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Lifestyle40代にはまだLOVEもドラマもあっていい!

見つかると泣いて謝るのに、私の口座から何十万も盗む二重人格なイケメン夫

優しくて、働き者で、家事もしてくれる夫。さらにイケメン。ここまで揃うと何かあるのではと勘ぐってしまうのが、経験を積んだ40代だからこその知見ですが、今回は〝事実は小説より奇なり〟を地で行く40代の半生をたどります。

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目次 ★ 非の打ち所がない夫が二重人格だった


非の打ち所がない夫が二重人格だった

◯ 話してくれたのは...榊原郁英さん(仮名)

福岡県出身。短大卒業後市立病院に就職し、医療事務の仕事に携わる。23歳で結婚、36歳で離婚。37歳で今の夫と出会い、46歳で再婚。榊原郁恵さん似の人懐っこい美人。
夫 東京出身。大学卒業後、石油メーカーに入社。福岡勤務のときに出会い、39歳から事実婚。43歳で東京転勤になり、48歳で初婚。

コロナ禍の真っただ中にある昨年9月、10年間の事実婚を解消し、籍を入れました。最初の夫とは何もかもが真逆の今の夫。激動の25年間でしたが、今がいちばん穏やかで幸せかな。

最初の結婚は23歳のとき。短大卒業後、地元福岡県の病院に経営スタッフとして就職。医療事務の窓口に携わっているとき、元夫と出会いました。元夫は九州近郊の島で暮らす会社員で、勤務先の病院に入院していた父親の介護で、度々受付を訪れていました。いつも最終便の飛行機で島に帰るのですが、ある夜遅い時間にやっているレストランの有無を聞かれ、成り行きから一緒に食事をし、交際が始まりました。

ぱっと見は誰が見てもイケメンの好青年、父親に対する優しさや行動力など、非の打ち所のない人で初めて見たときから好印象でした。父親が退院するととんとん拍子に話が進み、出会って3カ月後に私23歳夫24歳で結婚が決まりました。

義母はすでに他界し、まだ大学生の妹が2人いる家族構成で、義妹に介護を任すわけにもいかないし、とてもいい義父で、かつ私は彼にぞっこんだったので喜んで介護を引き受け、会社を辞めて島に嫁ぎました。

ところが結婚と同時に義父が亡くなり、いきなり遺産相続に巻き込まれました。夫の実家は資産家で、一家を牛耳っていた祖母がいて、しかし祖母に相続権はなく、夫と妹2人に権利があるのですが、新参者の私への相続を拒否され、夫は嫁か家かどちらを取るか詰め寄られ、結果夫は私を取り、「親が築いた財産だからいらない」と本来ならもらえる遺産を放棄。私たち夫婦と妹は家を追い出されてしまいました。考えられないようなことが田舎では普通に起こることを実感しました。

元夫は会社を辞め、妹2人を連れて4人で福岡に引っ越しました。島出身の彼は仲買人として福岡の市場、私は医療メーカーに就職。お互い給料も良く、妹の学費も出して、数年後にはローンも抱えて一軒家を購入。元夫は働き者で女癖が悪いわけでもなく、私の両親も「いい人と結婚した」と彼を可愛がりました。周囲からもすこぶる評判が良く、私にも優しくて本当に幸せでした

しかしそれから8年後、法事で夫婦で島に帰ることになり、旅行費用の10万円を通帳から下ろしてチケットを購入するよう元夫に依頼。私は毎月貯金していたので、必要なときはそこから出すようにしていました。無事島で法事を済ませ、日常に戻ったある日、「そういえば」と通帳を取り出して見たら50万も引き下ろされているんです。元夫に聞くと、黙っています。「どういうこと?」と詰め寄ると、「賭け麻雀で負けた返済に使った」と答えました。

彼は朝が早く、私と勤務時間がすれ違いなので麻雀をしているなんて知らなかったんです。このときは元夫が謝って終わったのですが、それが始まりでした。以降、数えきれないほど、通帳からお金が引き出されました。その度ごとに私が怒り、元夫が泣いて謝るというパターンが繰り返されました。

