――加藤さんは、まさにポールをやるべくしてやるのだなと感じます。コリー役の高田夏帆さんは、今回が初舞台。高田さんを見ていて、ご自身の初舞台(2005年『ミュージカル テニスの王子様』)をふと思い出すようなことはありますか?
ありますね。ただ、僕の場合はちょっと特殊で、キャストは男だけでしたし、テニス漫画が原作ということもあって、部活みたいな感じだったんです。とにかくみんなで頑張ろう、楽しもう、楽しませようという雰囲気で、お芝居をしているというよりは、エンターテインメントを届けるような感覚でした。正直、お芝居についてそんなに深く考えたり、語り合ったりすることもなかったんです。答えは原作にあって、それを忠実に表現することが第一でしたから。
――そうすると、そんなに緊張もしなかったのでは?
いえ、めちゃくちゃしました(笑)。今でも、初日の自分の出番前の緊張感は忘れられないです。ベンチの裏にキャストみんなでスタンバイして、階段の上から降りていくというのが最初の登場シーンだったんですけど、あの裏で待っている時の自分の心臓の鼓動の速さといったら! (笑)。
――そこからスタートして、いまや様々な舞台に引っ張りだこの加藤さん。年明けには、ミュージカル『キングアーサー』も控えていますね。
2023年一発目の公演になるので、自分としても気合いを入れて臨みたいなと思っています。やっぱり歌うのは好きですし、久々の長期公演になりますし。でも、もちろんストレートプレイ(歌唱を伴わないセリフ劇)にはストレートプレイの面白さがあって、今も『裸足で散歩』の稽古をしながら、歌を挟まずに芝居がテンポよく続いていく気持ちよさや、そこに生きている人物たちがリアルに浮き彫りになってくる感覚を味わっています。今後も、ミュージカルとストレートプレイの両方をやっていけたらなと思います。