「老後2,000万円問題」が取り沙汰され、「人生100年時代」という言葉もだんだんと現実化するにつれて、お金を貯めなければという焦りはあるけれど何も進まない。そんな夫婦にオススメなのがお財布を一つにすること。共通認識を持つことで、資産管理がクリアになる上に、家族の目標もできるから、結果的に夫婦の絆も深まるんです。
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★ Q & A
★ 短期と長期の【2視点に分けて】整理を
★ 夫婦で貯金① 短期視点は一か月先まで
★ 夫婦で貯金② 長期視点は先も見据えて
★ 小仲さん、1ヶ月やってみてどうでしたか?
★ 八木さんおすすめ「家計簿アプリ」
なぜ、夫婦一緒の財布が良いの?
右<マネーの初心者>
本誌ライター 小仲志帆
お金に無頓着でどんぶり勘定。「なんとかなる」という楽観的な考えをあらため、そろそろ堅実に貯金して老後に備えようと決意。子ども達が成人後、夫との世界旅行が夢。
左<投資の女王>
投資家 八木エミリーさん
野村證券入社をきっかけに投資の勉強を始める。7年で7億の資産を作った投資の女王。昨年のSTORY6月号での投資のアドバイスが話題に。現在は個人投資家として大活躍中。
お財布を一つにすることによって家族の未来図を共有できます
小仲
今、共働きの夫婦も増えていますが、お財布を一つにするって実際どうですか?
八木さん
賛否ありますが、私は推奨派です。収入と支出の管理ができるし、可視化することで、無駄遣いも減る。1人で貯めるより断然貯まります。別々だと、お互いに相手が貯めてくれていると思って、蓋を開けてみたら全然貯まっていなかったってこともあるんです。
小仲
結婚生活は何が起こるかわからないからと、こっそり貯金してる友人もいるんですけど、全てを共有したくない人もいますよね。
八木さん
隠したいお金がある人には向いていないです(笑)。特に男性は自由がないとか、管理されるのを嫌う傾向にありますから、意気揚々とやってくれる人の方が少ないかも。
小仲
そういう場合、どうしたらいいですか?
八木さん
男性には具体的なイメージが大切です。そのビジョンに対して危機感や貯めることのメリットと紐付ける。自分たちの将来像として同じ目標ができると、お金を元に共有の価値観が生まれるので協力体制になります。
小仲
可視化は具体的にはどんな方法で?
八木さん
アナログですが家計簿が一番です。私は10年前から「袋分けカンタン家計ノート」というのを使っていますが、数字を書くことで出費を実感でき、節約にも直結します。
小仲
私、家計簿は三日坊主になりそう……。
八木さん
面倒な人には夫婦で共有できる家計簿アプリが便利です。私は「おかねのコンパス」というアプリで全体の資金を管理しつつ、家計簿には出費の詳細を記入して併用しています。
小仲
アプリなら続けられるかも。夫婦で一緒にアプリでの管理、夫に提案してみます。
・夫婦でコミュニケーションがとれる
・子どもの教育方針もシェアできる
・日々の小さな達成感を感じられる
・突然の出費に慌てなくなる
Q & A
Q.全部可視化はイヤ! へそくりはできるのでしょうか?
Q.夫が乗り気でないときは?
Q.そもそも細かいことが苦手です……
短期と長期の【2視点に分けて】整理を
八木さん
まずは教育費や家や車など、家全体でかかる費用の話合いからスタートですね。
小仲
お互いにお金に関して安易な部分があったのですが、初めて、ちゃんと教育費や月々の出費について話して、危機感を持ちました。
八木さん
それが大切。将来どうしたいか、夫婦共通の目的を持つのがお金を貯める秘訣です。そのためには何年後までにいくら貯めたいか、長期の目標を立て、そこから逆算します。
小仲
年に1回の海外旅行とか、子どもの授業料とか、年間いくらかかるかを計算ですね。
八木さん
その後、一ヶ月単位の金額を出します。毎月一定額必要な「固定費」。貯金や投資も含まれます。貯金や投資は収入の10%〜20%が理想ですが、少し余裕を持った方がラクです。残った金額を「変動費」に。固定費は年間で見直すことはあっても、毎月は見直す必要のない出費。対して、変動費は意識的に節約できる食費や日用品。私は変動費をあえて家計簿につけて自分の戒めにしています。
小仲
私たちはオシドリアプリを入れました。意外にもすんなり了承してくれて。全てがオープンなわけではなく、自分専用画面もあるので、私の洋服代は見られていません(笑)。
八木さん
メンタルを保つ上でも自由なお金は必要ですからね。でもそこが大きすぎないかは考える必要がありますよ!
小仲
夫婦一つのお財布はイヤという人は?
八木さん
共同の口座を作ってそこに毎月それぞれ入金する方法。現状、それが一番多いです。どちらも、人生の波に合わせて、定期的に修正することが大切です。アプリも自動なので、放置しないように見返す時間を持ちましょう。
夫婦で貯金① 短期視点は一か月先まで
【固定費の一例】教育費/約¥280,000
私立の小学校と高校の学費、塾や家庭教師、ラグビーやスイミングスクールの月謝などの子どもの教育に関わる費用が固定費の中でも一番出費が大きいもの。それ以外に、家賃、水道光熱費、携帯やインターネットなどの通信費、保険など毎月変わらずに必要となるものが固定費。
【変動費の一例】交際費/約¥94,000
ママ友や仕事仲間との食事会などの交際費、家族との外食、交通費、駐車場代、ゴルフ代、食費や日用品、ガソリン代、衣料品代、医療費など突発的な出費。変動費は意識的に動かしやすく、毎月見直せて節約に直結しやすいもの固定費以外の余剰分で変動費の予算を決定。
夫婦で貯金② 長期視点は先も見据えて
【1. 家族の目標を整理】
・夏休みの海外旅行、春·夏·冬休みの国内旅行(固定費)
・誕生日の贅沢ディナー(固定費)
・小仲さんの勉強、習い事代(変動費)
・老犬の治療費(変動費)
【2. 子どもの教育がらみ】
・娘の大学、息子の中学入学費用(固定費)
・娘の留学費用(固定費)
・将来の息子の塾、習い事代(変動費)
小仲さん、1ヶ月やってみてどうでしたか?
案外、ストレスなく進めることができました!
【不安が払しょくされた】
・夫もアプリ併用なら入力してくれた
・共有情報が選べるから、夫も納得
・目標が見えると、書き込みも楽しみに
・習慣にしたら、苦でなくなった
【夫婦が仲良しに】
・子ども以外の会話が増えた
・夫婦共通の夢が具体的になった
・夫の考えを知るきっかけに
八木さんおすすめ「家計簿アプリ」
<右>OsidOri(オシドリ)
夫婦で共有できる家計簿・貯金アプリ。自分のお金は自分専用のページで管理でき、パートナーからは見えない構造。口座やクレカが自動で反映。
<左>B/43(ビーヨンサン)
家計簿アプリとVisaプリペードカードがセットになった八木さんイチオシのアプリ。ペア専用Visaカードの使用で、いくら使えるか一目瞭然。
撮影/吉澤健太 ヘア・メーク/後藤若菜(ROI) イラスト/ミヤタチカ 取材/小仲志帆 ※情報は2023年8月号掲載時のものです。