STORYの巻頭で毎月、世のため人のために活動する女性を
クローズアップする連載『未来は女の掌の中に』。
今月は、戸籍のない日本人「無戸籍者」を支援する井戸まさえさんを取材しました。
普段暮らしている中で、なかなか耳にすることのない「無戸籍者」という言葉。
出生時になんらかの理由で親が届けを出さず、
「生まれなかったこと」にされているのが無戸籍児、
そして、そのまま「誰もしらない」状態にされたまま20歳を過ぎた人を
「成人無戸籍者」と呼びます。
彼らの生きる道は、「普通」に生活している私たちからは想像もできない過酷なもの。
義務教育すら満足に受けず、健康保険証も手に入らず、携帯電話も契約できず、
成人しても身分証明書がないために働く場所も限られる……。
常に貧困や暴力とも隣り合わせで生きているのです。
そしてなんと、その「無戸籍者」がこの日本に1万人以上いるというから驚きます。
今回取材した井戸まさえさんも、自分の子どもが無戸籍になったことをきっかけに、
法の狭間に落ち、苦しむ人たちの支援に奔走しています。
取材をするきっかけとなったのが、この書籍『無戸籍の日本人』(集英社刊)。
井戸さんがこれまで支援をした、様々なケースのエピソードが書かれているのですが、
「これは本当に現実の話なのだろうか?」と疑ってしまうほど、
サスペンスみたいにドキドキしながら社会の現実が伝わってくる、衝撃の内容でした。
自分の親を知らずに暮らす27歳、小中高に通ってこなかった少女のような32歳、
売春婦の母に育られた男性……彼らに寄り添い、励まし、戸籍を取得するために
地道に、無償で奔走してきた井戸さんだからこそ伝えられる、
今までそんな社会の問題があることすら知らなくても、
本当にあっっという間に読める一冊になっています。
今回のストーリィの記事も反響があり、
様々なメディアから取材依頼が舞い込んでいるとのことです!
「GWは読書でもしようかな…」と思っている方は、ぜひ手に取ってみて下さいね。
(編集K)