今回お話を聞かせてくれた茉侑さん(仮名・38歳)
家族構成:既婚、小学2年生、年長の娘さん2人
質問:「最後にパートナー以外の人とキスしたのはいつ?」
「でも、時間が経ちお酒も進むにつれ、だんだんと場が盛り上がってくると『質問ゲーム』が始まりました。最初は好きな異性のタイプなど無難な質問だったんですけど、最後に『直近でパートナー以外の人とキスしたのはいつ?』という質問で、異様に盛り上がりはじめたんです」
質問には男性陣から順に答えていきましたが、その回答に茉侑さんは驚きました。「先週」「1ヶ月前」と続き、一番真面目そうに見えた男性も「半年くらい前かなあ」と答えたのです。
合コンに誘ってくれた同期も「1週間前」と答え、皆それぞれのシチュエーションを小出しに公開し、場は盛り上がる一方。そして茉侑さんがさらに衝撃を受けたのは、自分と同じ人種と思っていたもう1人の同期も「3ヶ月くらい前」と、恥ずかしそうに顔を赤らめたときでした。
「私、本当に驚いてしまって。お酒が入っていたこともあり、『え、相手は誰?!』と、つい叫んじゃいました。びっくりもしましたが、少しショックも受けました。だって私以外、全員不倫経験ありなんて……一体どうやってそんな自由と余裕を持てるのか、私ってつまらない女だなと、まるで取り残されたような気持ちになってしまって……」
そして最後に茉侑さんの番になると、絶対にシラけるだろうと覚悟を決めつつ『したことないです』と正直に答えました。その状況下では、なぜだか妙に惨めな気分になったそうです。
「でもそのとき、おそらく私の心情を察した男性の1人がフォローを入れてくれたので、その場をしのげました。ピュアで素晴らしいねとか、もうこんな場所に来ちゃダメだよ〜とか言って」
盛り上がったところで、23時過ぎに合コンは解散。皆家庭があるからか二次会に行くことはなく、LINEグループを作りあっさり帰宅したそうです。会計は男性側が支払ってくれました。
その後、男性から個別でLINEメッセージが…
「LINEグループはお礼が飛び交って終わりましたが、その後、私にフォローを入れてくれた男性から個別のメッセージが来て、しばらくやりとりが続いて食事に誘われました。合コンでは彼の気遣いはありがたかったので、また会ってもいいような気もしましたが……。
子どもを置いていく手配、そして夫に嘘をつくことを考えると、やっぱり私にはそこまでの冒険心も勇気もありません。夫とはとっくに友達のような関係なので、後ろめたさとかは特にないんですが、臆病さと面倒臭さが勝るんですよね。こういうとき、さらっと家庭から出られる女性は単純に少しうらやましいです」
茉侑さんはそう言って、困ったように微笑みました。
ただし、もしまた同じような「既婚者合コン」に誘われたなら……たまになら参加したいそう。
「妻でも母親でもない、異性として見られる時間は、結果私にとっては良い刺激でした。家庭と仕事の往復だとそんな機会もないので。変に道を踏み外さなければ、合コンくらい罪じゃないですよね?」
お話を聞く限りでは、茉侑さんはたしかに罪なことをしているとは言い難く、良識ある女性だと思います。
けれど、いくらご自身で「ここまでは大丈夫」と線引きをしていたとしても、「何か」が起きるときは起きてしまう。コントロールは非常に難しいことだと思いますし、いくら安全そうに見えたとしても「合コン」は明らかに禁断の道への入口の一つであるはず。
どうか慎重に……。
取材・文/山本理沙