「一生、添い遂げる」と一度は誓った夫婦。しかし、さまざまな理由で離婚という答えを出すこともあります。憎しみのない円満離婚は難しいことなのでしょうか。いろいろあったけど、今は支え合う間柄――結婚というカタチにはこだわらない元夫婦の様子を取材してきました。
▼あわせて読みたい
アナウンサー中村仁美さんの「子どもと向き合うクルマ送迎」の過ごし方とは
つちやかおりさん 59歳・東京都在住
女優・タレント
舞台『流れる雲よ2023』に出演中。「先日の東京公演には敏和さんが観にきてくれました」。大阪公演9/23、24、名古屋公演10/14、15、札幌公演10/27、28、公演X(旧Twitter) @nagarekumo2023
離婚したことでむしろ家族の絆が強く
なりました。元夫に感謝です
なりました。元夫に感謝です
つちやかおりさんは1979年、ドラマデビューし、現在は舞台やライブなどで活躍しています。元夫の布川敏和さんとは高校時代より約9年間交際し、1991年に結婚。「結婚してすぐに子どもができ、仕事もやめて、どっぷり家庭に入っていました」。その後3人のお子さんに恵まれ、忙しい日々を送っていたと言います。
夫婦の関係が、徐々に変わっていったのは、結婚から21年たった頃でした。「布川家の御両親が相次いで亡くなり、彼が精神的につらい時期がありました。でも一緒に彼と乗り越えようと、その時は一生懸命でした。その時期を乗り越えましたが、その後に私が燃え尽き症候群みたいになり、何もやる気が起きなくなりました」。今から新たに頑張ろうとなった時に、彼との温度差を感じたそうです。「私はここまでやったのに、という気持ちがあったのかもしれません。彼はそれが当然だと思っていて。その日々の積み重ねで、私は疲れてしまいました」。
子ども3人を連れての離婚は無理だと考え、せめて長男長女が成人してから、次女を育てるために自分で仕事をしなければと考えたそうです。「まずはブログを始めました。それを見てくださっていた『美ST』からお話をいただき、25年ぶりに雑誌に出させてもらいました」。その後、仕事が徐々に入るようになりました。「最初に離婚を決心してから8年ほど、別居して2年経っていた頃に、やはり、はっきりしたほうがいいのかな、と」。
そして、つちやさんのほうから離婚を言い出したそうです。「このままではなく、やっぱり離婚したほうがいいと話しました。彼は別居だけで帰ってくると思っていたみたいで、すごく驚いていました。そこで話し合いがありましたけど、子どもたちが『お互いに違う道に歩むのもいいんじゃない?』と口添えをしてくれて、それで離婚ができました」。
別居前は夫婦関係がいい状態ではなかったそうですが、別居後は違ったそうです。「別居前の2年ぐらいは本当に口も聞きたくないし、すべてのことに不満でした。でも別居することができて、自立する自信がつきました」。
別居した頃には自分で働き、お金も入るようになっていたそうです。「〈次女と2人だったら、やっていけるかな〉という感じになっていました。いざ離婚しても、彼とは別居の時とあまり変わらない関係でした。週1回、彼が犬を預けに来る時に会うのですが、子どもの話もしますし、世間話もします。私は、離婚をして前向きな気持ちになれたし、お互いに別々の生活なので、争うことがないです。お互いに求めるものがなくなったので、子どもたちが揃えば家族として過ごすことができますし、自然に接することができるようになりました」。
今の関係を考えると、離婚してマイナスだったことはないと話します。「離婚してからありがたいことに、仕事を途切れることなく、やらせていただいています。今は子どもたちも全員成人し、頼れることも多くなったので、とても解放された気持ちです。プライベートもすごく充実しているし、家族との絆が強くなったと感じています。朝起きて『今日はイヤだな』と思う日がない。毎日本当に無理なく楽しんでます」。
ずっといがみ合っていくと思っていたので、今の関係は奇跡的だと話すつちやさん。「これからも今の関係が続くと思います。異性の中では何でも喋れる人ですね。『復縁?』ってよく聞かれるんですが、それは絶対にないです。何かをしてもらうことを期待するような関係はナシにしようと。でも、彼にはこのままお互いどちらも結婚しないで、老後に誰も彼の面倒見る人がいなかったら、『私が面倒見てあげてもいいよ』と、話をしています(笑)」。
撮影/BOCO 取材/加藤景子 ※情報は2023年10号掲載時のものです。