2005年に発表された当時「読む映画」と言われ、国内外から高い評価を得た伝説的漫画「アンダーカレント」が、真木よう子さん主演で実写化。今年8月に事実婚を公表した真木さんが、映画で描かれる「人と人がわかりあうということ」「夫婦という名の他人」について今感じることを赤裸々に語ってくれました。
でも寄り添う、分かろうとすることが愛情となり絆となるはず
★ 大好きな漫画が実写化されるのが実はすごくイヤ。
でも映画化されるなら主人公のかなえは絶対誰にもやらせたくなかった
★ 14歳の娘からぶつけられる思春期の叫びに
全身全霊でぶつかり返すのは娘を愛しているから
夫婦であっても完全理解は無理。
でも寄り添う、分かろうとすることが愛情となり絆となるはず
今回主演させていただいた映画「アンダーカレント」に出てくる夫婦はかなり特殊です(笑)。私が演じた主人公・かなえが知っている夫はごく一部分で、その他は“嘘だらけ”だったわけですから。
でも、私は夫婦であっても家族であっても、真の意味で他人を完全に理解するというのは無理じゃないかなと思うんです。だいたい私、1度離婚しているしね(笑)。
価値観が合う、合わないってよく言うけれど、好きな人としゃべっている時に思うのは、「価値観なんて違って当たり前なんじゃないか」ということ。
それでも愛しているから、たとえ理解できずとも、わかろうと努力するわけですよね。知るためにその人に寄り添うことができないと、一緒にはいられないんじゃないかな。つまりは寄り添う姿勢が愛情なんだと思います。
とはいえ、やっぱり相手も人間だし、踏み込まれたくない部分もある。それを察知しての距離感は難しい。過ごした年月が長くなって甘えが出て、言っちゃいけないことを相手にぶつけてしまったりして衝突が起こることもあります。わかりたい、わかってほしいという思いが強すぎて近づきすぎると、人間関係は逆に壊れてしまったりする。今振り返ると、そういうことが最初の結婚にはあったのかもしれません。
かと言って、「アンダーカレント」で私が演じさせていただいたかなえと永山瑛太さん演じる悟の夫婦のように、夫が謎の失踪した後で衝撃の事実が次々に判明…なんていう夫婦関係は本当にあまりに極端なんですけどね(笑)。
大好きな漫画が実写化されるのが実はすごくイヤ。
でも映画化されるなら主人公のかなえは絶対誰にもやらせたくなかった
漫画マニアなので「アンダーカレント」の原作は20代の頃に読んでいました。私、本当にオタクなので(笑)、大好きな漫画が実写化されるのが実はすごくイヤなんです。今回映画化されるということを聞いた時は「主人公のかなえは絶対誰にもやらせたくない、自分がやりたい」と思っていたら、光栄なことにオファーいただけて。やるからには漫画のかなえちゃんに近づけたいという思いが強かった。だから撮影時は必ず台本と原作をセットにして持って、漫画の中のかなえちゃんがどこに目線を配っているのか、どんな表情をしているのか、事細かに照らし合わせてチェックしました。
原作愛が強すぎるあまりに、監督が時間配分の都合上泣く泣くカットしたセリフを復活してもらったこともあります。演者の分はわきまえているので、普段はそんなことは言わないし、今回もほぼ監督の意向に沿っていたんですが、とあるシーンだけはどうしても私なりに「これだけは言いたい」というセリフがあって。
結果的には私の意見を採用していただけて監督には感謝しています。私が主人公のかなえを理解する上で、また観てくださる方にかなえをわかってもらうためにも必要なセリフのような気がして復活してもらいましたが、本当に人が人を理解するって難しいし、ちょっと何かが欠けても行き違いになっても見失ったり理解がねじれたりする。「人間同士って、結局分かり合えない」とサジを投げるのは簡単だけど、私は自分が愛する人に対しては、その労力と情熱は絶対失いたくない。すごくエネルギーが要るし、しんどいけれど諦めることはしたくないんです。
14歳の娘からぶつけられる思春期の叫びに
全身全霊でぶつかり返すのは娘を愛しているから
そんな私の労力と情熱が今いちばん注がれているのが14歳の娘。彼女を完全に理解することは無理でも、努力はしたい。近づきすぎてはダメだけど、ギリギリまで寄り添ってあげたいんです。
でも、14歳。…魔の14歳ですよ(笑)。思春期反抗期の真っ只中で、もう日々心が体当たりしまくっている戦いです。娘には何回〇〇(※反抗期のお子様が口にする暴言トップ3に入る2文字)と言われたことか(笑)。親子であっても、わからないところはわからない。でもその言葉が本音じゃないことぐらいはわかります。だからこっちがどんなにズタボロになろうと、受け止めてあげたい。私の戦いのパワーは娘への愛、なんです。
撮影/河内 彩 ヘア・メーク/Miyuki Ishikawa (B.I.G.S.) スタイリスト/藤井希恵(THYMON Inc.) 取材・文/柏崎恵理
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