多様性の時代において、ひとつの職業に限らず複数の職業を両立させることは珍しくなくなっています。今回は、自分らしく輝くため、どちらの仕事も欠かすことなく全力で取り組む、二足のわらじを履きこなす女性たちに注目し、取材してきました。
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【画像集】女優・田中道子さん(35)女優と一級建築士の二足のわらじ
一級建築士試験合格+女優
田中道子さん 35歳・東京都在住
ずっとやりたかったことに挑戦したら
想像以上の景色が見えてきました
想像以上の景色が見えてきました
浜松の大学で、デザインを学んだ田中道子さん。好奇心旺盛で、ダイビングや、富士登山、また、’11年にはミス・ユニバースで3位に輝くなど、様々な挑戦をしてきました。
卒業後は、建築の道に進もうと、資格対策スクールに通い、2級建築士の資格も取得。「東日本大震災のとき、自分が何もできないのと対照的に、プロの方々が力を合わせて復興のために働いている姿を見て、素晴らしいなと。私もその道に進みたいと思ったんです」。
ところが、そんなとき、ミス・ユニバースに出場した縁で、東京の芸能事務所から、女優をやってみないかとのお誘いが来たのです。「子どものころ、アクション女優に憧れていて。憧れが夢に変わるかもしれないチャンスを逃したくないと、両親の反対を押し切って、上京しました」。
その後、’13年にミス・ワールドの日本代表に選出されると、注目を集め、’16年から、女優として活躍の場を広げていきました。ところがそんな矢先、コロナ禍で、活動がパタッと止まってしまったのです。
「日本が大変なときに、私は家にこもることしかできなかった。そのとき、ずっと封印していた、建築の仕事で世の中の役に立ちたいという気持ちが蘇ってきたんです」。
一番やりたかった〝街づくり〟に携わるには、1級建築士の資格が必要です。そこで、2級受験でお世話になったスクールの新宿校の門をたたき、取得に向けての勉強を始めました。
「仕事が休みのときは朝から終電まで学校で勉強。授業に出られないときは、動画を見て遅れをとらないようにしました。課題が難しすぎて、涙が出てしまったことも。学校はスパルタでしたが(笑)、信じてついていけば絶対合格すると思って1年3カ月、必死で頑張りました」。
そうして、翌年、1度目の受験で試験に合格。現在は、設計事務所に籍を置き、実務を積みながら、資格登録を目指しています。「まだ新入社員状態なので、実務のスピード感についていくのが大変です。試験と違って正解はひとつではなく、幾通りもの方法を考えなければならないのも難しい。まだ先は長いです」。
でも、合格後は、芸能の仕事での幅が大きく広がったと言います。
「建築や学びにまつわる仕事が激増しました。また、以前なら尻込みした畑違いのテーマの仕事でも、勉強するのでやらせてください、と言えるようになりました。勉強の習慣もつき、やれば結果はついてくるという自信が持てたのかもしれません。資格取得というと、ハードルが高いですが、興味のあることを深掘りするのは楽しいし、自分の人生を豊かにしてくれます。学びは無限大なので、これからもチャレンジし続けたいです」。
撮影/BOCO 取材/秋元恵美 ※情報は2024年10月号掲載時のものです。