これからの時代は、多様な価値観や柔軟な考え方がますます重視されると言われています。そして、それには自分を認める「自己肯定感」も大切。そこで、みずからも二人の子どもを持つSTORYライターが、親子で楽しく読みながら「こういうのもアリかも」「当たり前って何?」というような、既成の概念に疑問を持ったり、自分の選択を肯定できるようになる、目から鱗の発見や気づきをくれる漫画をご紹介します。
料理したくない、うまくいかない
ピアノの音に込められた本音に共感!
『栄養バランスのとれた食事、お弁当の彩り、出来合いのお惣菜に頼らず極力自炊……。そんな母の姿を見て育ったから、家事は私がやるのが当たり前という呪縛がありました。でも、物語の主人公、すみれ先生が自身のイメージや世間体を頑なに守っているまじめさの一方で、いろいろやりたくないという本音に親近感を覚え、私も本音を伝えよう!子ども達の将来をもっと自由にしたい!と背中をおされました。今では夫婦でできる方が家事をしています』
すみれ先生は料理したくない 大久保ヒロミ/ぶんか社
幼稚園に務めるピアノ講師・すみれ先生は、モデル並みの美貌とスタイル、上品かつ優雅な佇まいから、園児や保護者、先生たちの憧れのまと。しかし、そんな完璧なイメージとは裏腹に、実生活は、金欠・アラサー・独身。特に料理となると、壊滅的なポンコツ具合。救いがたい料理ベタな悲観をピアノで作曲&感情表現する、優雅でコミカルな姿に共感の嵐。
©Hiromi Okubo ©BUNKASHA
バリキャリ化粧品PRの日々の癒しに
自分を貫くリラックスタイムの重要性を実感!
『化粧品会社PRのバリキャリ、メイの日々の自分へのご褒美は、チェーン店にふらっと立ち寄り、ラーメンなどを食べつつ、ちょい飲みをすること。ひとり自由気ままに一杯ひっかけて帰る姿がなんとも軽やかで、羨ましい! 自分の好きなスタイルを貫き、日々戦う自分自身をリセットし、舌鼓をうつキュートなメイにならい、「私も自分らしく楽しい時間を持っていいんだ!」と自信がつきました』
1人で飲めるもん コナリミサト/芳文社
退社→帰宅の寄り道は、おしゃれなファッションビルでも、話題の人気店でもなく、どこの駅前にも必ずあるようなチェーン店。誰かの目なんてお構いなし、仕事帰りの「今日は頑張った!」「モヤモヤする」なんて、仕事が楽しくなってきた年頃のメイが気分のままに、今晩もストレスを家に持ち帰らず、ちょい飲みでリセット。「凪のお暇」でおなじみの、コナリミサトの庶民的グルメ&ストレス解消ストーリー。
あえて触れたくはない親友問題
自分なりのスタンスや妥協点が見つかるかも
『毎日のように遊び、なんでも語り合ってきた友達は、今、連絡をとっていないし、親友と呼べるのかな?と、気持ちがザラついたのが、この本のタイトルを見た第一印象。読み進めると、これは特段珍しい悩みでもなく、自分らしく考えていい、人生の壮大なテーマなのかもしれないと、凝り固まった心も少しほぐれたよう。息子とも、彼の身近な友人の話から親友の定義について、語り合いました』
親友いないの誰? 山田可南/集英社クリエイティブ
友達と親友の違いって何だろう? 学校、職場、近所……。友達がいなかったこともとりわけないけれど、今、親友と呼べる人はどのくらい思い浮かびますか? 就職、結婚、出産など、ライフイベントを迎えるたびに、会わないどころか連絡すら取らなくなった友達にまつわる女のホンネを、シリアスかつデリケートに描く。タイトルを読んで「ドキッ」とした、心当たりのある人にぜひ。
人と比べたり、嫉妬したり、何かをやっかんだり、うまくいかなくて焦ったり……。紹介した漫画に登場する主人公たちを見ていると、日常の小さな出来事から幸せや優しさ、心地よさに気づき、パーフェクトじゃない自分や他人を認めること、自分のペースで自分の速度で歩くことの意味を改めて考えさせられます。さまざまなしがらみや制限が多く、生きにくいと言われる今、これらの漫画を通して自分の心を蝕ませず、ご機嫌をキープするヒントを得る一助になれば。ちなみに先日、私は「母さん料理しません」宣言を発動し、土曜日の2食分の食事を子どもたちに発注したら、なんてストレスフリー! 最高の休日は終わり、またしばらくは料理続きですね。
セレクトしたのは…
STORYライター羽生田由香
小6息子と小4娘の母で、学校での読み聞かせや図書室貸出係の常連。リビングの壁一面に憧れの本棚を作ったものの、最近は専ら「積ん読」ばかり。最近は子どもに読書を勧めるのを諦め、知識を深める漫画にシフト。
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