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阿部サダヲさん(54)仕事の幅が広がった40代「もう少し子どもと遊べば良かったなとも思います」

ドラマ『不適切にもほどがある!』の主人公・小川市郎役も大好評だった阿部サダヲさん。7月からは舞台『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』に出演する、狂気と愛嬌と色気を併せ持つ稀有な俳優は、どんな40代を過ごしてきたのでしょう?

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【INDEX】 ★ 仕事の幅が広がった40代。あっという間でした
★ 子どもにも勧めるほど、この仕事が好き
★ みんな、すぐ売れて飛び立っていくんです
★ 舞台はずっとやっていきたい

仕事の幅が広がった40代。あっという間でした

現在54歳の阿部さん。コミカルでキレキレなキャラクターから、冷酷な殺人鬼や温厚でチャーミングな好人物まで演じて魅せ、いまや様々な作品で主演を務めていますが、仕事の幅が広がってきたのを実感したのは40代だったといいます。

「ちょうど40歳の時に連続ドラマ『マルモのおきて』(2011年)の撮影が始まり、放送が始まったのが41歳になった時ですかね。小さいお子さんからお年寄りまで、本当にいろんな年齢層の人たちから感想をもらって、街でも急に声を掛けられるようになりました(笑)。やっぱりあのドラマをきっかけに、仕事の幅が広がってきた感じがあります。そういえば40歳になった時ぐらいに、小日向(文世)さんに『阿部ちゃん、40代はものすごくモテるから気をつけてね』なんて言われたんですけど、全然モテなかったですね(笑)。あれはどういう根拠があってのアドバイスだったんだろう?(笑)
振り返ってみると、40代はあっという間でした。30代の時に生まれた子供が、まだ2人とも小学生ぐらいだったっていうのもあって、すごく“働かなきゃ”と思っていたところもありましたね。今思うと、もうちょっと子どもと遊べばよかったな。子どもと一緒にいられる時間って、意外と短かいじゃないですか。中学や高校で部活をやり始めると、ほとんど家にいなくなっちゃうし、休みの日に家族で出かけようと思っても、友達との約束を優先するようになるし。だから余計に不思議だったんですよ。金曜の夜10時に子どもが家にいて、『不適切にもほどがある!』を観ていることが(笑)」

子どもにも勧めるほど、この仕事が好き

近年ますます仕事が楽しくなっているという阿部さん。数年前から、お子さんたちにも「この仕事、面白いよ」と勧めているのだそう。

「今も勧めてますよ。『面白いから、やったらいいのに』って(笑)。子供はどっちかというと裏方のほうに興味があるようで、あんまり食いついてこないですけど。でも本当に子供に勧めたくなるくらい、僕はこの仕事が好きみたいです。今は特に、舞台、ドラマ、映画……いろんなことをやらせてもらえて、なおかつ休みもある状態なので、すごくいいなと感じていて。50代になって、ちょっとこう物語の中心になる役が増えてきて、任されることも多くなったので、台本の読み方も変わってきた気がします。周りのスタッフの人とか、自分より若い人たちのことも、ちょっと見るようにもなったかもしれない。“なるほど、今こういう感じなんだな”って、雰囲気を見たりして」

みんな、すぐ売れて飛び立っていくんです

若い人たちの様子は見つつも、自分からアドバイスするようなことはないそうです。

「そもそも、みんなすぐ売れて飛び立っていくんですよ。たとえば40代の時に『八犬伝』という舞台(2013年)をやったんですけど、二階堂ふみさんが初舞台で、中村倫也くんや、当時まだ太賀という名前で仕事をしていた仲野太賀くんも一緒でした。みんな見事に飛び立って、いまや大活躍ですもんね」

ドラマ『不適切にもほどがある!』で、阿部さんが演じる主人公の娘・純子を演じていた河合優実さんも、9月に公開予定の主演映画『ナミビアの砂漠』がカンヌ映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞するなど、目覚ましい活躍ぶりです。

