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――小栗さんの「彩の国シェイクスピア・シリーズ」へのご出演は、4作品目、約16年ぶりになりますね。
最初が『お気に召すまま』の初演(2004年)で、次に『間違いの喜劇』(2006年)をやって、イギリスでやった『タイタス・アンドロニカス』の再演(2006年)に出て、最後に出たのは『お気に召すまま』の再演(2007年)です。蜷川(幸雄)さんと「彩の国シェイクスピア・シリーズ」で一緒に仕事をしたのも、結局それが最後になってしまいました。このシリーズではないんですが、僕が蜷川さんの演出を初めて受けたのは2003年の『ハムレット』なんです。本当は、もう一度どうしても蜷川さんとシェイクスピアをやりたくて、蜷川さんが亡くなった年(16年)に、『ハムレット』をやる予定でした。あれができていたら、またちょっと違っていたかもしれないなと思いますね。
――蜷川さんの教えで、特に印象に残っているのはどんなことですか?
色々なことを教えてもらったので、たくさんあります。その中でも印象深いのは「俳優は生活者であれ」という蜷川さんの言葉ですね。僕は、「生きるということに関して、ちゃんとアンテナを張りながら生きなさい」ということだと受け取っているんですけど。自分に“役者である前に生活者でありたい”というような感覚があるのは、蜷川さんに結構よく言われたその言葉が、今もずっと自分の中に残っているからだろうなと感じています。
――「彩の国シェイクスピア・シリーズ」は、2021年5月に上演された第37弾『終わりよければすべてよし』で、一旦完結しましたが、結果的に『ジョン王』が最後を飾ることになりました。どんな公演にしたいですか?
それはやっぱり、面白いものにしたいですよね。お客さんには楽しんでいただきたいなと思っています。“チーム蜷川”みたいな感じでやらせてもらっていたメンバーが集まった、ある種、自分を懐古するような公演にもなると思っていたので、横田さんと一緒にやれないのは、すごく残念ではありますけど……。自分としては、40歳になるその日に公演初日を迎えるので、とりあえず圧倒的な存在感だけは出していきたいですね。まあ、大河ドラマを背負った男ですから(笑)。自分にできる仕事は、たぶんそれぐらいでしょうからね。
――40代をどんなふうに過ごしていきたいですか?
どうしたいかなあ……あまり具体的な展望はないんですよね。もう少し広い視野で仕事をしていきたいとは思っていますけど。俳優以外のこともやってみたいし、俳優としても、もっと大きなところで仕事をしたいなと思っていて。