく、自らご縁を手繰り寄せる行動に出ればいいだけの話ってことです。

つい先日、ワタクシはある人気男子校に赴きました。取材なので、アポは取っておりましたが、方向音痴のワタクシにしては珍しく、スイスイと到着しまして、お約束時間よりも結構早めに着いちゃったんですね。カフェに入るほどの時間はなく、そもそも学校近くにそのような飲食店はなく、時間前に広報担当の先生を呼び出すのもなんだなぁ…と思いながら、結局、校舎の横に突っ立って、生徒さんの様子を見るともなしに見ておりました。
するとですね、移動中の先生がこちらに近付いてこられたのです。
「あ~、不審者と思われたのね?」と勝手に入り込んでいた無礼をお詫びせんといかんなぁと思っておりましたところ、その先生がこうおっしゃったんです。

「受験生のお母さんですか?あまり、僕、時間はないんですが、もし、よかったら、ご案内しますよ」と。

顔の半分を覆ったマスク姿だと、年齢不詳になるのね!?と受験生ママに間違えられたことに、まず喜んだんですが(笑)言いたいのはそこではなく、先生の行動です。

「時間はないけど→せっかく来てくれたみたいだから→自分が出来る精一杯のことはやる」ということを瞬時に選んで、実行されたことです。

「ありがとうございます。実は取材で伺った者です」とご挨拶しましたら、先生は「そうだったんですね。失礼しました。本校のこと(ご紹介を)よろしくお願いします」とおっしゃって足早に消えました。
ワタクシとしては、そういういい思いをしょっぱなでさせて頂いたので、早速、偉い先生たちにチクりましたが(笑)「本校はどなたであろうとウェルカムです!」と笑顔でお答えになったのが印象的でした。

「どなたであろうとウェルカム」は結局のところ「入学試験を突破できる実力を有するお子さんを持つご家庭」ということなので、難関校の話を鵜呑みにはできませんが(笑)
それでも、受験生家庭に広く門戸を広げていこうという思いは校長からいち教師に至るまで、本当に一枚岩なんだなということは十分に感じる事ができました。

このような学校は実はとても多いんです。
いきなり校内に入り込むということは、きょうび、難しいのですが、アポを取れば、一般の受験生保護者であってもソーシャルディスタンスに注意しながら個別に対応してくださる学校は沢山あります。

しかしながら、個別にアポを取りに電話して玉砕したら、もう立ち直れないと躊躇するママも大勢おられると思います。
そういうママは駅や校門付近で生徒さん達を「観察」するという方法があります。

学校は校舎などの「箱もの」も大事ですが、生徒さんたちが要。生徒さん=学校です。
生徒さんの様子を見るだけで、おおよそ、どんな学校かは感じられるものです。
中高一貫校であれば、その中には中1の子もいれば、高3の子もいるでしょう。
その学び舎で過ごす6年間にどんなワクワクがあるのかを実際の生徒さん達の普段の姿を見て、感じ取ってください。

このコラムの第17回でもお伝えしましたが、もし、機会があれば実際に生徒さんに話しかけてみると、尚、よくわかります。
彼らは中学受験があること、そこには親の存在があること、その親が学校情報を求めていることなどなどの世の中の需要と供給のシステムを熟知しております。
つまり、学校見学をする親たちに慣れているんですね。
自分たちが歩んできた道でもありますし、自分の学校をアピールしたいという気持ちは強いと感じます。生徒さんや学校に失礼にならないように話しかけてみると、ご縁の糸が結ばれるきっかけになったりもするので、運命は不思議ですよね。

ここは、せっかく押しも押されぬ「オバサン」と呼ばれる年齢になったのですから、その強みを生かして無理のない範囲で「潜入捜査」を試みてください。こういう小さな努力のひとつひとつが、入学後の「ミスマッチ」という最大の不幸を回避する“知恵”になるのです。

鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト

2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。

その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。

ブログ:湘南オバちゃんクラブ https://note.com/torinko

Facebook: 鳥居りんこ: https://www.facebook.com/rinko.torii

構成/加藤景子 イラスト/村澤綾香

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