ひと昔前は、お金の話をするのは恥ずかしいとか、はしたないという空気がありました。でも、現在は、国をあげて「貯蓄から投資へ」のシフトが奨励され、資産を投資をして増やすことを一人一人が考えるべき時代へと変化しています。特に40代以降は、子どもの教育資金や老後資金など、ますますお金を増やす必要がある時期です。そこで、本誌2023年2月号で 作家の原田ひ香さんと お金についての対談をしてくださった優木まおみさんにご登場いただき、どうやってお金の勉強をしたらいいか、お話いただきます。
一回目のテーマは、「お金の勉強は何から始めたらいい?」です。
バラエティ・情報番組、モデル等、広く活躍する一方、第二子出産を機にピラティスを始め、インストラクターの資格を取得し、オリジナルのエクササイズのレッスン会を行うなど実業家としての顔を持つ。
投資ってそもそもなに?
ー国を挙げて「預金から投資へ」と言われていますが、投資と聞くと、それだけで身構えてしまいます。そもそも投資ってどういうことなんですか?
昔は金利が高くて、銀行に置いておくだけでも、利息がたっぷりついていたそうですが、今は、銀行預金にお金を入れていても増えないですよね。そこで、銀行でお金を寝かせておかずに投資して増やしましょう、ということなんですよね。テレビで、キングコングの西野さんが話していらした例がすごくわかりやすかったので、そのままお話しますね。
子どもがお皿洗いをして1日100円おこづかいをもらい、それを貯金箱に貯金するとします。すると、1年で36,500円溜まります。でも、1万円溜まったところで、貯金箱を割って、食器洗い機を買い、お皿洗いは、食洗機にさせます。すると、時間ができるので、肩たたきをして、さらに1日100円もらうことにしました。そうすれば、皿洗い365日と肩たたき265日を合わせて、53,000円になります。
この1万円で食洗機を買う行為が投資です。貯金箱に入れていたお金は、今は使わない余剰金なので、このお金に働いてもらって、お金を増やしましょうということなんです。
具体的に何に投資するのが正解?
ーなるほど。すごくわかりやすいたとえでした。それでは、初心者が、いざ実際に投資してみるとしたら何がいいと思いますか?
あくまで私の考えなので、ご自分で判断してほしいのですが、私が最初に始めるとしたら、IDECOとNISAです。これは、ざっくり言うと、投資で得た利益に税金がかからないというお得な制度です。今までもあったのですが、来年から大幅に上限額が上がり、お得度が増します。私も制度が新しくなるこの機会にさっそく使おうと思っています。ネット証券を含め、さまざまな金融機関で取り扱いがあるので、ぜひ調べてみてくださいね。
ー始める際に何か注意点はありますか?
投資は元本が保証されないので、いきなり大きい金額をまとめて投資するのは怖いです。それと、暮らしに必要ではない余剰金を、減ってもなくなっても困らない金額から、ほんわか投資するというのも大切です。
さっそく足慣らしに少額を投資してみたいなら、メルカリの売上金でビットコインを買ってみるのもおもしろいかも。なくなってもかまわないくらいの少額なら、四六時中上がり下がりを気にしないでいいですし、上がったらちょっと嬉しい。私も、不用品を売ったお金は、売れなかったらなかったお金なので、試してみました。やってみると、興味がわいて、調べたり、人に聞いたりして、知識が増えていくんですよね。
「実際にちょっとトライしてみるのが一番勉強になります」
優木さんはどうやってお金の勉強をしたの?
ー優木さんは、かなりお金の知識がおありですが、勉強に使った本などがあればご紹介いただけますか?
お金の勉強って幅が広くて、どこから手をつけていいかわからないですよね。実は、私は、本や学校で勉強しのではなく、すべて実践で覚えていったんです。
本誌の対談のときにもお話しましたが、不安定な職業なので、投資は必要と思っていました。それもあって、20代で、家を買ってみようと思ったんです。銀行でローンの相談をしたところ、審査に必要な書類はこれこれだと教えてもらい、歩き回って書類を集めました。そして、審査に通り、最初の家を買うことができました。それからは、家の価格が値上がりしたら売るというのを、何度か繰り返して利益を出しました。これって、不動産投資ですよね。
もし、最初に審査が通らなかったとしても、それもひとつの経験になるし、損したのは、歩き回った労力だけで、何も困りません。また、やってみると、この分野を掘り下げて調べてみようとか、銀行の人に話を聞いてみようとか、勉強する方向もわかってきます。学校や本はそれからでもいいんじゃないかな。
また、起業してからは、税理士さんや、周囲の社長仲間、友達から聞いたことで、関心が湧いたことは公式サイトなどで自分で調べます。情報って調べないとキャッチできないんですよね。
ーお金の勉強は、本や学校よりも、なんでもいいから投資をひとつしてみるところから、なんですね。
そう思います。まずは、やってみることです。
それから、家の掃除をするように、「お金の掃除」をときどきしています。例えば、使わないサブスクを解約するとか、満期が来ているのに請求していない保険や積み立てがないかを確認するとか。
また、お金の情報は、信頼できる人と共有したほうがいいとも思います。私の場合は税理士さんですが、お付き合いのある銀行、保険会社や証券会社のファイナンシャルプランナー、または、独立系のファイナンシャルプランナーなどに相談するのもひとつの手かもしれないですね。
撮影/河内 彩 ヘアメーク/陶山恵美(ROI) 取材/秋元恵美