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加藤綾菜さん(36)夫・加藤茶さんを一生守ると決めて、取得したものとは 

親の介護が始まったら、自分の生活はどうなるのか、漠然とした不安を抱えている方、多いですよね? そこで、今まさに介護中のみなさんに、お話を伺いました。耳を傾けるうちに、介護は大変だけれど、発見や学び、笑いや楽しさがぎっしり詰まった、家族との濃密な時間なのかもしれない、と思えてきたのです。

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タレント 加藤綾菜さん
36歳・東京都在住

介護とは人生を伴走すること。
夫を一生守ると決めています

綾菜さんが、加藤茶さんと出会ったのは、大学時代にアルバイトをしていた和食屋さんでした。「お茶を出すと、何とも温かく『ありがとう』と言ってくれて。歯が真っ白で、オーラがあって、キラキラ輝いていました」。

何度も接客を重ね、会話が弾むようになると、茶さんから電話番号を書いたコースターを手渡されました。「迷いに迷った末、電話をかけ、会う約束をしました。でも、待ち合わせ場所に着くと、なんと、左とん平さんと小野ヤスシさんもいたんです。心配してついてきてくれたんでしょうね」。

その後のデートもいつも4人一緒でしたが、半年たってようやく、正式に交際を申し込まれ、その2年後の’11年の秋に入籍。周囲に反対されるだろうからと、両親や近しい友人だけに知らせて、世間には伏せていました。

ところが、半年後のある日、週刊誌にスクープされてしまったのです。すぐに、結婚を公表し、式も挙げました。ですが、世間の目は綾菜さんに厳しく、45歳差はおかしい、財産目当て、といった批判のファックスやメールが、事務所に大量に届き始めたのです。「傷つきましたし、加トちゃんが嫌われるのでは、と怖かった。でも、彼は、いつも変わらず穏やかで、『10年忍耐。10年誠実にやっていけば、必ず理解してもらえる』と言い続けてくれました」。

茶さんがパーキンソン症候群で倒れたのは結婚3年目のこと。「筋肉の痙攣は、最初は手足だけでしたが、次第に飲み込む筋肉も弱くなり、食事もとれなくなって、みるみる痩せていきました。医師からは、舞台復帰は難しいと言われましたが、私は、何がなんでも回復させる、という気持ちでいっぱいで、夫の耳元で本や新聞を音読したり、ドリフのビデオを聞かせたり……。夫も『絶対によくなるから、安心してくれ』と言って、病気と闘いました。そのときは、付き添うだけで精一杯で、何もできなかった。これではだめだと、学校に通って介護職員初任者研修を受けました」。

その後、1年以上の入院を経て、茶さんは無事退院しました。しかし、今度は、コロナ禍で盟友の志村けんさんを失うという、とてもショックなできごとも。「この先何が起こっても、おろおろしないように、介護福祉士実務者研修も取得しました。でも、そのころは夫はすっかり元気になっていたので、介護施設でボランティアもしました。介護はやりがいがあって楽しくて。私に向いてるって思うんです」。

茶さんが腎臓を患ったときには、「なんとしても透析になるのは防ぎたくて、病院の先生のもとで、減塩食を勉強しました。少しでもおいしく食べてもらいたくて、専門の先生に相談しながらレシピも開発したんです」。結婚当初は、野菜も魚も食べなかった茶さんですが、綾菜さんの長年の努力のかいがあって、今では、減塩料理を「おいしい」と言ってバランスよく食べてくれるようになりました。結果、腎臓の数値も平常に戻ったそうです。

「STORY世代だと、介護って、遠い話と思われるかもしれないのですが、実は、同年代の親戚が末期がんになり、3年半、介護に通っています。当初余命2週間と宣告されましたが、今も頑張ってくれています。かける言葉が見つからず、正直辛いこともあって、介護は人生の伴走なんだと、つくづく思うようになりました。結婚したときから、私は、夫を一生守ると思ってきました。そして、彼女の介護を経験し、何があってもたじろがないという覚悟が、より固まりました。夫としての彼は、本当にいつも優しく穏やかでかっこよく、尽くしがいがあります。加トちゃんは、みんなを笑顔に、幸せにする人。彼がめちゃウケてる姿を見るのが一番嬉しいんです」。

14年めの結婚記念日。今は、世間からは好意的に見られるようになりましたが、茶さんには「一喜一憂してはダメ」と言われています。

<編集後記>加トちゃんが大好きなのがヒシヒシ伝わりました 元気で明るく、ハキハキしている綾菜さん。茶さんは、「穏やかでいつも優しく、こんなに素敵で、尽くしがいのある人はいない」とおっしゃっていたのが印象的でした。バッシングを受けたときも、反論ひとつせず、コメントを読んで「こういうところは直そう」と思ったのだそうです。本当にできた奥さんで、茶さんは幸せ者だなって思いました。(ライター 秋元恵美)

撮影/BOCO ヘア・メーク/JHUN 取材/秋元恵美 ※情報は2024年12月号掲載時のものです。

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