親の負担の背景には昔から続く〝勝利至上主義〟があります。
そもそも本質が間違っているんです
バレーは小2から始めましたが、親は当時かなり手伝ってくれました。今、私は全国の小中高へ指導に行きますが、親御さんたちは昔と変わらないお手伝いをしていますね。親たちがいくつもの〝ジャグ(ひねるとお茶が出てくるタンク)〟を用意する「お茶当番」や、監督のお昼を手配する「お昼当番」、休憩時間の「おやつ当番」なども。
それはどうしてかというと、私の経験の中では、試合で〝勝つこと〟が優先されているからなんです。勝つためには練習時間のロスを少しでも減らしたい。だから練習以外のことは、親にやってもらったほうが早い……。
でも、それでは本質が間違っているんですよね。何のために子どもたちにバレーを教えているのか。本来は、親が手伝っているようなことにも子どもが取り組むことで、バレーを通じて子どもに自立心を育んでいくべきです。小学生バレーなどの試合に出るには、監督が資格取得された方々なの で、指導もしっかりされています。ですが、〝勝利至上主義〟は親の負担が大きくなるだけではなく、のびのびとした子どもの成長にとっても良くないことなのかもしれません。
撮影/吉澤健太 取材/東 理恵 ※情報は2021年11月号掲載時のものです。