小菅 幸さん(45歳・東京都在住) 日本語教師
飛び込んだ〝オンラインの小学校〟には
一人では到底できないような経験や、
高め合える仲間との出会いが待っていました
一人では到底できないような経験や、
高め合える仲間との出会いが待っていました
11月某日、都心から少し離れたその場所には、マスク越しでもわかるほどの笑顔が溢れ、久しぶりに見る賑やかな光景。行われていたのは田村淳さんのオンラインサロン「田村淳の大人の小学校」始まって以来初のオフラインイベントとなる「文化祭」です。オフラインといっても日本や世界各地にいる会員、さらに今回コロナ禍で人数制限を行い実施されたため、来られない会員のためにズームを繫ぎオンラインでも同時開催というハイブリッド型イベント。約1年前サロンに入会した小菅幸さんは、文化祭でクラブの発表をするため現地へ向かいました。
「文化祭」や「クラブ」など、まるで学生時代にタイムスリップしたかのような気分になる「田村淳の大人の小学校」。その名の通り小学校をコンセプトにしたコミュニティで、田村淳さんは“校長”、会員は“児童”と呼ばれ、授業やクラブ活動などの名目のもと、様々なことが行われています。もともと学ぶことが好きな小菅さんは、新たな学びの場を求めて入会。しかしオンラインサロンは初めてで戸惑うことも多かったといいます。
「日本語の教師をしているので、ズームは授業で使っていましたが、プライベートなコミュニケーションツールで使うとなると、退出方法ひとつにしても悩んだりして。対面なら『じゃあね』で済むので簡単なんですけどね(笑)」。迷いながらも、田村淳さんはじめいろんな方と想像以上に身近に話せることが楽しく、徐々に小学校というコミュニティに馴染んでいきました。
そんななか「オリジナルワイン製造」という新たなプロジェクトが立ち上がり、ワインなどを輸入する会社での勤務経験や、ソムリエの資格も持っていることから小菅さんはリーダーに立候補。仲間と一緒に、この夏は神戸のワイナリーへ何度も足を運び、貴重な経験をさせてもらったと話します。
「ワイナリーに遊びに行って、ちょっとだけワインを触らせてもらえたり、テイスティングさせていただけるということはあっても、成長の段階で葉を取る“除葉”という作業をして、収穫しブドウを潰すという一連の作業は、なかなか体験できるものではありません。教本で見て知ってはいましたが、実際にやってみると理解度も気持ちも全然違いますね。緑色のブドウが紫になり収穫できるときの喜びたるや相当なものでしたから」。白ワインはまもなく手元に届き、赤ワインは樽で熟成中。来夏完成予定が楽しみだといいます。
サロンへ入会前と後では、小菅さんの生活や気持ちに変化が起こります。ワインプロジェクトなど一人では到底できないような体験をしたこともそうですが、一番大きな要因はやはり性別・年齢・職業・居住地など異なる多種多様な人との出会いでした。
「北海道に住む代の男性や海外にいる30代の若者の友達ができるなんて、1年前には思いもしなかったこと。年配の方に仕事や子育ての悩みを相談できるのも、今は大きな心の支えになっていますし、あとは皆さんのバイタリティ溢れる部分にすごく刺激を受けるんです。ワインに詳しい方に出会ったことで私もワインを学び直したいという気持ちになり、この冬からワインスクールに通うことにしました。ブランクがあるので、初級コースからステップアップしていけたらいいなと思います」。
そしてもう一つの変化は、ご主人への感謝の気持ち。「ブドウの収穫時期は、何度も宿泊を伴い神戸のワイナリーへ行かなければいけなかったのですが、こんなに快く送り出してくれるパートナーはなかなかいないかなぁと(笑)。夫には、感謝の気持ちでいっぱいです」。本当はオフラインが好きだという小菅さんが見つけたオンラインサロンという居場所。オンラインをきっかけに、よりオフラインを充実させていくことが、彩り豊かな人生を送るための新たな秘訣かもしれない……小菅さんの輝く笑顔がそう思わせてくれます。
撮影/西あかり 取材/篠原亜由美 ※情報は2022年2月号掲載時のものです。