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【実録】「また女として“感じられる”なんて、思ってなかった」—セックスレス20年。47歳既婚女性が“女性用風俗”に手を伸ばすまで

最近、巷でよく耳にするようになった「女性用風俗」(通称:女風)。その存在に興味を持つ女性は想像以上に多く、また「使ったことがある」という声も頻繁に聞くようになりました。

今回お話を伺ったのは、約20年セックスレスだったという主婦の千佳さん(仮名・47歳)。現在は数ヵ月に1度のペースで女風を利用しているそうですが、最初の一歩から“リピーター”となるまでの経緯を詳しく聞いてみました。

千佳さん(仮名)47歳

家族構成:結婚23年目既婚、同い年の夫、高3の息子
★ セックスレス20年でも、夫婦仲が悪いわけではない
★ 「女」が消えた日常
★ 女風の存在を知った日のこと
★ “予約”をしてしまった夜
★ もう二度と、味わえないと思っていた感覚

セックスレス20年でも、夫婦仲が悪いわけではない

「セックスレスって、何年から“記録”に入るんでしょうね。うちはたぶん、もう20年くらい。息子が生まれてから一度もないので、そろそろ殿堂入りかもしれません」

千佳さんは、少し笑うような声でそう話し始めました。

彼女の第一印象は、良い意味で“普通の主婦”。

口調は落ち着いていて、言葉を選ぶように話す。しかしときどき混じるユーモアや自虐には他者を楽しませようとする配慮が感じられます。メイクと髪型はナチュラルで、手のかけ方もほどほど。しかしその力の抜け具合に、かえってほんのり色気が漂っている。素敵な歳の重ね方をした女性という印象です。

「結婚は…23年目、夫とは同い年で、高校3年生の息子がひとり。夫婦仲が悪いわけではないですが、会話は天気と予定のことくらい。お互い無関心という意味では、ちょうどいい距離感かもしれません

そう言いながらも、千佳さんの声色はどこか乾いています。

「女」が消えた日常

「もう女として見られてないな、と思った明確な瞬間があるわけではないですが、40歳を過ぎたあたりから、少しずつじわじわと日常から“女”が消えていった気がします。

髪を切っても気づかれない。寝る前にシートパックをしていても、『そんなの意味ある?』と軽く笑われたり。夫に悪気はないんですが、そういうのが重なっていって、気がついたら気持ちが”おばさん”になっていました。ネガティブな意味ばかりではなく、私も気持ちが楽ではあるんですけどね

表向きは平穏な生活。夫は単身赴任気味の仕事に打ち込み、千佳さんは近所のカフェでパートをしながら、息子の進路を気にかける日々。特に強い不満があるわけでもなかったそうです。

「別に恋愛したいわけじゃないんです。ただ、たまに思うんですよ。『私、もう誰からも見られてないな』って。人としての存在感じゃなくて、女として。そういう目線で見られることは、もう一生ないんだなって」

女風の存在を知った日のこと

そんなある日、千佳さんは美容室で何気なく手に取った週刊誌の片隅に「女性向け風俗」の文字を見つけました。

「えっ、そんなのあるんだ? と軽い気持ちで調べたのが最初です。でも気づいたら、体験談を片っ端から読んでいました。『抱きしめてもらっただけで泣いてしまった』とか、『忘れていた女が目覚めた』とか……。

なぜかすごく気になってしまって。あれ? 私も、もしかして寂しいのかな? 欲求不満だったのかな? と初めて思ったんです

それから千佳さんは、夜な夜な口コミサイトやセラピストのプロフィールを眺めるのが日課になったそう。

「どんな人がいるんだろうって、最初はただの好奇心でした。でもだんだん、『ただの興味』じゃなくなっていくのがわかりました」

“予約”をしてしまった夜

初めて予約したのは、女友達と深夜まで飲んだ帰りの電車の中で、夫や子育ての愚痴で盛り上がった直後のことだったと言います。

「お酒のせいもあって、なんだか思い切りのいいタイミングだったんですよね。スマホを見ながら『次のページ見たら、もう予約ボタン押しちゃおう』なんて思い勢いで進めました

そして当日、指定したシティホテルの一室で待っている間、千佳さんはとにかく手汗が止まらなかったことをよく覚えているそう。

「30分くらい前に着いてたんですけど、もう手先が震えたり、変な汗が出たり、口の中がカラカラになるほど緊張してて。部屋の時計ばかり見て、何度もシャワーを浴びました」

そして、チャイムが鳴る。ドアを開けると、写真で見た通りの優しげな笑顔の男性が立っていました。

「彼は清潔感のある身なりに落ち着いた口調だったので少しほっとしましたが、緊張は一向におさまらず焦りました。年甲斐なく、本当にオロオロしていたと思います

「こんばんは。お会いできて嬉しいです」と、セラピストの男性はベッドに座ると、千佳さんに合わせながらゆっくりと話し始めたそう。

『無理しなくていいですよ。ゆっくりで大丈夫ですから』と、彼が笑いながら言った瞬間…思わず息を飲みました。『ゆっくりでいい』なんて言われたの、いつぶりだろうと思って。家や職場では何かにつけて『早くしなきゃ』とか『早くして』と言ったり言われたりの日々だったので……新鮮というか衝撃というか。私、自分を疎かに生きてたんだと実感しました」

「ありがとうございます」そう返したとき、千佳さんは少しだけ泣きそうになったと言います。

もう二度と、味わえないと思っていた感覚

その夜、千佳さんは身体の奥にずっとしまい込んでいた感覚を、少しずつ思い出したそう。

快感というよりも『ああ、私、まだちゃんと感じられるんだ』と、ホッとした感覚でした。思ったより怖くはなく、むしろ自分の動物的な反応を嬉しく思いました」

あっという間の90分。セラピストの男性を見送ったあと、ひとりで部屋に残ったとき、なぜか笑えてしまったそう

「こんなこと誰にも言えないけど……でも私、今日、ちゃんと『女』だったなって。

それが幸せだったんです。後悔でも興奮でもなく、ただ、純粋に嬉しかった」

——後編では、千佳さんが2回目の予約に踏み切った理由と、その後の心の揺れについて伺います。

▼後編はこちらから
【続】「依存ではないと言い聞かせ、2回目の“女風”を予約した」—47歳既婚女性、“触れられること”に向き合った夜

取材/山本理沙

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