10年以上に渡り被災地支援を行ってきた 紗栄子さんが能登の地震発生直後、 “デリケートゾーン用のシート”を送った ことが話題になりました。家族共有で使用するアイテムは準備しているという家庭も多いと思うのですが、実際には女性ならではの必須アイテムってたくさんあるのです。娘とも共有しておきたい「女性が持っておきたいもの、気をつけていたいこと」を、専門家の先生に聞いてみました。
今回お聞きしたのは……
実際に被災地であった女性を取り巻く不便 ・問題
・使える水が本当にほとんどないので、災害時に便利と言われている月経カップや月経ショーツは、しっかり洗わなければならないので意外と不便なので、やはりナプキンは必須。
・着替え用のテントなども 、自分にとって死角を作ってしまうし、かえって人目を引いてしまう可能性もある。
・妊娠初期の女性は、体調が悪いのに周りにも気づいてもらえず苦しい。
災害後の避難生活がストレスとなり、体調の悪化につながることがあります。本当に辛い状況でも我慢しがちな女性は、みんなが大変なときだからこそ、「私にも分けてください」と言いにくい人が多いのが事実。だからこそ、人にお願いしにくい事、もらいにくい物は、自分で準備しておくのが安心だし、ストレスの軽減策にもなります。
いつもの防災グッズに加えて、女性が持っていて欲しいもの
①カップつき下着 …サイズが異なるものは支援物資としても届くのが最後になりやすいもの。災害に備えて1枚あると便利です。
②生理用紙ナプキン…災害時に便利と言われている月経カップや月経ショーツなどの洗って繰り返し使えるアイテムは、水の使用が限られたり衛生状態を保つことが難しかったりするので非常時には不向き。使い捨てのものの方が便利です。
③おりものシート…下着もなかなか洗うことができません。生理中でなくてもおりものシートを使っておけば、下着の汚れも最小限で、衛生的にも◎。
④携帯用ビデ…過去の震災では外陰炎になった女性も多かったそう。精製水で膣内を洗い流す使い捨ての携帯用ビデを使えば、入浴ができない状況でもデリケートゾーンを清潔に保つことができます。
⑤ドライシャンプー…災害発生時、水が止まってお風呂に入れない!そんなときに助けになるのが水で洗い流す必要のないシャンプー。シトラスの香りとひんやり爽快な使い心地。プッシュ式なので量を調節しやすく、ガスを使わないので安心。・
⑥⑦アロマオイル(精油)…被災した際、多くの人が悩まされるニオイの問題。リラックス効果や消臭効果が期待できるアロマオイルを持っておくのがオススメ。小瓶に入っていて嵩張らないので数種類携行しておくと便利。心のケアだけでなく、アロマオイル(精油)が持つ本来の薬理効果も知っておくと良いでしょう。
⑧デリケートゾーンシート…生理中かどうかにかかわらず、女性のデリケートゾーンは清潔に保つように気を配る必要があります。特に生理中のデリケートゾーンは肌のなかでいちばん繊細な部分なため、かゆくなったりかぶれたりしてしまうことも…。だからこそ備えておきたいのが、デリケートゾーン専用の拭き取りシート。
⑨中身の見えないゴミ袋…避難所で使い終わった生理用品を捨てるために、黒色などの中身の見えないゴミ袋があると便利です。消臭機能が付いたものもあります。
女性の生活を守るために持っていたい意識
◎あまりニュースでは取り上げられていないけれど、性犯罪も起きやすいのは事実。性犯罪を犯す方が 悪いので自衛だけを促すことは本望ではないけれど 、変質者の目があるのも事実なので、露出の高い服は避けるほうが良いでしょう。
◎女性も子どもも力の弱いものは、ひとりで行動 しないようにしましょう。またひとりで行動していな くても、周りでちょっとひとりになっている人 がいたら、大丈夫かなと見ておくのも防犯につながります。周囲の目があるという環境づくりが大事なのです。
◎避難所をつくる側(自治体やボランティア団体など)が積極的に、授乳室や着替え場所 などプライバシーが確保できるスペースをつくりましょう。
撮影/草間智博、イラスト/村澤綾香 取材/笹 利恵子