「私たちのCHALLENG STORY」を担当しているライターの孫 理奈です。このブログを始めて1年が経ちました。いつも読んでくださってありがとうございます。1年前も三男ケインの命日の前に書かせていただきましたが、今年7月15日、10年目の命日を迎えます。元気でいたら、ちょうど今年は二十歳になる年。あんな小さかったのに、もう成人なんて信じられないな。
神奈川県川崎市にある帝京大学溝の口病院。ケインが私の腕の中で息を引き取った病院です。昨年少し離れた場所に新しい建物が建ち、古かった病院には緑のシートがかけられ、いずれ壊すとの噂が流れていました。
私はこの10年、いつまでもケインがまだ入院している気がしていました。個室のベッドにはケインがいて、寝ながらTSUTAYAで借りてきた「クレヨンしんちゃん」のDVDを観ている……そんな状況が古い病院を見ると今でも目に浮かぶのです。私が内緒で買ってきたケインの大好物のマックのハッシュポテトを見て、笑って「早く食べたい」と言うケインの声も聴こえる気がします。
だからいつまでも古い病院をそのまま残していてもらいたかった……。そんな願いも空しく先月から解体が始まり、もうすぐ小児科のあった棟も壊されてしまいそうです。これでケインは本当に亡くなったんだと私も思うようになるのかもしれません。
私が息子を亡くしてから、息子に対して「悪いな……」と思うことがあります。それは、「子どもは何人いるんですか?」と聞かれた時に「2人です」と答えてしまうこと。亡くしてから出会った人にはケインのことを知らない人が多いので、「場を暗くしてしまったらどうしよう」と思い、そう答えてしまうことが増えました。それとレストランに家族で行ったときも、「何人ですか?」と聞かれて「4人です」と答えると悲しくなります。本当はケインは3人兄弟なのに、5人家族なのにごめんね、と思っています。
先月、次男の留学先のバンクーバーに行ってきました。部屋に入るとケインの写真や家族の写真がたくさん飾られていて、とても温かい気持ちになりました。いつまでも弟を想う気持ちが嬉しかったです。思い出すことが供養だと思っているので、7月はいろいろと思い出しメソメソしていますが、ケインとも会話ができたらなと思っています。
「ケインはいつまでも家族だよ、ずっと5人家族でママの大切な三男だからね」。