麻雀以外にも、ボートやパチンコ、あらゆるギャンブルに手を染めていました。私の父は賭け事を一切しない人で、ギャンブルをしないことは結婚時の約束でもありました。だから許せなかったし、発覚すると、夫婦間は険悪になるものの、雰囲気が良くなり始めたのを元夫は見計らって、きっちり半年ごとにまた悪事が起こるんです。私も負けじと絶対見つからないであろう場所に隠しました。それでも家中探して見つけ出し、大金を引き出しても何事もなかったかのように通帳を元の場所に同じ状態で戻すのです。しかも何十万も盗むのにおくびにも出さず、素知らぬ顔をして私と接します。優しくて、働き者で、家事もしてくれて、そんなことをする人とは到底見えないんですね。ジキルとハイドってこういう人のことを言うんだと、元夫のことが空恐ろしくなっていきました。

今思うと、彼が引き出した分を私が補っていたので、私が何とかしてくれると甘えてしまっていたんでしょう。ほぼ私がすべてにおいて、リードしていたんですよね。それで私は1階、元夫は2階の家庭内別居を始めたんです。反省するかなと思いましたがダメ。振り込み予定のローンのまとまったお金も使うようになっていました。周囲は彼をいい人と思ってる中で、家族にも相談できなかったのですが、勇気を出して私の姉に告白したら、姉が驚いて「悔い改めるように」という主旨の手紙を20枚書いて元夫に送りました。それを読むとおいおい泣いて反省して、姉にも謝るけど、効果なし。手癖は直りません。

徐々に私のほうがその二重人格ぶりに夜も眠れなくなり、近くにアパートを借りて元夫に出て行ってもらいました。でもこのときもまだ離婚は考えてなくて、自分の稼ぎだけで生活する大変さを学んでほしいと思っていました。しかし離れてみると、泥棒と暮らしているのと同じだと冷静になり、離婚を決意できました。元夫は話し合い中泣きっぱなし。でも理解してくれ、慰謝料は家をもらって離婚。36歳でした。離婚すると気持ちがすっきりして、なぜもっと早く決断しなかったのかと後悔しました。

離婚して1年後。会社帰りにカフェに入ったとき、突然男性がコーヒーをこぼし、私の服にかかったんです。そのまま家に帰れないようなひどい状態で、彼の家の途中に私の家があり、車で家に送ってもらうことになると、結構行動範囲が同じエリアだとわかり、夕飯をご一緒することに。彼は無口でほとんど話さないし、愛想もないですが、たまに話す一言が面白くて、信頼できる人だと直感しました。

まるで元夫と真逆。外見も一重瞼で黒目どこ? と言うような細い目で顔はジャイアンみたいな人。何もかもが元夫と真逆。でも経験上、ニコニコしている人は怖かったので好感度大でした。その人が今の夫です。気が合い、次第に交際に発展し、1年後には一緒に住んでいました。

夫は会社員ですが、半年もしないうちに福岡から東京に転勤になりました。私は仕事もあるし、猫を3匹飼っていて引っ越すのは億劫で、月1で猫を連れて東京の彼に会いに行く生活を続けていました。でもそれを知った彼の上司に一緒に暮らすべきだと説得され、40歳のとき上京し、横浜で再び同棲が始まりました。同時に日本郵便に再就職。私はなぜか仕事先には恵まれるんです。

しかし猫を連れてきたものの、横浜は猫のベビーシッターさんやホテルがいくら探してもなく、ものすごく困っていました。何とか乗り切っていたのですが、愛猫が一匹亡くなったのを機に、自分がペットシッターをやろうと決意し、会社を辞め、テナントスペースを借り、猫ホテルをオープンさせたのが’16年。予想通り需要が多く、たくさんの猫との生活が始まりました。

ところが昨年からのコロナによって需要が全くなくなり、家賃を払い続けるのが大変で、8月にクローズ。リモートワークになった夫と2人で朝昼晩と散歩がてら、何となくモデルルームを見て歩いていたんです。ある日たまたま見つけたのが3階建ての小さな一軒家。2、3階を自宅にすれば、1階を猫ホテルに貸せるよと夫が提案してくれ、その家を買ってくれたのです。

ほんと元夫と真逆です(笑)。家を買うにあたり、書類上の問題で、入籍したのが昨年9月。神に導かれたかのように、自然体のまま再婚しました。私たちまだ新婚ほやほやなんです。でも母は、「前の旦那さんのほうが良かった。カッコよかった」って、何度も言うなってくらい言うんですよ(笑)。

1度目の夫で苦労して、失敗したから、人の本質を見る目が養われたんだと思います。夫婦は何よりも信頼関係が大切ですね。外見じゃないと実感しています。

取材/安田真里 イラスト/あずみ虫 ※情報は2021年掲載時のものです。

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