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子どもに勉強を教えると必ず親子ケンカになってしまいます 【尾木ママ連載vol.6】

第6回目は、我が子に勉強を教えると親子ともにイライラしてケンカになるという「あるある」なお悩みです。

連載第5回はこちら

M.Iさん(46歳)子ども小学5年生の悩み 息子の勉強を見ると必ず親子喧嘩になります。特に算数では私のやり方を否定するのです。「今はそういうやり方をしない」とか「ぼくはこういうやり方でやる。」とか、とにかく頑固です。簡単に解ける方法をせっかく教えてあげているのに、鬱陶しそうな顔をします。「それなら勝手にしなさい!」と突き放すのですが、そうするとやはり解けずになかなか終わらず時間ばかりかかります。親が子どもに勉強を教える時にお互いイライラしない方法を教えてください!

尾木ママ’sAnswer

子どもに勉強を教えるというのは労力のいること。それを一生懸命されているのは立派です。それにお子さんもとてもえらい。簡単に解ける方法を教えてもらって答えを書いてしまうほうがよっぽど楽なのに、“今のやり方”との違いを指摘して、自分のやり方を主張している。主体性を持っているからこその頑固さですから、褒めてあげたいですね。
私の母親は教員だったので、簡単に答えを導ける方法を教えてくれたものですが、私は「早く勉強が終わる、ラッキー!」と思っていましたよ(笑)。

親の指摘を素直に受け入れるかどうかは年齢にも関係しています。個人差はありますが、思春期の入口にさしかかる小学校4年生くらいになると、親の言うことをだんだんと素直に聞き入れなくなるものです。親が勉強を教えるというのも、親心からだとは思いますが、このくらいの年齢になったらそれがその子にとって最善の方法かどうか、親御さんも考えた方がいいのかもしれません。
親はつい「教えてあげてるのに!」と感情的になり、子どものプライドをへし折る言葉を放ってしまうこともあります。それがきっかけで子どもが勉強嫌いになってしまうこともあるのです。お子さんの性格にもよりますが、場合によっては塾や家庭教師などに任せた方が親子ともにストレスがないかもしれません。どこの家庭でも親が我が子に勉強を教えるというのは、両者に甘えが出てしまうので難しいものなのです。子どもが思春期ならなおさらです。
また、勉強を教える場合には子どもとの「距離感」も意識してほしいと思います。お子さんの後ろにつきっきりで張り付いて細かく口出しするようなことをしていたら、子どもは息が詰まり自分でじっくりと考えられなくなります。お母さんはお母さんで自分のことをしながら、「わからなくなったら声かけてね」くらいの距離感が理想的。心の距離、物理的な距離をとるようにしてくださいね。

ここでひとつ考えて欲しいのは、「学習において正答を出すことが一番大事か」ということ。今の時代の学習方法はプロセスを重視しています。答えを早く出すことが求められ、丸暗記するような勉強の仕方が主流だったのは一昔前。今はじっくり考え、子ども自身が気づくことを大事にし、友達と意見を出し合ったりしながら、多角的な視点から答えを導き出す学習方法が主流です。ですから、今の子どもは親たち世代とは違う学びの過程を通して、ひとつの答えではなく様々な考え方や物の見方、知識を得ています。時折、より深みのある考えを言ったりするので感心させられます。

このように、学習方法も進化していますので、子どもの勉強を見るのであれば、「親が子どもに教える」という形式にとらわれず、時には今の時代のやり方やお子さんの考え方を親が学ぶという気持ちで、親子で一緒になって考えるというスタンスをおすすめします。大切なのは素早く正しい答えを出すことではなく、考えるプロセスと子どもの学びに対する自尊心を尊重することではないでしょうか。

効果的な学習法としておすすめなのは、誰かに教えるようにプレゼンしてみるという方法です。お子さんに「どんなやり方かママに教えて」「先生はなんて教えてくれたの?」などと聞いて、お子さんに説明をさせることで結果的に本人にとってもより確実な習得ができるのです。自分自身がきちんと理解していないと、他人にわかるように説明することはできませんから、自分で解けるようになることの何倍も、深く理解する必要があります。そういう意味でも学習方法として非常に効果的で、実際に大学などでも実践されている方法ですので、ぜひ、試してみてください。

また、学習習慣を身につけるというのは簡単なことではありません。集中力には個人差もありますが、子どもの集中力は15分程度などとも言われています。ですから、小学生の子どもが宿題を終えるまで机に向かっているというだけでもえらいんです。頑張っているお子さんを他のお子さんと比較せず、過去の我が子と比較して、成長を認めてあげてくださいね。
お子さんにとって一番嬉しいご褒美は、親御さんからの心からの褒め言葉なんですよ。

取材/小仲志帆

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