松本明子さんはひどい便秘に40年以上悩まされ続けてきました。ずっと、これは体質で治ることはないと諦めていましたが、ある方法を試したところ、わずか1か月で劇的に改善、半年後にはすっかり解消し、今では快腸な毎日を送っているとのこと。いったいどうやって、便秘から解放されたのが、お話を伺いました。
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「物心ついたころ、3歳くらいから便秘症でした。何日もお通じがなくて、母に浣腸してもらってようやく出るのが当たり前で。小学校に通い始めると、今度は、トイレを我慢するようになってしまったんですね。うちは田舎で、学校が遠くて。片道2.5㎞の道を歩いて登校していました。登校中に行きたいなと思っても、当時はトイレ事情もよくなくて、トイレに入るのがいやで。それに学校でするのは恥ずかしい。中学卒業まで9年間、我慢するのが普通になってしまい、お腹の調子を狂わせてしまったのかもしれません」。
その後、17歳で四国から上京し、芸能活動を始めると、状況はさらに悪化しました。
「生放送やロケなどがあると、トイレに行きたくなるのが怖いので、水分もとらなくなってしまったんですね。特に、映画の地方ロケで、1か月くらいホテル暮らしをしたときは、環境の変化も緊張もあって、10日に1回くらいしかお通じがなく、お腹はカチコチのパンパンでした」。
30代に入ると、松本さんは、便秘だけでなく、さまざまな不調に悩まされるようになりました。
「フェイスラインに赤いニキビのようなブツブツがたくさんできて。皮膚科に通ってもお薬をもらってもちっともよくならないんです。メイクさんにも、『これはもう隠しようがないですよ』って匙を投げられるほどひどくなって。そのほか、肩こり、冷え性、肌あれ、不眠症、ネガティブ症候群というんでしょうか、なんでも悪い方、悪い方へと考えてしまうようになり、人と会うのもおっくうで、休日も家にこもるようになってしまったんです」
『電波少年』の撮影をしていた時期は、
「若年性更年期というんでしょうか、撮影中に滝のような汗が噴き出して。周囲からも『大丈夫ですか?』って聞かれるし、座っていた椅子に水たまりができるくらいの大汗をかいていましたね」。
30代半ばで結婚、妊娠しましたが、
「妊娠中は、いつもは快腸の方でも、ホルモンの影響もあって便秘になりやすいそうなんですが、私はひどくてひどくて。1日中トイレに閉じこもって、トイレで編み物してすごしたりしました。おかげで赤ちゃんのグッズがたくさん編めちゃいましたけどね」。
一方でお腹にいいというものは何でも試しました。
「雑誌やテレビで、杜仲茶が効くと聞けばすぐ飲んだし、特別なヨーグルトがいいと聞けば、遠くまで買いに行って食べたり……。ありとあらゆるものを試したんですが、なにひとつ効果はありませんでした。もう、これは体質で治らないもの、自力でお通じを出すのは無理とあきらめてしまっていました」。
松本さんが41歳のとき、お母さまが他界されました。
「自宅で介護をしたのですが、母は、最期、何度も腸閉塞を起こして本当に苦しんだんです。それの姿を見て、腸は大事、私も腸をなんとかしなくちゃと思うようになりました」。
そんなとき、順天堂大学病院に便秘外来があることを知り、受診することに。
「正直、ここまでいろいろ苦労しても治らなかったのに、治るとは思っていなかったんです。半信半疑で、先生にお会いしたところ、『まずはレントゲンをとってみましょう』とおっしゃって。レントゲン写真をみると、お腹の中に、黒いものがたんまりありました。これが全部腸にたまって水分のない粘土のようになった便だと聞いて驚きました。先生がおっしゃるに、『4kgぐらいありますよ。これを放っておいたら、大変なことになっていましたよ』と。さらに、この状態でいくら乳酸菌を採っても、すり抜けてしまって効果がないので、まずは、たまっているものを出すことから始めましょう』と。先生は、私の性格を瞬時に見抜いて、面倒くさいことや、お金のかかることはやめて、できることから少しずつやりましょうと言ってくださいました。そのとき、ああ、やっと救ってくれる人に会えたとホッとしまました」。
ところが処方されたのは、強力な下剤などではなく、便をやわらかくする酸化マグネシウムと整腸剤だけでした。同時に提案してくれたのが「ウンチ日記」。
「大中小3種類のウンチの形のシールがあって、カレンダーに貼っていくというものなんです。やり始めて気づいたんですが、今まで、自分の便通のリズムを振り返ることなんてなかったんです。何日も出ないと、この前はいつだったかも思い出せないくらいで。でも、これを見ると、一目瞭然なんです。それに、シールを貼るのが楽しくなってしまって。毎日にシールを貼っているうちに、気づいたら、10日1回が5日1回、3日に1回というように、1か月くらいでだいぶよくなっていったんです」。
すると、次の診察では、
冷蔵庫に納豆、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品を入れておき、気が向いたときに食べることと、10分でも15分でもいいので散歩することを、すすめられました。
「これが、あー、今日は発酵食品を食べなかったとか、歩かなかったとか、思うほど深刻に考えてはだめなんだそうです。腸はすごく敏感で、ストレスがすぐに伝わるので、かえってよくない。気楽に続けることが大事なのだそうです」他にも、診察のたびに、いろいろな指導がありました。
「『毎日決まった時間に5分だけトイレに入りましょう。出ても出なくても5分以上は、トイレにいてはいけない』とも。また、便座に座ってできる簡単な体操も教えてもらいました。私は、便秘がひどくなると、1日中トイレにこもって、机まで持ち込んで原稿を書いたり、編み物したりしていたのですね。でも、これは下半身が冷えてしまうし、とてもよくないそうなんです。腸というのはとても賢くて、毎日同じ時間にトイレに入ると、この時間になったら、排便なんだなというのを覚えてくれる。他にも、気づいたときに10秒でできる簡単腸マッサージや、お風呂にゆったり浸かることなど、特別なことではなく、毎日続けられる簡単なことをたくさん教わりました。
撮影/西あかり ヘアメーク/ 桜井章生(Velvet on the beach) 取材/秋元恵美