1997年から「石田さんチ」の愛称で親しまれてきたドキュメンタリー番組『7男2女11人の大家族石田さんチ』。リアルな家族ドラマに心を掴まれた人も多いはず。実は私、ライター小出も初期の頃から見続けている「石田さんチ」ファンのひとりです。STORYライターになるとき、まず取材したい方として挙げたのが石田さんチのお母さんの千惠子さん。日々の生活で子育てに悩んだとき、「石田さんチのお母さんだったらどう考えるだろう」と想像します。
9人のお子さんを育てあげた石田千惠子さんに、40代の子育て、思春期の子供への接し方、夫との距離感、妻として母としてヒントをもらいに行ってきました!
★ 自分と子供は別人格、子供を所有物にしないこと
★ 10歳からは、子どもの話に耳を傾けるだけでいいの
★ “きょうだい” を平等に育てるって、できるのでしょうか?
1974 年 美容師資格取得後、美容師として活躍。
1979 年 同級生の晃さんと結婚。
1979 年 11 月長女を出産。
1997年に7 男 2 女のお母ちゃんとして日本テレビ『大家族の石田さんチ』で紹介され、日本一有名な大家族のお母さんに。末っ子の隼司さんは千惠子さんが41歳の時の子でした。
次々に子どもたちが自立していくなか。13 年前に実母がアルツハイマー型認知症を発症。その後「子育て」と 「介護」の両方に奮闘する日々を送ります。 70歳を前に、まだまだやりたいことをやり続けるパワフルさに共感するファンも多く、多くの視聴者から反響を呼んでいます。
ずっと気になっていた番組出演の裏側を聞いてみました!
―あの頃、「石田さんチ」の放送が楽しみでした!テレビ出演のきっかけは何だったのですか?
初めは夫が取材をオッケーをしたところからスタートしました。過去にいくつかオファーが来たのですが、自分たちの思うようにつくりたいというテレビ局もあって、それは全てお断りしていました。私たちは生き物だから、思うようにいかないことも沢山あるんです。もし、『家族なので、まとまった絵が撮りたいです。例えば全員でご飯を食べているシーンとか・・』って澤本さん(初期からのプロデューサー)が言っていたら帰ってもらっていましたよ(笑)。出演するならありのままの石田家の形をみてもらいたかったので。子どもたちも成長していくから一緒に子育てする気持ちならいいよと言ってて、それで今まで続いています。
―テレビ露出するにあたって、お子さんからは反発などされたりはしませんでしたか?
子どもたちに対しては、日ごろから『自分の好きなように決めてやっていいよ』と言って育てていたので、母ちゃんも自由にしているんだなと思われていたんだと思います。テレビに出たくない子は出なきゃいいだけなので、反発などはなかったですね。
むしろ、思春期の子がいる中で出演できたのは、私にとっては良かったかもしれないです。澤本さんに夫の愚痴なども聞いてもらえたりして、すごく助けられたなと思います。
―そもそもはじめから大家族をつくりたいと考えていたのですか?
私が一人っ子だったので、子どもは多くて5、6人は欲しいと思っていました。親戚やいとこもいる大人数のなかで育ったので多いことに対して抵抗はなかったんです。女男女男とできたので、もう1人女の子ができるまでと思っていたら男の子が続き、気づいたら9人になりました。最後にもうひとり子供を授かったんですが、流産してね。そこで、もう子どもは十分よねとなったんです。
―「石田さんチ」は、本当にありのままのリアルな家庭を覗けるのが、新鮮でした。隠すことなくオープンにしていたのは、何か考えがあったのですか?
綺麗な部分を見せても仕方ない「生きるってこういうこと」というのを見せたかったので、隠すことは特にしませんでした。周りに振り回される人生って嫌じゃないですか。どうせ見てもらうなら、片意地を張らず、人間ってこうやって生きているんだなってところを知ってもらいたかったんです。
実際に、まぁまぁ大変だった末っ子の思春期時代も、隠さずにありのまま放送したことで、同じような思春期のお子さんを持つ親御さんから「すごく助けられました!」という声も多くあったんですよ。
自分と子供は別人格、子供を所有物にしないこと
—子どもにとって母親ってどうあるべきだと思いますか?
よく、自分の子だからと言って、思うように導きたがる人がいるけれど、我が子でも生まれた瞬間から他人なんですよね。子どもは親の所有物ではなく、血の繋がっている他人。自分とは違う人、別人格だって意識してないと所有物にしてしまう場合があると思うんです。
特に、男の子はお母さんの所有物になりがち。もっといえば、息子をお母さんの理想にしようとする人が多いと思うんです。それは子供にとって可哀想なことなんですよね。親子で仲良く“きょうだい”みたいという人もいるけれど、個人的にそれは違っていて。親であることを常に忘れないことが大事な気がします。
それに、精神的にも経済的にも子どもに依存してしまうことって危険ですよね。なかには親の期待に応えようと一所懸命、頑張る子もいますけど。いつか限界がくると思うんです。そこは、間違ってはいけないと思います。子どもの考えを尊重することが大切で、それこそが母親が目指すところかなと思います。実際は難しいですけどね・・
それは、おばあちゃんになっても同じ。自分の孫は、自分の息子の子どもだからというのはご法度。お嫁さんの子どもでもあるわけだから、可愛がるだけでいいと思ってます。
10歳からは、子どもの話に耳を傾けるだけでいいの
子育て、真っ只中で大変なときは、親は「いつまで続くんだ・・」と思いますよね。でも、子育てってあっという間の時間なんです。親は1つ2つ・・9つの「つ」がなくなるまで(10になるまで)はちゃんと基本を教えてあげる気持ちを持ちつつ、子どもの“これがしたい!”に耳を傾けて尊重してあげること。そうすれば、10歳になって、自分で考えて世界を広げていけるような子になるから、大丈夫ですよ。
10歳からは、母親は子どものやりたいことを賛成も反対も言わず、そばに寄り添って聞いてあげるだけでいいと思うんです。これがとても大切なことで私はいつも、「相談をされたことを聞く」「子どもの意見を尊重し、一緒に考える」ことを心掛けていました。習い事の送迎や、子どもが気になる学校があればその資料を片っ端から取り寄せたり、賛成・反対を示すのではなく、そういう寄り添い方を精一杯やりましたよ。
“きょうだい” を平等に育てるって、できるのでしょうか?
―私は2人姉妹の子供がいるのですが、2人を平等にできていないかもと悩んだりします。9人のお子さんを育てるなかで、そのように考えたことはありましたか?
平等なんてできるわけないでしょ〜!1人目を産んだときは若いけれど、2人目の時は1人目のときより自分は歳をとっている。経験も2人目になると前の経験がありますよね。それぞれ、状況も違うし、その時々で家庭の経済事情も違ってくるし、平等ではないのは仕方がないんです。みんな同じになんて出来るなら化け物。生まれた時から平等ではないんだからそこは気にするとこではないんですよ。
ただ、産んでから平等にしてあげられることはできますよね。「子どもに何をしたいのかを聞く」「して欲しいと思ってることをしてあげる」シンプルにそれだけ。平等にできないのは当たり前と思って親はそこから進むのです。
取材の様子が大家族石田さんチのYouTubeで配信中!
【取材依頼殺到!こんなオシャレなメディアに出演しちゃって良いですか?】
取材時のリアルな様子が覗けます。ぜひチェックしてみてくださね!
後編の記事も近々配信予定です。お楽しみに!
撮影/西 あかり 取材・文/小出真梨子