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Lifestyle40代にはまだLOVEもドラマもあっていい!

今が心から幸せだから、あんなに憎んだ前の夫にも感謝の念が生まれます

「今の結婚は失敗だったかもしれないけど後戻りはできない」と思っている40代がどれほどいることでしょう。確かに後戻りはできませんが、前に進むことはできます。

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目次 ★ 思春期の息子連れ再婚

思春期の息子連れ再婚

◯ 話してくれたのは...石田百合さん(仮名)

東京生まれ。22歳で前夫と結婚、23歳で長男出産するも36歳で離婚。41歳で子連れ再婚し、今は専業主婦。石田ゆり子さん似でゆっくりと言葉を選んで話す姿は見るからに品の良いお嬢奥さま。趣味はカラオケ。
夫 大阪生まれ。会社員。30歳で結婚するも35歳で離婚。44歳で再婚。常に穏やかで何があっても誰の前でも行動と言動が変わらない、信頼できる人柄。趣味は同じくカラオケ。

今の夫と再婚したのは7年前。それまで心配かけた両親は、「神様からのプレゼントだね」と言ってくれています。最初の結婚は地獄のような苦しみで、人を憎んでしまう自分が情けなく、毎日絶望の中にいました。

遡ること30年。最初の夫はテニススクールのコーチで7歳年上。色黒で洗練されていて、ジョークも上手。女子校だった私は男性と会話するのも初めてで、すっかり彼のファンになり、スクールに行くのが楽しみでした。

私の父は硬い国家公務員。一族全員同じ名門の付属に中学から通い、結婚相手は医者や弁護士などと思い込まされていました。なのに大学生になると、元夫と外でも会うようになり、彼の虜に。彼も私みたいなタイプが新鮮だったらしく、交際が始まりました。もちろん両親は大反対。それで彼は認めてもらいたい一心からスクールを辞め、スポーツブランドの上場企業に就職。やがて卒業前にプロポーズ、反対していた両親はこんなに娘を想ってくれるならと泣く泣く承諾。

その年の秋に結婚、すぐに妊娠し、幸せいっぱいのはずでした。ところが妊娠8カ月のとき、小さな喧嘩から体を蹴られ、背中を突き飛ばされたんです。その翌日は優しくなり許したものの、以降、度々同じことが繰り返されるようになりました。

原因の殆どが、彼の嫉妬。スカートを穿いたら怒り、男性タレントを褒めると怒り……それを「こんなに愛されているんだ」と勘違いしていました。しかし、結婚5年が経つ頃には暴力が日常化。夫は私の育ちに言い知れぬコンプレックスを抱えているようでした。

当時は耐えるしかないと我慢してしまったんです。夫婦生活も苦痛でしょうがなく、拒否すると「目を瞑って3分我慢したら終わる」と欺かれ、もう絶望しかありません。でも結婚を反対された両親にはこの悲劇を打ち明けることができず、我慢を重ねていきました。

夫婦がうまくいくために努力するという環境ではなく、離れるチャンスを狙っているというような毎日でした。次第に原因不明の痛みを体のあちこちに感じ、心身ともに限界に。気付くと結婚15年も経っていました。遂に両親に告白すると、即離婚を促され、弁護士を通して話し合いが始まりました。結果、親権も譲ってくれ、毎月養育費を貰うことで呆気なく離婚が成立。それからは両親の協力のもと、息子を育てるため、懸命に働きました。

生きるのも空しかったある日、先輩何名かと食事に行った席に今の夫が来ていたのです。元夫とは真逆で、愛想もない代わりに穏やかな人というのが第一印象。当時の私は男性は豹変するから、恋人も結婚もこりごりで興味もありませんでした。一方で、バツイチだった夫は好意を示してくれ、その後軽い気持ちで数回食事に行きました

そんな関係で1年が経った頃、プロポーズされたのです。当時息子は18歳、微妙な年齢でしたから、子供を理由に断ると、前の結婚で子供がいなかった夫は「子供のいる君が好きなんだ。ぜひ一緒に暮らしたいと思っている」と言うのです。

夫のDVが原因で離婚した旨も打ち明けたら、「大変だったね。もう大丈夫だよ」と温かく包んでくれました。「こんなに安心できる男性がいるんだ。前進できるかも」と思え、まずは息子に会わせました。両親の経緯を薄々感じていた息子は常々「お母さんは見る目がないから結婚したい人ができたら僕が判断する」と言ってました。会った息子は「あの人なら大丈夫だ」と太鼓判を押してくれました。

徐々に私の心は変わり始め、第一印象から全く変わらない夫の人柄に「この人ならすべてを任せられる」と思えるように。心配をかけていた両親も祝福してくれ、41歳で入籍しました。もともと家族だったかのように、第二の結婚生活が始まり、それから7年経った今でも夫は「僕と結婚してくれてありがとう」と言ってくれます。

一体、私のどこが良かったのか聞いてみると、私の顔を見ているだけで癒やされるとか。家の中で歩いている姿を見るだけでオカシイ、と言うんですよね。1度人生を失敗したこんな私なのに、そんなふうに言ってくれる夫に感謝しかありません。だから私も「ありがとう」と気持ちを言葉で伝えるようにしています。

私たちは40代の再婚で、2人の子供を持つことはできなかったので、何か共通の趣味を持とうと相談し、夫婦ともに好きな音楽を一緒に始めました。オヤジバンドを友人も一緒に結成し、私はボーカル、夫はベースで年に数回ライブ開催も。土日は一緒にウオーキングにゴルフも。お蔭で会話に困らないし、常に一緒に行動して、本当に幸せを実感できています。

でも、この幸せがあるのは最初の結婚があったから。なかったら夫には絶対に出会えていなかった。そう思うと、あんなに憎んだ前夫にも感謝の気持ちが今は芽生えるんです。本当の幸せが訪れるために、前の悲しみがある。人生に無駄はない、そう思うとどんなことも乗り越えられる気がします。

取材/安田真里 刺繍/みずうちさとみ ※情報は2014年掲載時のものです。

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