インスタグラムで高校時代の初めての彼氏と繋がり、頻繁にDMでやりとりを始めるようになったという麻子さん(仮名・40歳)。2人は密に連絡を取り合ううち、予定を合わせ同じタイミングで地元に帰省、再会することに。
当日、実家まで自転車で迎えにやってきた元彼・健太さん(仮名)の姿を見た瞬間、麻子さんの気持ちは青春時代に戻ってしまい……。
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【実録】インスタグラムで繋がった高校時代の初カレ。再会の日、40歳子持ち妻の心が一瞬で奪われたワケは…
家族構成:2歳年上の夫、4歳の男の子
元彼だから、罪悪感はない
地元で高校時代の初めての彼氏と2人きりで会う手筈を整え、昔と同じように自転車に二人乗りをした瞬間、過去にタイムスリップしたような感覚になったという麻子さん。
今の自分が既婚であることも、お受験ママであることも、まるで他人事のような気分だったと言います。
「飲みに行ったのは、地元に昔からあるチェーンのリーズナブルな焼肉屋さん。彼も私も普段着で、安いお肉を食べながらビールを飲んで……。ああいうの、本当に久しぶりだったんです。
都心に住むようになってから、男性とのデートはおしゃれな服におしゃれな場所が定番だったし、子どもが生まれてからは大人だけで外食に行くこともほとんどない。夫以外の男の人と2人きりで出かけたのだって結婚後初めてです。
でも相手は慣れ親しんだ元彼の健太だからか、罪悪感や後ろめたさは特になくて……」
数年ぶりの再会で盛り上がる2人。話題は昔話や共通の友人の噂話だけでなく、お互いの家族の話も自然と交わすことができたそうです。
「お互いにフラットに奥さんや夫の話もしました。彼は奥さんの人となりを淡々と説明したあとに、『でも麻子と一緒にいるような楽しさはないよ、お互い大人だし、親だからね』と付け加えて。
そのとき『本当にそうだな』『あんな全力の恋は、きっともうできない』と胸が締めつけられて、泣きそうになりました。話はいつまでも尽きなくて、二次会も昔のようにカラオケに流れ、90年代の懐メロを2人でたくさん歌って盛り上がりました」
麻子さんのお話を聞いているだけで、このお二人の引力に抗うのは相当に難しいことが理解できてしまいます。
10代の淀みのない純粋な気持ちで全力の恋をした相手は、いくら時間が経っても絆のようなものが残っているのかもしれません。
しかしだからこそ、昔の恋人との再会は危険と言えます。
人妻の「シンデレラタイム」
「夜も更けて、そろそろ帰ろうとまた自転車で二人乗りしているとき、この夢みたいな時間から現実に戻りたくない。目を覚ましたくないと思いました。
変な話なんですけど『逆シンデレラ』みたいな。普段家族とはBMWの車を使っていますが、健太の古くてサビた自転車の後ろにずっと乗っていたかった。お尻は痛いし足もバランスを取らなきゃで乗り心地は最悪、オシャレなスポットもない田舎道なのに」
その情景を思い出すように、うっとり語る麻子さん。心情は理解できますし、このとき二人の世界がすでにできあがっていたことも想像できます。しかしながら同時に、人はないものねだりな生き物なのだとも思ってしまいました。
麻子さんのような都会の上品な妻が、本当に田舎で自転車に乗り続けていられるのか……。
「帰りたくないと思っていたら、彼が『うちで少しお茶でもする?』と言ったんです。『うち』とは彼の実家のことです。彼のご両親は少し前に立て続けに亡くなっており、一軒家の実家には今も独身の弟が1人で住んでいるだけで、もう寝てるだろうし気にもしないから、と」
まさかの元彼の実家へ行くという展開には驚かされましたが、自然に2人きりになるならば、これ以上の場所はないかもしれません。
「高校生の頃に何度も来た彼の部屋。入った瞬間、懐かしくてまた涙が出そうになりました。昔と変わらない勉強机や卒業アルバム、一緒に読んだ少年漫画やCDプレイヤー……そしてベッドも、古くはなっていたけどほとんど記憶のままだった」
そして実はこのベッドは、2人の初体験の場所でもあったそう。
高まる気持ちを阻むものは何もなく、そして2人は、あっさりと一線を超えてしまいました。
次は夏休み...再び地元で「密会」を目論む2人
「満たされた、なんてありきたりな言葉ですけど、私にとってすごく特別な時間でした。罪悪感なんてありません。むしろ毎日毎日頑張ってるんだから、たまにこんな時間を過ごすくらい何が悪いんだろうと思います。
バレなければ誰にも迷惑はかけないし、健太の存在があるだけで心が穏やかでいられる」
地元で過ごした3日間のあいだ、2人はその後も2回密会を果たし、再び8月の夏休みに帰省の予定を合わせているそうです。
結婚し母になれば、一見幸せそうに見える女性でも抱えるものは色々とあります。時間や体力の余裕もなくなり、いくら可愛くても子ども中心の生活に追われ、息づきをする暇もなく疲弊して先が見えなくなったり。
そんなとき、麻子さんの言う「シンデレラタイム」を過ごせたら、たしかに彼女にとってそれ以上の気分転換はないかもしれません。
ですが、「迷惑はかけていない」「悪くない」と開き直ってしまうのはやはり危険だと客観的には言わざるを得ません。健太さんも家族のある身分。あまりに気持ちが高まりすぎて、不注意や油断が起きないことを祈ります。
作家・コラムニスト。ミモレ、現代ビジネス、東京カレンダーWEBなどで人気連載を多数執筆。「不機嫌な婚活」(講談社)や2022年ドラマ化された「恋と友情のあいだで」(集英社)など、東京で生きる女性のリアルな心情を描いた作品が話題に。プライベートはトイプードルと5歳男児の母。
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