高級車の並ぶ大きな家、完璧な家族と愛犬……幸せな人生の象徴と思いきや、内情は全く違うよう。国際結婚の不条理に翻弄されながらも 自分の意志を貫いて幸せを手に入れた女性のお話です。
杉本 綾さん(仮名)/ 50歳
’68 年兵庫県出身。大学卒業後 外資系航空会社に勤務。’91 年結婚、’93年離婚。’95年再婚後イギリスへ。’97年長女を出産。’15 年離婚成立。家事も育児もテキパキとできる才女。外見は杉本彩さん似の華やかなゴージャス美人。
彼
’68 年生まれ。大学で政治学を専攻後、サンドハースト王立士官学校を経て英国陸軍太尉として過ごした後、政府関係の仕事に従事するも、40 代で過労症に倒れ療養、離婚。その頃に絵画を勉強するため美大に入学。 数多の入賞を経験。現在は multidiscipli nary(集学的)artistとして注目。
第1話 大手商社勤務のエリートとセレブ婚、しかし嫉妬に狂う夫が原因で徐々に鬱に。
2年に及ぶイギリスでの離婚裁判がようやく決着し、年数回、老齢の母に会いに日本と往復する日々を送っています。20年間の結婚生活は精神的DV、いわゆるモラハラでサイコパスなイギリス人の夫との闘いの日々でした。
その前、1度目の結婚は24歳のとき。 外資系航空会社のCAだった私は、友人の紹介で大手商社勤務の同い年の元夫と出会い、盛大な結婚式を挙げて結婚しました。まさにダブルインカムノーキッズの生活。完璧主義の私は仕事を続けながら、家事もこなし、フライトで家を空けるときは何品も料理を用意し、家も美しく飾っていました。
元夫はエリートで優しい人でしたが、甘えたがりで私が留守のとき1人でご飯を食べるのが嫌とか、私が英語ができることを羨み、いい気になるなとか、酔うと文句を言うんです。
それが結婚直後から始まり、次第に私の方が給料が多いことに嫌みは言うし、留守がちなCAを辞めることも示唆してきました。
夫婦関係が改善できるならと思い、外資系証券会社の秘書募集に応募したら合格。ところが今度は「秘書は飲みに連れ回されるから駄目だ」と。
じゃあ子供を産むことを提案すると、「カッコいいダブルインカムでいきたい」と、すべてダメ出し。次第に精神的に辛くて、家に帰りたくなくなってきました。食欲もなくなって、鬱っぽい症状も出ていたんですよね。
振り返ると、元夫はブランド好き。持ち物だけでなく、妻がCAであることを自慢に思い、洗練された人と付き合いたい、おしゃれな男性が羨ましいという気持ちがとても強い人でした。でも世間にはそれを隠して、心に葛藤を抱えていました。
私も悩みました。生まれて初めての大失敗で、親を悲しませることになると苦しかった。でも両親は「そんな度量のない男はダメだ。出世もしないだろう。帰って来い」と。それで考えた末、結婚1年後に離婚を切り出しました。
元夫は驚いて「考え直して。自分の悪いところは直す」と今更な発言。でも心に響かず家を出て友人宅にお世話になりました。
その後プレゼント攻撃が続きましたが、無視。結局離婚届に判を押してくれたのは1年後。最後に母が元夫を説得して、やっと白旗を上げたんです。