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第38回 親が成長する子育て【最終回】

1年間に渡り「実は楽しい中学受験~子育てを目一杯、味わおう!~」をテーマに語って参りました当コラム。ついに最終回を迎えました。

中学受験を終えたご家庭、現在、頑張っている最中のご家庭、これから「やってみようかな?」と考えておられるご家庭と、中学受験に対するお気持ちも様々かと思いますが、この連載が少しでもお役に立つものであったならば幸いです。


今回は最終回ということで、この話をしておこうかと思います。

「子育ては短く、自分育ては長い」

皆さんも人生の中で一度は「何のために生まれてきたんだろう?」と自分に問うたことがあるのではないでしょうか。私見ではありますが、私はこう思っています。

「自分自身が成長するため」

前世や来世があるのかどうかはよく分かりませんが、それでも「今、この世に生きていること」は紛れもない事実。人生では必ずしも「親になる」必要はありませんが、縁があり「親となった」際には、我が子の誕生に「奇跡の積み重ね」を実感された人は多いと思います。

小さな命を何としてでも守り抜こうとしてきた日々、望むことは我が子の笑顔だけだったこと、我が子の幸せを願い続けていること・・・。これらすべては、親にならなければ、味わうこともなかった特別な感情でしょう。

親は我が子に良かれと思い、子どもへの様々なサポートを行いますが、親もまた未熟な人間。時には感情の制御がきかずに「また(不必要なことで)怒鳴ってしまった」と落ち込んでしまった夜も数知れずということの方がむしろ普通かもしれませんね。

とりわけ「中学受験」という、マストとは言えない道に歩を進めた場合には、葛藤の中で藻掻き苦しむ率は上がるかもしれません。

「本当にこれが我が子のためなのかな?」
「子どもらしい生活を奪っているのでは?」
「数字の上がり下がりに一喜一憂している私は間違っているのでは?」 

このように、中学受験は順風満帆とはいかない世界なので、親の迷いや悩みも深刻になりがち。しかも、受験結果の如何に関わらず、中学受験が我が子のために本当に良かったかどうかを検証できるのは、相当、先です。

我が子が長じて、今の親の年齢になり、人生の喜怒哀楽がある程度、分かるようになってきた時分にようやく、自身の人生を振り返りながら、親のサポートに対しても思いを馳せられるようになるのではないかと思うんですね。
 
子育てのジャッジというものが、もしあるのであれば、それは子ども側がくだすものなのでしょう。親が出来る事としては、子の自立に向けて、出来る範囲で精一杯のサポートをすることだけなのかもしれません。

私事ですが、介護の取材も多くしている関係上、お年寄りに話を聞かせていただくことも、ままあります。ある時、90歳を超えた女性と話をしておりました。彼女は年齢相応なのか、直近の話は忘れてしまわれるのですが、どういうわけか、彼女の息子さんの中学受験の話になると、急にしっかりと、しかも生き生きとなさるのです。まるで、昨日のことのように、受験塾での様子、受験本番の不安、そして合格発表の緊張などを教えてくれました。

そして、こう、おっしゃったんです。

「あの頃が、母として最高の時代だったわね。私、本当に一生懸命だったの。子育てが、至らない私を成長させてくれた。そう考えると私はなんて幸せな人生を辿ってこられたんだろうって、有難いと思っているの」

この方の息子さんが受験も含めた自身の親の子育てをどう思われているのかまでは分かりませんが、私は、この話を聞きながら思ったんですよね。「人生の良い悪いなんてことは分からないけれども『一生懸命やってきたから、幸せ』だと言える人生はいいな」って。

中学受験も良いか悪いかなんて、分かりません。そこにあるのは「我が子に良かれ!」と願う親の祈りだけです。

そういう意味でも、中学受験に参入する・しない、中高一貫校に進む・進まないということを親として、真剣に悩めばいいと思います。沢山、沢山、悩んでください。「この子のために、こうしよう!」と出した結論ならば、その道を安心して突き進むことができます。

私は毎年のように、受験直前のママ達から「直前の心構え」というアドバイスを求められますが、大抵、こういうことを申し上げております。まずは、お子さんが生まれた時から、直近に至るまでの写真をスマホに入れてみてねと。

それを入試の待ち時間にボーっと眺めていてねとお伝えしています。

お子さんは母のお腹の中で大きくなり、月が満ちたら誕生。そして、寝返りやハイハイの練習を重ねながら、そして、歩き出すようになりました。泣いたり、笑ったりを繰り返しながら、やがてランドセルを背負い、「行ってきます!」とひとりで学校に行けるようにもなりました。あんなに「ママ!ママ!」と縋りついていたくせに、一丁前な口を利くようになっています。まるで、ひとりで大きくなってきたかのようにね。

母は「ああ、大きくなったんだなぁ・・・」と思うだけでいいんです。受験会場の校舎に吸い込まれて行ったお子さんの背中は、母の瞳に大きく映ることでしょう。 極論するならば、中学受験の意味はこのことに尽きます。中学受験は「巣立ちへの第一歩」なんですね。

もし、今、子育てに悩んで、母としての自信が持てなくなっている人がいるとしたら、同じように、お子さんの成長のアルバムを眺めて見て下さい。きっと様々な思いが湧き起こってくると思いますから、それを見ながら、まずは、頑張ってきた自分を褒めてあげてくださいね。
 
24時間365日、母であることを押し付けられる国での子育ては確かに大変で、時には心折れることもあるでしょう。でもね、私はこう思っています。「お母さんはお母さんってだけでいい存在。そこにいるだけでいい」って。

子どもが成人するまでの18年間は終わってしまえば、アッと言う間。子育ては未熟な私たちに与えられた成長への修行かもしれません。あなたは今までもそうだったように、これからも、日々、怒ったり、嘆いたり、呆れたりを繰り返しながら、我が子の一番近くにいればいいと思います。
 
中学受験は、否応なく我が子の傍にいられる密度の濃い体験です。決めたのならば、どうか合否を超えた「いい受験」になるように、精一杯、頑張ってみてください。「子育てを目一杯、味わえた」先には、とりわけ素敵な未来が待っていることでしょう。 

長い間、ご愛読くださり、ありがとうございました。また、どこかでお会いできることを祈って筆を置くことにしましょう。

鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト

2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。

その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。

ブログ:湘南オバちゃんクラブ https://note.com/torinko

Facebook: 鳥居りんこ: https://www.facebook.com/rinko.torii

構成/加藤景子 イラスト/村澤綾香
 

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