――舞台の面白さを、どんなところに感じますか？

本格的な舞台は今回が初めてですし、まだ本番を迎えていないので、何とも言えないです(笑)。ただ、映像では1回OKが出たシーンを二度と演じることがなかったり、瞬発力がすごく必要とされたりしますが、舞台では稽古で時間をかけて色々な可能性を探っていける。本番の期間も含めて、キャラクターの思いや感情を何回も経験できるというのは、すごく贅沢な時間だと思いますし、きっと何度やっても新しい発見があるんだろうなと思います。

――今回ご自身が演じる鳴尾定という人物には、どんな印象がありますか？

時代背景も含めて、なかなか想像しがたいスケール観というか、かなりハードな境遇を生きてきたキャラクターなので、そこに復讐心に縁がなかった自分を繋げていくのは、ものすごくエネルギーがいる作業だなと感じています。定の原動力になっているのは、憎しみとか悲しみ、怒り。それを表現するには、僕自身の中にあるそういった負の感情や、開けないようにしていた記憶とかトラウマみたいなものにも触れていく必要があるだろうなと思っていて。

――かなり演じがいがありそうです。美貌のスターとしての一面も見せるわけですし。共演の皆さんの印象はいかがでしょう？

芝居はもちろん、歌やダンス、バンドにも才能溢れる方々が集まっていて、とても心強いです。演劇界の大先輩でもある(池田)成志さん、山内(圭哉)さんと、役柄的に対立する立場としてぶつかり合えて純粋に楽しいですし、色々な刺激をもらっています。盗めるところは、どんどん盗んでいきたいです。そういえば、稽古に入る前に、成志さんと浅利(陽介)さんと一緒にゴルフに行きました。取材でお会いした時に「ゴルフやるの？　じゃあ行こうよ」みたいな感じで。僕は始めてまだ2、3年なのですが、すごく楽しかったです。時折、ステージ上での居方や動きの見せ方を、さりげなくアドバイスしてくださったりもして。

――今回、ご自身が初座長を務めることについては、どうお感じですか？

そこはあまり意識していません。それどころではないというのもありますし(笑)、主役でも、そうでなくても、しっかりやるということは変わらないので。僕は現場で、チームの中で誰かが嫌な思いをしていたり、苦しんでいたりするのを見ると、自分もすごく苦しくなってしまいます。本格的な舞台は初めてで、勝手がわからないところはあるのですが、みんなで結束力のある楽しいチームを作っていけたらなと思っています。

――理想の座長像みたいなものはありますか？

そうですね……やっぱり役を演じている姿とか姿勢を見せることが、いちばんなのかなと思います。まずは、自分のキャラクターをどこまで持っていけるか。それが作品のエネルギーや推進力、共演者やスタッフの皆さんに良い影響を与えることができたらいいなと。その上で、カンパニーの皆さんと関係性を深めながら、密な時間を過ごせたらいいなと思います。ただ、定は孤独なキャラクターなので、役を深めるには、どこか孤独に耐える部分も必要なのかなと感じています。

《後編に続く》

次回は、中川さんがお芝居をする時に大切にしていることや、俳優をやっていてよかったと感じるのはどんな時？　などなど。中川さんのさらなる魅力に迫ります！

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