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吉沢亮さんインタビュー「信頼している匠海と一緒にやれることが、すごく大きな意味を持っている気がしています」

舞台『マーキュリー・ファー Mercury Fur』に出演中の吉沢 亮さん(27歳)

大河ドラマのほかに映画の撮影が何本かあって、めちゃくちゃ大変だったし、精神的にも追い詰められた年ではあったんですけど、2021年は僕にとって、すごく幸せな年だったなと思います。自分たちが伝えたいものを、ちゃんといい形でお客さんに届けられたというか、作品として愛されるものをちゃんと残せたなという気がしていて」
そう話すのは、’21年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で、主人公・渋沢栄一の生涯を演じきった吉沢亮さん。夏に公開された出演映画『東京リベンジャーズ』も大ヒットを記録し、飛躍を遂げた27歳が、新たな年を舞台でスタートします。白井晃さんの演出で、約7年ぶりにキャストを一新して上演される『マーキュリー・ファー Mercury Fur』。暴力と略奪がはびこる荒れ果てた世界で懸命に支え合って生きる兄弟を描く、イギリスの劇作家フィリップ・リドリーの衝撃作で、吉沢さんは弟を世話する理知的な兄エリオットを演じます。
「ものすごい興奮と疲労感で、観終わった後ばらく席から立ち上がれませんでした」と吉沢さん。実は、’15年の日本初演を客席から観て以来、「マネージャーさんにずっと、『マーキュリー・ファー』みたいな舞台がやりたいと言い続けていた」のだそう。
「それぞれの役者さんが全力で役を生きる姿を目の当たりにして、いつの間にか、ナマのリアルな人間たちが必死に生きている絶望的な世界を、自分も一緒に体感している気持ちになっていたんです。いろんな感情が押し寄せてきたんですが、いちばん大きかったのは、羨ましいな、僕もこういう作品に出たいという思いでした。だから今回のお話をいただいて、勝手に運命的なものを感じているんです。すごいスピードでこの1年間を走り抜けてきたところで、稽古でじっくり芝居のことだけを考えて過ごすというのも、いい流れじゃないかなと思っています」
ちなみに弟ダレン役は、吉沢さんと共演経験が多く、公私ともに仲のいい北村匠海さん。’15年の初演を北村さんも観ていたというところにも、運命を感じずにはいられません。
「エリオットとダレンの兄弟愛が重要な作品でもあるので、信頼している匠海と一緒にやれることが、すごく大きな意味を持っている気がしています。彼は今回が初舞台なので、いろんな意味で緊張感はあると思うんですが、お互いにすごく楽しみにしています」
一方で、「実は僕もいまだに舞台は怖い。結構びびってます」と笑う吉沢さん。「でもその分、学ぶことも多い。自分の中では、舞台=修業みたいな感覚があります」と話します。
「この『マーキュリー・ファー』でも大変な思いをたくさんするだろうけど、自分のお芝居を一から見直したり、ダメな部分に気づくいいきっかけになるのかなと思っています。演出の白井さんのもとで、台本をきちんと理解しつつ、自分を追い込みたいです。初演より大きな劇場で上演する分、閉塞感みたいなものは伝わりにくくなる気もしますが、僕が感じたあの生々しさは絶対に届けたい」
そんな吉沢さんに今後の抱負を尋ねると、「大河ドラマをやり切った、みたいなことは意識せず、今まで通り自分が面白いと思うものをやりたいし、そのために必要なこともやっていきたいです。このところお酒を飲んで寝ることが唯一の息抜きになっていたので、プライベートももうちょっと楽しみたいんですけど、まだ当分難しいかなあ(笑)」とのこと。美しき実力者の活躍に、’22年も注目です!

よしざわりょう  1994 年東京都出身。2009 年にデビュー。2020 年にエランドール賞新人賞を受賞。また 2019 年公開の映画『キングダム』で、第62 回ブルーリボン賞助演男優賞と第43 回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞する。2021 年には「青天を衝け」で、大河ドラマ初出演にして初主演を務めた。
『マーキュリー・ファー Mercury Fur』 半ば廃墟と化したアパートの一室にやってきたエリオットとダレンの兄弟。2人がパーティの準備をしていると1 人の青年が現れ……。極限状態に置かれた人間の残酷さと美しさを描く衝撃作。作/フィリップ・リドリー 演出/白井晃 翻訳/小宮山智津子 出演/吉沢亮、北村匠海ほか。公演中~2月16日/世田谷パブリックシアター 長野、新潟、兵庫、愛知、福岡でも上演 https://setagaya-pt.jp/performances/202201mercuryfur.html

撮影/網中健太 ヘア・メーク/内山多加子(コミューン)  スタイリスト/荒木大輔 取材/岡崎 香 シャツ¥45,100(OUR LEGACY/EDSTRÖM OFFICE)その他(スタイリスト私物) ※情報は2022年2月号掲載時のものです。

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