「早かったですね~、河合さんは。気づいたらもう近くにいない(笑)。5月に『不適切~』のDVD用コメンタリーを録った時に、『今、皆さん何してますか?』みたいなことをLINEのグループに投げたら、仲(里依紗)さんとか吉田(羊)さんはわりとすぐに返事をくれたんですけど、河合(優実)さんはなかなか反応がなかったんです。しばらくしてから『すみません、カンヌにいました』っていうLINEが届いて、『ああ、もう遠い人になってしまったんだな。早かったな~』と実感しました(笑)」

舞台はずっとやっていきたい

そう話す阿部さんも、いまや日本を代表する俳優の一人と言っても過言ではありません。

「いやいや、僕はもう全然そんな大層なもんじゃないです。いろいろな作品に出られるのも、松尾(スズキ)さんと宮藤(官九郎)さんがいる大人計画にいるからっていうのが大きいと思いますし。今後のことはよくわからないですけど、舞台はずっとやっていきたいです。そのためには、身体をある程度ちゃんと作っておかなきゃダメだなと。やっぱり、70歳とか80歳になっても舞台に立ってる人って、カッコイイですもんね。そのうえで、今回の『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』みたいな攻撃的な感じのものもやれたらいいなと思いますし、70歳ぐらいになって細川徹さんの芝居&歌謡ショーみたいな舞台をやるのも面白そうだなと思っています。
やってみたい役ですか? 僕は見ていると、大体どの役もやりたくなっちゃうんです。それこそ、今回演じるコオロギもそうでしたし、ドラマを観ていても、いいな、やりたいなと思う役はたくさんあります。それは昔から変わらないですね。ただ、若いイケメンの俳優が出ている恋愛モノとか学園モノのドラマは、もうできないな~って思っちゃいますね(笑)」

飾らない人柄が本当にチャーミングな阿部さんですが、舞台で放出するエネルギーと存在感は圧倒的です。歌舞伎町を舞台に毒と笑いと哀切たっぷりに展開する怒涛のダークエンターテインメント『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』にも期待は高まります。

「今年の夏もたぶん暑くなると思うので、読者の皆さんには、ぜひ『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』で涼んでもらえたらなと思います。作品の熱量はかなりありますけど、劇場はクーラーが効いてますから(笑)。笑えるところもたくさんあるし、ちょっと悲しいところもある作品です。きっとテレビでは見られない世界や役者のお芝居が見られると思うので、ぜひ新しい体験をしに来てください」

COCOON PRODUCTION 2024 『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』
盲目の妻サカエに歪んだ愛情を抱く警備員コオロギが務める病院に、ある日、薬剤被害で身体に障がいを持って生まれ、製薬会社の社長に監禁されて育った少年フクスケが保護される。一方、北九州から上京したヒデイチは、コズマ三姉妹が勢いを増す歌舞伎町で、ホテトル嬢フタバと自称ルポライターのタムラとともに、14年前に失踪した妻マスの行方を追い……。

作・演出:松尾スズキ 出演:阿部サダヲ、黒木 華、荒川良々、岸井ゆきの、皆川猿時、松本穂香、松尾スズキ、秋山菜津子 ほか
2024年7月9日~8月4日:THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
8月9日~15日:ロームシアター京都メインホール
8月23日~26日:キャナルシティ劇場(福岡)
阿部サダヲ 1970年、千葉県生まれ。1992年より大人計画に参加し、同年、舞台『冬の皮』で俳優デビュー。パンクコントバンド「グループ魂」では“破壊”の名でボーカルを務める。数々の舞台、ドラマ、映画、CMなどで活躍し、2007年の初主演映画『舞妓Haaaan!!!』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞したのをはじめ、受賞も多数。最近の主な出演作は、ドラマ『広重ぶるう』、映画『シャイロックの子供たち』、舞台『もうがまんできない』など。また、映画『ラストマイル』が2024年8月23日より、『十一人の賊軍』が11月1日より公開予定。

撮影/沼尾翔平 ヘア・メーク/中山知美 スタイリスト/チヨ 構成・文/岡﨑 香

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