――演出家・元吉庸泰さんに対しては、どんな印象がありますか?
ご一緒するのは3度目なんですけれども、絶対的な信頼感があります。あらゆることに対して「それもありですね」「これもありですね」というふうに色々な方法を試しつつ、いちばん美味しいところをチョイスしてくれる方なので、こっちも色々なトライができて楽しいです。今、稽古場でいちばん笑っているのは元吉さんなんですよ(笑)。お芝居というものが本当に好きなんだろうなと感じますし、その笑顔がだんだん怖い顔になっていかないように、頑張らなきゃと思いますね(笑)。
――加藤さんが演じるポールは、真面目な弁護士。アパートでの新しい暮らしを楽しんでいるコリーとは対照的に、アパートにまったく馴染めない彼を演じていて、どう感じますか?
やればやるほど、ポールの気持ちがわかるというか、自分との共通点を感じて、演じるのが楽しくなってきました。ポジティブ思考のコリーが言っていることもわかるんですけど、僕自身も考え方としては“ポール派”なので、自然とポールの見方になれるんです。「今、大事なのは、そこじゃないよね」って。
――加藤さん=ポジティブなイメージがあるので、それはちょっと意外です。
僕は、もともとはネガティブ思考なんです。何かあると「ダメだ、ダメだ」というふうに考えるタイプでした。でも、“言霊”という言葉があるように、マイナスなことばかり言っていると、何事もマイナスにしか働いていかなくなるんですよね。それで、ある時から意識的に、何事もポジティブな方向に考えて、ポジティブなことを言うように変えたんです。そしたら、昔は雨男だったのに、晴れ男に変わってきました。「絶対に晴れる!」と思うことって、大事ですよ(笑)。
――ポジティブ思考に変えたのは、いつ頃ですか?
デビュー7周年の時だから、2013年くらいですかね。それまでは、内心「やればできる」と思っていても、いざ直面すると自信がなくなって、「自分にはできない」と思うことのほうが多かったんです。でも意識を変えてからは、色々なことを楽しめるようになりました。